東京は相続税を支払う割合が高い?理由や申告を怠ったときのペナルティ
2026/09/16

相続税は、遺産が一定の価額を超えたときに発生します。
国税庁の公表したデータによると、相続全体の1割が相続税の課税対象となっています。
今回は、相続税の割合や国税庁が公表している相続税の申告事績によると、日本全国で1年間に亡くなった被相続人のうち、相続税の課税対象となった方の割合は約9%から10%です。
これは統計上、10人が亡くなればそのうち1人の遺族に対して相続税の納税義務が発生していることを意味しています。
今回は東京の相続税の課税割合がなぜ高いのかについて考えていきたいと思います。
東京の課税割合が高い理由
全国平均の課税割合が約10%であるのに対し、東京国税局管内は約15%を超え、東京都単独では約20%に達しています。
東京の課税割合が突出して高くなっている主な理由は、以下の通りです。
土地価格が高いから
東京都内の住宅地は、路線価が全国水準と比べても特に高く設定されています。
たとえば、30坪から40坪程度の一般的な広さの戸建て住宅であっても、土地の評価額だけで5000万円から1億円近くに達することがあります。
これに建物の評価額や預貯金を合わせるだけで、基礎控除額を容易に超過して課税対象となります。
所得水準が高いから
東京には大企業の本社や専門職の就業先が集中しており、全国平均を大きく上回る所得水準を誇ります。
長年にわたる高水準の給与収入や多額の退職金の蓄積により、被相続人が遺す預貯金などの金融資産が大きくなりやすい傾向があります。
金融資産を多額に保有する世帯が多い
東京都内には資産運用への関心が高い層が集まっており、保有資産に占める有価証券の割合が高い特徴があります。
近年の株価上昇に伴って保有する株式や投資信託の評価額が膨らみ、不動産以外の金融資産だけで基礎控除額を上回るケースも見られます。
課税割合が高くなった背景
日本全体で相続税の課税割合が約10人に1人にまで増加した契機は、2015年1月1日に施行された抜本的な相続税法の改正にあります。
この税制改正において、遺産総額から無条件で差し引くことができる基礎控除額が、従来の60%にまで一気に引き下げられました。
基礎控除額が削減された結果、都市部にマイホームを所有し一定の預貯金を蓄えていた中間層が一斉に課税対象へと組み入れられることになりました。
さらに、近年における世界的な金融緩和に伴う株価の上昇や、都市部を中心とするタワーマンション・商業地・住宅地価格の高騰が重なり、評価額が膨らんで申告対象となる人が増加し続けています。
相続税の対象となる主な財産の内訳【東京国税局データ】
東京国税局が公表している相続税の申告実績データを分析すると、実際にどのような種類の財産に対して課税が行われているのか、資産構成の特徴を把握することができます。
主要な財産区分について、以下で確認していきましょう。
現金・預貯金
東京国税局管内の相続税申告において、多くの割合を占めているのが現金および預貯金です。
申告された相続財産総額のうち約30%以上が現金・預貯金で占められており、全国平均と比較しても高い構成比率を示しています。
超高齢社会の進展に伴い、退職金や不動産の売却資金、長年蓄積された年金収入などを預金口座に預けたまま相続を迎えるケースが増加していることが主な要因と考えられています。
現金や預貯金は納税資金として直接活用できるメリットがある一方、保有しているだけでは税負担を軽減できないため、生前贈与などを活用した計画的な対策が求められます。
土地・家屋
土地や家屋をはじめとする不動産は、東京国税局管内における相続財産の約35%から40%近くを占める財産区分となっています。
特に地価水準が極めて高い東京都内においては、相続財産の大半が自宅や事業用不動産の土地評価額で占められる事例が頻繁に見られます。
土地の相続税評価額は、道路ごとに設定された路線価に土地の面積や形状に応じた補正率を乗じて算出されます。
路線価は実際の売買価格の8割程度を目安に設定されているため、評価額を一定程度抑えられる特徴があります。
さらに、小規模宅地等の特例を適用することで評価額をさらに減額することができるかもしれません。
ただし、不動産は均等に分割することが困難であるため、遺産分割協議において相続人同士の対立を招きやすいデメリットがあります。
不動産の評価額が高額になりすぎると多額の納税資金が必要となるため、事前の正確な試算と資金準備を進めておくことが重要です。
有価証券
現金や不動産に次ぐ主要な相続財産として、上場株式や投資信託、国債などの有価証券があげられます。
東京国税局管内では資産運用や投資活動を行う世帯が多く、有価証券の構成比率は財産全体の約15%前後に達しています。
上場株式の評価額は、被相続人が亡くなった当日の終値、当月の月間平均株価、前月の月間平均株価、前々月の月間平均株価のうち、低い金額を選択して計算できる特例が設けられています。
一方、オーナー経営者が保有する非上場株式については、会社の資産状態や配当・利益水準などを加味した特殊な方式で評価され、予想外に高額な評価額となるケースもあります。
どちらの場合も評価額の算出が複雑になるため、専門家に依頼することを考慮に入れておくと良いかもしれません。
e-Taxの利用率は?
税務行政全体のデジタル化が進む中、国税庁は相続税申告におけるe-Taxの利用普及を推進しています。
従来、相続税の申告業務は戸籍謄本や不動産の登記事項証明書、金融機関の残高証明書など膨大な紙の証明書類を提出する必要がありました。
しかし、国税庁によるシステムの改修や添付書類のデータ送信機能の導入が進んだことにより、利用率は年々上昇を続けています。
国税庁が公表した統計データによると、税理士による代理送信を含めた相続税申告におけるe-Taxの利用率は、令和6年度時点で50.3%と過去最高を記録しました。
相続税申告における税理士の関与割合自体は約86%と高い水準を維持しており、税理士を介した電子申告の活用が浸透しつつあります。
e-Taxを活用することで、税務署の窓口へ出向く手間や郵送コストを削減でき、申告期限の間際であっても24時間いつでも申告書を送信できます。
また、送信直後に電子データとして即座に受付通知が発行されるため、申告期限内に提出が完了した記録を保管できる安心感もあります。
マイナンバーカードを用いたオンライン申告の環境整備も進められており、今後は電子申告の割合がさらに高まる見込みです。
税務調査の実態とペナルティ
相続税は、所得税や法人税などのあらゆる税目の中でも、税務調査が実施される確率が高い税金として位置づけられています。
国税庁の公式発表によると、申告書を提出した全件数のうち約5%から6%前後の割合で税務署による実地調査が実施されています。
税務署がどのような情報ネットワークと調査権限を用いて財産を補足しているのか、そして不備が判明した場合に科されるペナルティの内容について確認していきましょう。
税務署はどうやって財産を把握するのか
税務署が被相続人や親族の財産状況を極めて正確に把握できる背景には、国税総合管理システムと呼ばれるデータベースの存在があります。
このデータベースには、被相続人が生前に提出した過去数十年分の確定申告書、給与所得の源泉徴収票、不動産の取得や売却に関する登記情報、上場株式の配当支払調書などが蓄積されています。
税務署はこれらのデータを綿密に分析し、被相続人の生涯年収や保有資産の規模、生前に形成されたはずの金融資産の総額を事前に推計しています。
さらに、税務署は法律に基づく強力な質問検査権を行使し、日本全国の銀行や信用金庫、証券会社に対して金融取引履歴の開示を命じることができます。
この調査権限により、被相続人本人の名義口座だけでなく、配偶者や子ども、孫名義の口座についても過去10年分以上にわたる入出金履歴を調査することが可能です。
また、不動産の売買履歴や固定資産税の課税台帳、海外送金に関する国外送金等調書なども照合されるため、財産を隠し通すことは非常に困難と言えます。
無申告や申告漏れが発覚した場合
税務調査によって申告内容の漏れや無申告が発覚した場合、本来納めるべきであった相続税の本税に加えて、ペナルティが科されます。
ペナルティとして科される代表的な税目には、以下の種類があります。
| 税金の種類 | 主な課税要件 | 税率・割合 |
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したものの申告金額が不足していた場合 | 追加本税の10%から15% |
| 無申告加算税 | 正当な理由がなく申告期限までに申告を行わなかった場合 | 納付すべき税額に応じて15%から30% |
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じた利息に相当する場合 | 年利最大14.6%相当 |
| 重加算税 | 財産の隠蔽や書類偽造など故意に仮装隠蔽を行った場合 | 本税の35%から40% |
悪質な脱税事案とみなされた場合は、税法上のペナルティにとどまらず刑事告発を受けて、拘禁刑や罰金刑などの刑事罰が科されるリスクも伴います。
ただし、税務署から税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告や期限後申告を行った場合は、加算税の税率が軽減される救済措置も設けられています。
申告内容に不安がある場合や申告漏れに気づいた際は、調査が入る前に対処することが重要です。
まとめ
今回は、東京の相続税の課税割合が高い理由について考えていきました。
東京都内や近隣の市で暮らしている場合、相続税が発生する確率は高いと言えます。
したがって、相続が発生した場合や将来の相続税額に不安がある場合は、相続税に強い税理士へ早めに相談し、適切な申告と確実な納税準備を進めていきましょう。
相続税は、誰が申告するかで納める額が変わります。土地は形状や利用状況によって評価額が下がる場合があり、適用できる特例も複数あります。申告期限は10か月と短いため、早めの相談が安心です。
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