相続人間でもめる!遺産分割のトラブルと弁護士の役割・費用

2026/07/24

相続人間でもめる!遺産分割のトラブルと弁護士の役割・費用

相続が開始すると、被相続人の遺産を相続人で分割する必要があります。

相続人間で円満に話し合いを進められれば良いのですが、感情的な対立から大きなトラブルへ発展する可能性があります。

本記事では遺産分割でよくあるトラブル事例から対処法や弁護士へ依頼するメリットなどを解説します。

なぜ相続はもめるのか?よくあるトラブル7つの例

相続は争族と呼ばれるほど、親族間の争いの多い法律問題です。

もめる理由としては、金銭が関わることが挙げられます。

ひとによって価値観は異なりますが、金銭や不動産の権利問題などが絡むと遺産をめぐり、紛争に発展することが少なくありません。

また、相続に関する知識や準備不足、認識の違いなどによってもトラブルになることがあります。

相続の具体的なトラブル例について紹介していきたいと思いますので確認してみてください。

トラブル例1:遺産の大部分が実家などの不動産で分けにくい

相続トラブルに発展する例として相続財産の大部分が不動産であることが挙げられます。

不動産は現物のまま物理的に綺麗に切り分けることが難しいため、以下のような分割方法があります。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却し、得た利益を各相続人で分割する方法をいいます。

この分割方法では、売却額をめぐる紛争や代表して手続きを行った相続人が、売却益に沿った金額を渡さないなどといったトラブルが予想されます。

代償分割

代償分割は、相続人のひとりが不動産を取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払う方法をいいます。

不動産を取得した相続人は、基本的に相続時開始時点で売却した場合を想定した額を他の相続人に支払うことになります。

この分割では、代償金をどのような基準にするのか、相続人間での意見が対立し、紛争に発展するというトラブルが考えられます。

また、代償分割の対象であるものが、収益不動産である場合、代償金の中に売却益でなく、将来生じるであろう利益を含めるのかなどをめぐり、争いになることもあります。

共有分割

共有分割とは、取得割合に準じた持分で各相続人が不動産を相続することをいいます。

取得割合に応じて、相続登記を行うため、遺産分割方法のなかで一番争いがなく、かつ公平であると考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、共有分割を行った場合、その不動産を売却したり、改築したりなどといった行為は、単独で行うことができず、共有者全員の合意が必要となります。

したがって、遺産分割時は公平であっても、後々不動産の扱いをめぐり、争いになってしまうことがあるのです。

また、共有名義人が死亡し、かつその相続でさらに共有名義で分割するようなことになると、不動産の権利が分散してしまい、次世代移行の不動産の処分が難しくなるというトラブルにもなりえます。

トラブル例2:生前の援助に差がある

相続人同士でよくあるトラブルとして、被相続人が生前行った金銭的援助に差があることが考えられます。

被相続人からの遺贈や生前に住宅購入資金や結婚資金の援助などの生前贈与は、特別受益にあたります。

このような利益を受け取った相続人は、他の相続人から申し出があった場合、遺産分割時に生前贈与などの分が調整されることがあります。

このときの特別受益の具体的な金額などをめぐり、相続人で争いが起こることは少なくありません。

特に、相続人のうち1人だけが多額の特別受益を受け取っていた場合には、他の相続人が感情的になり、激しい紛争になることがあります。

トラブル例3:長男などの一部の相続人が遺産を管理し内容を教えてくれない

よくある相続トラブルとして、特定の相続人が、被相続人の通帳や不動産の権利証などの財産資料を独占し、他の相続人に遺産全体の情報を開示しないことが挙げられます。

遺産分割前の遺産は共同相続人の共有とされているため、本来であれば必ず開示すべき情報といえます。

しかし相続人には他の相続人に対して財産目録を開示する法的な義務が整っていないため、財産の情報を秘匿してしまうケースも少なくありません。

その結果、他の相続人が遺産隠しを行っているのではないかなど不信感を持ち、感情的に対立し、大きな相続トラブルになることがあるのです。

トラブル例4:遺言書の内容が特定の相続人に偏っていて不公平

よくある相続トラブルとして、被相続人の遺言書が、特定の相続人や受遺者に偏っていることが考えられます。

遺言は被相続人の最後の意思表示であるため、その内容は相続において最も優先されます。

したがって、特定の遺産を特定の者に相続、遺贈させるといった内容の遺言は、特段の事情がない限り、その内容に即して遺産分割が行われます。

しかし、遺言内容が全財産を長男に相続させるなど極端に偏ったものである場合、他の相続人は遺留分の主張を行うことができます。

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外に保障されている、最低限の遺産の取得割合のことです。

遺留分を侵害するような遺贈や相続分の指定は、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求がなされるトラブルに発展しえます。

被相続人の意思を尊重するはずの遺言書が原因で、親族間の関係が完全に修復不可能になる深刻なトラブルを引き起こす結果になることもあるのです。

トラブル例5:仲がもともと悪いまたは疎遠になっている

相続でよくあるトラブル例として、相続人間の仲が悪かったり、疎遠であったりして遺産分割が行えないなどが考えられます。

共同相続人はいつでもその協議で遺産の分割をすることができます。

しかし協議による遺産分割は共同相続人全員の合意が必要となります。

異母兄弟や異父兄弟がおり、家庭環境が複雑で過去の因縁があるなどといった場合、当事者間では冷静な協議を行うことできなくなる可能性が高いです。

また、法定相続人調査により、新たに法定相続人がいるということが判明することもあります。

このように、全く面識のない相手と遺産分割協議を行う場合、なかなか折り合いがつかず、結果として大きなトラブルになりえることも考えられます。

トラブル例6:被相続人の配偶者が遺産分割に口出ししてくる

相続でよくあるトラブルとして、相続人の配偶者が遺産分割の条件に強く口を出し、争いになるということが考えられます。

法律上、相続権はそのひと固有の権利なので、配偶者であっても条件面などについて、口を出す権利はありません。

また、相続で得た財産は、固有の財産、特有財産として扱われるため、配偶者がその財産を処分する権利はないのです。

しかし、配偶者の金銭は家族のものであると考え、実際には権利がないのに主張してくることは少なからずあります。

配偶者の関係性によっては、相続人が配偶者の意向を優先し、結果として他の相続人と遺産分割をめぐり、トラブルになるということは、あり得るケースといえるでしょう。

トラブル例7:親の預貯金の使い込みが疑われる

よくある相続トラブルとして、親が認知症などで判断能力が低下していた時期や晩年の入院期間中に同居していた相続人が親の口座預貯金を使い込むトラブルがあります。

遺産分割前に遺産の一部が処分されていた場合、財産処分した当事者以外の共同相続人全員の同意により処分された遺産を遺産分割時に存在するものとみなすことができます。

しかし、財産を処分した相続人が、使い込みの事実を素直に認めるとは限りません。

このような場合、不当利得返還請求訴訟などを提起するなどといった大きなトラブルに発展しえるのです。

相続人間で話し合いがまとまらない場合の対処法

相続人間で遺産分割の話し合いがまとまらない場合の対処法として以下があります。

対処法1:家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

相続人間の話し合いで遺産分割ができない場合の対処法として、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが考えられます。

遺産分割調停では、裁判官と家事調停委員2人以上で形成される調停委員会が当事者の間に入り合意を目指します。

調停では、当事者が顔を合わせることなく、交互に調停室に入って調停委員に意見や主張を伝えるため、冷静に話し合えるメリットがあります。

また、裁判とは異なり非公開で行われることも特徴といえるでしょう。

当事者が遠隔地に居住している場合やその他相当と認めるときは電話会議システム又はテレビ会議システムを利用することができます。

なお、遺産分割調停の申し立てにはおもに以下の書類を提出する必要があります。

  • 申立書
  • 事情説明書
  • 連絡先等の届出書
  • 進行に関する照会回答書
  • 被相続人の出生時から死亡時までの全戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍全部事項証明書
  • 不動産登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 預貯金の通帳や残高証明書

調停において当事者間に合意が成立しこれを調書に記載したときに成立したものとされます。

この調書は確定した審判と同一の効力があります。

対処法2:調停が不成立なら審判手続きへ移行

遺産分割調停で合意が成立する見込みがないなどの場合の対処法として、審判にて裁判所に決定してもらう方法があります。

調停が不成立になった場合、調停の申立ての時に審判の申立ても同時にあったものとみなされ、裁判官の職権により審判手続に移行します。

審判は特別な定めがある場合を除いて家事審判官が参与員を立ち会わせ又はその意見を聴いて行います。

審判による遺産分割では、法定相続分を変更する内容の遺産分割はできないとされています。

したがって、審判による決定は、原則として法定相続分に沿ったものになります。

この決定は裁判官が客観的かつ機械的に分割するため、自分が住み続けたい実家であっても換価分割を命じられて強制的に競売にかけられるリスクが伴う点には注意が必要です。

なお、審判の内容に不服がある場合は、審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内に即時抗告を行うことができます。

抗告状を原裁判所に提出した場合、上級裁判所で争うことになります。

対処法3:地方裁判所で民事訴訟を行う

遺産分割でもめたときの対処法として、地方裁判所で訴訟を行うことが考えられます。

遺産分割の審判をするにあたり、当事者間で相続人の確定や相続財産の確定と評価といった前提問題が争いとなっていることがあります。

家庭裁判所でも、前提問題を審理し判断することができますが、審判には既判力がありません。

そのため争いの争点が複雑な場合には、これらの前提問題を民事訴訟で解決したうえで、家庭裁判所の審理を受けることがあります。

なお、民事訴訟で解決する具体的な前提問題には以下のものがあります。

  • 親子関係不存在確認の訴えなど相続人の範囲に関する争い
  • 特定の不動産や預貯金が被相続人の財産かどうかを争う遺産確認訴訟
  • 遺言無効確認訴訟など遺言書の有効性に関する争い
  • 不当利得返還請求訴訟など生前の使い込みに関する争い

相続トラブルを弁護士に依頼するタイミングとメリット

相続トラブルが予想される場合、どのようなタイミングで弁護士に相談すべきでしょうか。メリットなどを含めて考えていきたいと思います。

弁護士に相談すべきタイミングとは?

相続に関する争いにおいて弁護士に相談すべきタイミングは可能な限り早くした方がいいといえます。

具体的には、以下のようなタイミングが考えられます。

  • 遺産の内容や全貌が分からず他の相続人が情報を一切開示しないとき
  • 特定の相続人から全ての財産を譲れなどと著しく不当な主張をされたとき
  • 自分で直接交渉をしていて感情的になり話し合いが全く進まなくなったとき
  • 内容に納得がいかないまま遺産分割協議書への押印を強く迫られたとき

相談が早い段階であればあるほど、弁護士が行える手段が多くなるため、違和感を覚えた時点で相談することを検討押してください。

弁護士に依頼する5つのメリット

相続トラブルを弁護士に依頼することで得られるメリットとして次のようなものが考えられます。

メリット1:有利な条件で解決できる可能性が高まる

相続トラブルを弁護士に依頼するメリットとして、有利な条件で解決できる可能性が高いことです。

弁護士は法律知識や最新の判例に基づき法的な根拠を持った強力な主張を展開します。

また、適切な不動産の評価方法の選択などを行い、依頼者が有利な配分額を獲得できるよう最大限に尽力してくれます。

メリット2:直接交渉する精神的ストレスから解放される

相続問題を弁護士に依頼するメリットとして、直接交渉する精神的ストレスから解放されることがあります。

弁護士と委任契約を結んだ場合、弁護士を相手方とのすべての交渉窓口にすることができます。

他の相続人やその親族からの電話やメールや直接の訪問による激しい追及を直接受ける必要がなくなります。

メリット3:複雑な手続きや書類作成をすべて任せられる

相続のトラブルを弁護士に依頼するメリットとして、複雑な手続きや書類作成をすべて任せられることが考えられます。

遺産分割調停や、地方裁判所に訴訟を申立てる場合の書面の準備を自力で行うことは非常に困難です。

しかし弁護士であれば、必要な書類を指示し、また依頼者の希望を基にした準備書面などを作成することができます。

メリット4:調停や審判に発展しても代理人として対応してもらえる

弁護士に依頼するメリットとして、遺産分割調停や審判の代理人として対応することができる点です。

弁護士が代理人として法的に整理された主張書面の作成や的確な証拠提出をすべて行えます。

また、実際に調停に立ち合い、裁判官や調停委員に対して複雑な法的論点を分かりやすく説明し説得力のある主張を展開することも可能です。

【費用相場】相続トラブルを弁護士に依頼するといくらかかる?

相続トラブルを弁護士に依頼した場合の費用についてまとめてみましたので確認してみてください。

弁護士費用の内訳

相続トラブルを弁護士に依頼するにあたって最も不安を感じるのが費用面に関する事柄だと思います。

弁護士費用は各事務所が独自に設定していますが、基本的には以下の項目で構成されています。

費用項目概要相場金額
法律相談料正式依頼前の事前相談にかかる費用30分から1時間あたり5000円から1万円程度
着手金弁護士が案件に着手する際に支払う定額費用であり結果に関わらず返金不可遺産分割交渉は30万円から50万円程度であり調停や審判は30万円から60万円程度
報酬金解決により経済的利益を得た際に支払う歩合費用得られた経済的利益の数パーセントから16パーセント程度
実費戸籍謄本取得代や郵便切手代や印紙代や交通費など実費相当額
日当遠方の裁判所や出張交渉等へ赴いた場合の手当半日は1万円から3万円程度であり1日は3万円から5万円程度

弁護士費用は誰が払う?相手に請求できる?

相続トラブルを弁護士に依頼した費用は原則としてご自身で負担しなければなりません。

遺産分割交渉や調停・審判において、相手方に自分の弁護士費用を直接請求することは法律上一切認められていません。

ただし、例外として使い込みの不当利得返還請求訴訟などで勝訴した場合は、一部が損害として認められることはあります。

通常の遺産分割手続きにおいて自己負担となるため費用対効果を慎重に計算し、見極めることが大切です。

相続問題に強い弁護士の選び方のポイント

相続問題に強い弁護士の選び方のポイントをお伝えしたいと思います。

具体的には以下の表のとおりです。

弁護士の選び方の基準重視すべき要素確認すべきポイント
実績や専門性相続案件の解決事例の多さウェブサイトの取扱実績や著書の有無
料金体系の明瞭さ事前に総費用の見込みを提示するか着手金や報酬金の算出基準が書面で示されるか
コミュニケーション専門用語を使わず分かりやすいか連絡の頻度や進捗報告の体制が整っているか
比較検討複数の事務所を比べているか初回無料相談を活用して相性を確認しているか

相続トラブルに関するよくある質問

相続トラブルに関するよくある質問をまとめてみましたので、確認してみてください。

Q. 遺産分割に期限はありますか?

法律上において遺産分割協議自体に明確な有効期限や時効は一切設定されていません。

相続開始から何十年が経過していても遺産分割を行うこと自体は可能です。

しかし実務上の期限や長期間放置することによる重大な不利益が存在します。

相続税の申告と納税は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に厳格に行う必要があります。

期限までに遺産分割が未成立の場合には各種の節税特例が使えず一旦極めて高い税額で納付しなければなりません。

また相続開始から10年が経過した後の遺産分割では、原則として特別受益や寄与分の主張が一切できなくなります。

そのため速やかに協議や調停を申し立てて早期に解決を図る必要があります。

Q. 兄弟姉妹に遺留分はありますか?

兄弟姉妹およびその代襲相続人である甥や姪には遺留分は一切認められていません。

遺留分が法律上認められているのは被相続人の配偶者と子および直系尊属に限定されます。

たとえば配偶者もおらず子供もいない叔父が遺言で全財産を全くの他人に遺贈したとします。

この場合において叔父の兄弟姉妹は財産を受け取った他人に対して遺留分侵害額の請求を行うことができません。

兄弟姉妹が相続人となるケースでは被相続人が残した遺言書の存在がすべての結果を決定づけることになります。

生前に十分な話し合いを行い不測の事態に備えておくこと対策となります。

Q. 連絡が取れない行方不明の兄弟がいる場合はどうすればいいですか?

遺産分割は原則として相続人全員で行います。

相続人の一部を欠いて遺産分割してもその遺産分割は無効であり全員揃ってやり直さなければなりません。

連絡が取れない兄弟がいるからといって勝手に残りの相続人で協議を進めることは法律上許されません。

このような場合は戸籍の附票を取得して現在の登録住所を特定し手紙を送るなどの調査を行います。

行方不明で全く連絡がつかない場合には家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。

裁判所の許可を得て財産管理人が本人に完全に代わって遺産分割協議に参加するという法的な手続きをとる必要があります。

Q. 遺産分割協議が終わった後に新たな遺産が見つかったら?

遺産分割後に新たに遺産が発見されたとしても当然に遺産分割全体が無効となるわけではありません。

分割された遺産に比べて、少ない遺産が発見されたときは、その遺産だけを分割すれば足ります。

新しく見つかった遺産だけを対象として再度全員で追加の遺産分割協議を行います。

ただし、発見された遺産が、重要かつ貴重なものであった場合、その事実を知っていれば遺産分割の仕方が大きく変わっていたというケースもあります。

このような場合にはその遺産分割は錯誤によるものとして無効となります。

事後の争いを未然に防ぐためには、最初の遺産分割協議書を作成する際に後日判明した遺産の取り扱いについて明確な条項を設けておくことが実務上極めて重要です。

まとめ

今回は、相続問題について解説していきました。

相続に関する争いは単なる金銭上の問題にとどまらず長年の家族関係や感情的な対立が複雑に絡み合います。

最悪の場合は兄弟や親族の縁が完全に切れてしまう事態にもなりかねません。

したがって、当事者間での話し合いが限界を迎えたと感じたら、早く経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

まずは無料でWEB相談する

まずは、お気軽にお電話ください

【受付無料】24時間365日受付

050-5578-9800

自動音声サービスでご案内します

簡単ステップで気軽に相談