相続登記(不動産の名義変更)の流れ|必要書類・費用・申請書の書き方など

2026/08/28

相続登記(不動産の名義変更)の流れ|必要書類・費用・申請書の書き方など

不動産を所有していた家族が亡くなった際、相続登記という手続きを行う必要があります。

現在、相続登記は義務化されており、手続きせずにいると不利益を被る可能性があります。

今回は相続登記の流れや必要書類などについて解説します。

相続登記とは?

相続登記とは、亡くなった方(以下被相続人)が所有していた不動産の名義を相続人へ変更する手続きのことです。

被相続人の財産に不動産があった場合には、亡くなった後の所有者が誰か、公にするため必ず相続登記を行う必要があります。

相続登記の義務化とは?【2024年4月】

2024年4月1日の不動産登記法の改正法が施行されたことにより、相続登記は義務化されました。

義務化に至った理由として、所有者不明の土地が増加したことにより、土地の買収などの交渉を誰としてよいのかわからないなどといった問題を解消するためです。

期限はいつまで?

相続登記は、自己の相続と不動産を取得できることを知った日から3年以内に行う必要があります。

不動産を取得できることを知った日とは、遺産分割協議が成立したときではなく、相続財産調査などによって遺産に当該不動産があると判明したときです。

2024年4月より前に相続が発生していたときには、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。

相続登記を放置するリスク

相続登記を放置するリスクとして、次のようなものがあります。

  • 10万円以下の過料を課される
  • 不動産を売却・担保することができない

それぞれ確認していきましょう。

10万円以下の過料が科される

相続登記を正当な理由なく期限内に行わない場合、10万円の過料を科される可能性があります。

とはいえ直ちに過料が科されるわけではありません。

法務局からの相続登記に関する連絡を放置し、無視し続けた場合に、裁判所から科されることになります。 

不動産を売却・担保にできない

相続登記を行わないときのリスクとして、不動産を売却するなどといった処分行為や、担保にすることができないことが挙げられます。

被相続人の所有名義のままでは、相続人の所有している不動産と公的に認められていないため、活用したいときには速やかに相続登記を行うべきといえるでしょう。

相続登記(不動産の名義変更)の流れ

相続登記を行う場合、次のような流れで手続きを進める必要があります。

それぞれ確認していきましょう。

1.相続人と相続財産を調査・確定する

相続登記を行う場合、まず法定相続人や相続人の調査を行います。

法定相続人調査

法定相続人調査とは、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍を収集し、相続人を洗い出すことを指します。

調査では次のようなものを収集します。

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍謄本

なお、現在は、戸籍の広域交付制度が整えられているため、調査を行う相続人が被相続人の直系血族である場合にはお住いの地域の役所にて一括で請求することが可能です。

調査によって判明した法定相続人に被相続人が開始したことを伝え、遺産を相続するかどうかの意思確認をします。

相続の意思表示をした、もしくは相続開始から3か月以内に相続放棄を行わなかった場合には相続を承認したことになります。

これを相続人確定と呼びます。

相続財産の調査

相続財産とは、被相続人の資産や債務などを調べる調査の事を指します。

不動産を確認する場合には、次のような書類を取得して確認することになります。

順番取得する書類取得先主な目的
1名寄帳・権利証市区町村役場・自宅全不動産の特定
2登記事項証明書法務局権利関係の確認
3固定資産評価証明書市区町村役場名義変更にかかる税金の計算

不動産の存在を知らないと、相続登記を行えないため入念に調査をする必要があります。

2.遺産分割協議で不動産の取得者を決める

相続人全員が揃った状態で、誰が不動産を取得するのかを話し合います。

遺産の分割には必ず相続人全員の同意が必要であり、1人でも反対する者がいれば協議は成立しません。

話し合いがまとまったら、合意内容を証明するために遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

3.登記申請書を作成する

集めた書類をもとに、法務局へ出す登記申請書を作成します。

内容にミスがあると修正を求められるため、間違いのない正確な記入が必要です。

申請書の入手方法

登記申請書の様式やテンプレートは、法務局の公式ウェブサイトからダウンロードして入手できます。

  • 遺産分割
  • 遺言
  • 法定相続

それぞれに各種様式が用意されています。

【記入例付き】登記申請書の書き方

登記申請書の主な記載項目は次の通りです。

  • 登記の目的:所有権移転
  • 原因:令和6年○月○日相続
  • 被相続人:氏名
  • 相続人:住所、氏名、連絡先電話番号
  • 添付情報:登記原因証明情報、住所証明情報
  • 課税価格:登録免許税の計算の基礎となる金額
  • 登録免許税:納付する税額
  • 不動産の表示:所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積

不動産の表示欄には、登記事項証明書の記載内容を一言一句違わずに正確に転記します。

4.登録免許税を納付し、法務局へ申請する

完成した登記申請書と添付書類をまとめ、不動産を管轄する法務局へ提出します。

税金分の収入印紙を申請書に貼って納めます。

提出は窓口への持参のほか、郵送やオンラインでも可能です。

5.登記識別情報通知書を受け取る

申請から1~2週間程度で法務局の審査が完了し、登記が完了します。

手続き完了後、新たな所有者に対して登記識別情報通知書が発行されます。

登記識別情報通知書は、従来の権利証に代わる重要な書類であるため、大切に保管する必要があります。

相続登記の必要書類一覧【チェックリスト】

相続登記では、登記を行う原因の類型に応じて揃えるべき書類が異なります。

手続きの形式に応じた必要書類を確認して準備を進めます。

共通で必要な書類

どのようなケースであっても、共通して提出を求められる書類があります。

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 対象不動産の固定資産評価証明書

遺産分割協議で相続する場合

相続人同士の話し合いによって、特定の相続人が不動産を取得する場合の書類です。

共通書類に加えて以下の書類が必要となります。

  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書

遺言書に基づいて相続する場合

亡くなった方が残した遺言書に従って名義を変更する場合の書類です。

共通書類の一部を簡略化できる場合がありますが、以下の書類が必要となります。

  • 遺言書原本
  • 検認済証明書 ※自筆証書遺言の場合
  • 被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本
  • 遺言で指定された相続人の戸籍謄本および住民票

法定相続分で相続する場合

法律で定められた割合の通りに相続人全員の共有名義で登記を行う場合の書類です。

遺産分割協議書や印鑑証明書は必要なく、共通書類を提出するだけで申請ができます。

相続人のうちの1人が代表して全員分の登記を申請することも可能です。

相続登記にかかる費用・税金のすべて

名義変更にはさまざまな費用がかかります。

  • 税金
  • 書類代
  • 専門家への報酬など

あらかじめ費用の内訳を把握しておくことで、資金の準備を円滑に行えます。

必ずかかる費用

自分で手続きを行う場合であっても、公的な実費は必ず発生します。

登録免許税

登録免許税は、不動産の名義変更を行う際に法務局へ納める国税です。

不動産の評価額に0.4%かけて計算します。

たとえば、評価額1000万円の場合には4万円になります。

また、評価額が100万円以下の土地については、免税措置が設けられている場合があります。

必要書類の取得費用

役所や法務局で各種証明書を取得する際の手数料です。

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本・改製原戸籍謄本:1通750円
  • 住民票の写し・住民票除票:1通300円前後
  • 印鑑証明書:1通300円前後
  • 固定資産評価証明書:1通300円から400円前後
  • 登記事項証明書:1通600円(窓口取得の場合)

相続人の数や戸籍の異動状況によって異なりますが、実費の合計は数千円から1万5000円程度となるのが一般的です。

司法書士に依頼する場合の報酬

手続きを司法書士へ依頼する場合、実費とは別に専門家への報酬が発生します。

一般的な報酬の相場は、不動産の筆数や相続人の人数に応じて5万円から15万円程度です。

  • 戸籍謄本の収集代行
  • 遺産分割協議書の作成

これらをあわせて依頼する場合は、追加費用が加算されます。

相続登記に関するよくある質問(Q&A)

相続登記に関するよくある質問についてまとめてみましたので確認してみてください。

期限内に登記できない場合はどうすればいい?

遺産分割がまとまらないなど、3年の期限に間に合わないときは、相続人申告登記を行います。

相続人申告登記は、法務局へ自分が相続人であることを申し出る手続きです。

この申し出をしておけば、申請の義務を果たしたとみなされ、10万円以下の過料を避けられます。

ただし、遺産分割が完了したら、確定したときから3年以内に相続登記を行う必要があります。

あくまで相続人親告登記は暫定措置であるため、そのままにしておくことができない点には注意してください。

共有名義で相続登記するメリット・デメリットは?

共有名義で相続登記を行うメリットは、遺産分割がスムーズに進みやすいことがあります。

ただし、共有名義は所有している全員の同意がなければ売却や修繕などが行えないデメリットがあります。

また、共有名義人が亡くなった場合、所有権が細分化されトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。

未登記の建物はどうすればいい?

登記されていない古い建物があるときは、まず建物の情報を登録し、その後に名義を登録します。

そのまま放置していると誰の持ち物か分からなくなり、将来売却する際に支障をきたします。

相続した土地が不要な場合はどうする?

管理が困難な土地や利用予定のない土地を相続した場合、条件を満たせば国に引き取ってもらう制度を利用できます。

制度を利用するためには、建物がないことや土壌汚染がないことなどの基準をクリアする必要があります。

審査手数料と10年分の管理費用にあたる負担金を納めると、土地を手放せます。

登記申請書の「登記原因証明情報」とは?

登記原因証明情報とは、どんな理由で名義が変わったのかを証明する書類一式のことです。

相続では、亡くなったことや相続人であることがわかる戸籍謄本、遺産分割協議書や遺言書などがこれにあたります。

権利証を紛失していても大丈夫?

亡くなった方が所有していた不動産の権利証や登記識別情報通知書を紛失していても、通常の相続登記は問題なく進めることができます。

相続登記では戸籍謄本などによって権利の移転を証明するため、亡くなった方の権利証は原則として不要です。

まとめ

今回は相続登記について解説しました。

不動産の相続登記は義務化され、放置すると10万円以下の過料を支払わなければならないおそれがあります。

自力での手続きが難しい場合や権利関係が複雑な場合は、司法書士をはじめとする専門家への相談を検討しながら、期限内に名義変更を完了させましょう。

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