建設業許認可の申請の流れ|行政書士に依頼すべき理由

2026/11/03

建設業許認可の申請の流れ|行政書士に依頼すべき理由

元請会社から、建設業許可を取らなければ今後は取引できないと言われ、急いで準備を始める事業者が増えています。

建設業許可の申請には、要件の確認から書類の作成まで多くの手順があり、初めての方には負担が大きい手続きです。

今回は、建設業許可の申請の流れや、行政書士に依頼すべき理由などについて解説します。

建築業許認可の申請手順・ステップごとの流れ

建設業許可の申請は、要件の確認から営業開始まで、大きく以下の6つのステップで進みます。

ステップ1:許可の条件を確認・取りたい許可の種類を決める

建設業許可の申請では、まず自社が許可の要件を満たしているかを確認します。

建設業許可の主な要件は次のとおりです。

  • 建設業の経営経験が5年以上ある役員などが常勤している
  • 資格や10年以上の実務経験を持つ技術者が営業所に常勤している
  • 請負契約について不正や不誠実な行為をするおそれがない
  • 自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金を調達できる
  • 役員などが欠格要件に当てはまらない
  • 健康保険や厚生年金などの社会保険に加入している

要件を満たしていることが分かったら、取得する許可の種類を決めます。

許可は、営業所の所在地、下請に出す金額、工事の業種の3つの組み合わせで決まります。

営業所が1つの都道府県にだけある場合は都道府県知事の許可、2つ以上の都道府県にある場合は国土交通大臣の許可が必要です。

元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5000万円以上になる場合は特定建設業の許可が必要です。

建築一式工事では、この基準が8000万円以上になります。

それ以外の場合は一般建設業の許可で足ります。

業種は、土木一式工事や内装仕上工事など29種類に分かれており、請け負う工事の業種ごとに許可を取ります。

なお、1件の請負代金が500万円未満の工事だけを請け負う場合は、建設業許可は必要ありません。

建築一式工事では、1500万円未満の工事か、延べ面積150平方メートル未満の木造住宅の工事が対象です。

この金額は、消費税と、注文者が支給する材料の価格を含めて判断します。

ステップ2:必要書類と役所の証明書を集める

建設業許可の要件を確認したら、要件を満たしていることを証明する書類を集めます。

主な書類は次のとおりです。

  • 会社の登記事項証明書と定款
  • 役員などの身分証明書と、登記されていないことの証明書
  • 法人事業税などの納税証明書
  • 社会保険への加入を確認できる書類
  • 経営経験や技術者の実務経験を裏付ける契約書や注文書
  • 技術者の資格証明書
  • 営業所の賃貸借契約書と写真
  • 預金の残高証明書

身分証明書は本籍地の市区町村で、登記されていないことの証明書は法務局で取得します。

身分証明書を受け取ったら、破産していないことの記載があるかを必ず確認してください。

破産して復権していない人の場合、その項目が記載されずに発行されることがあるためです。

経営経験や実務経験を証明する書類は、期間が長いほど量が多くなります。

過去5年分や10年分の契約書を探し出す作業に、最も時間がかかることが少なくありません。

ステップ3:工事の実績・決算の書類を作る

建設業許可の申請書には、工事の実績を示す工事経歴書と、建設業法の様式に沿った財務諸表を添付します。

工事経歴書は、直前の事業年度にどのような工事をいくら請け負ったかを一覧にした書類です。

工事経歴書は許可を取得した後も毎年提出する書類で、誰でも閲覧できる書類として公開されます。

記載を誤ると、経営経験や実務経験の審査にも影響するため、正確に作成する必要があります。

財務諸表は、税務申告で使う決算書をそのまま出すのではなく、建設業法が定めた勘定科目と様式に組み替えて作成します。

たとえば、税務上の決算書の売上高は、建設工事の売上と、それ以外の兼業の売上に分けて記載しなければなりません。

工事経歴書の合計額と、財務諸表の完成工事高が食い違っていないかも確認してください。

ステップ4:申請書を提出・手数料を納める(窓口・電子申請)

建設業許可の申請書がそろったら、許可を出す行政庁に提出し、手数料を納めます。

知事許可は都道府県の担当窓口に、大臣許可は本店を管轄する国土交通省の地方整備局に提出します。

窓口に持参するほか、国土交通省の建設業許可・経営事項審査電子申請システムを使って、インターネットで申請することもできます。

電子申請に対応しているかどうかや受付の方法は、都道府県によって異なります。

新規申請の手数料は、知事許可が9万円、大臣許可が登録免許税として15万円です。

手数料は、申請が受理された後に不許可となっても返還されません。

ステップ5:役所の審査を待つ(目安は約30日〜45日)

建設業許可の申請が受理されると、行政庁による審査が始まります。

知事許可の場合、審査期間の目安は30日から45日程度です。

大臣許可は、これより長い期間がかかります。

審査の途中で書類の不備が見つかると、補正や追加資料の提出を求められます。

補正に対応している期間は審査が止まるため、その分だけ許可が出るまでの期間が延びます。

ステップ6:許可通知書を受け取り・許可業者として営業を始める

建設業許可の審査が終わると、許可通知書が届きます。

許可通知書に記載された許可日から、500万円以上の工事も請け負えるようになります。

許可業者になると、営業所と工事現場に、許可を受けていることを示す標識を掲げる義務があります。

毎年の決算後には、事業年度が終わってから4か月以内に、工事経歴書や財務諸表を添えた決算変更届を提出しなければなりません。

建設業許可の有効期間は5年です。

引き続き営業する場合は、有効期間が満了する日の30日前までに更新を申請する必要があります。

期限を過ぎると許可が失効し、500万円以上の工事を請け負えなくなります。

建築業許認可の申請を行政書士に依頼すべき4つの理由

建設業許可の申請は事業者が自分で行うこともできますが、行政書士に依頼すると次の4つの利点があります。

行政書士は、官公署に提出する書類の作成と申請の代理を、報酬を得て行うことが法律で認められた専門家です。

膨大な書類収集と作成の手間を省くことができる

行政書士に建設業許可の申請を依頼すると、書類の収集と作成にかかる事業者の手間を大きく減らせます。

申請書類は、添付書類や確認資料を含めると数十種類に及びます。

特に負担が大きいのは、経営経験や実務経験を裏付ける資料の準備と、建設業法の様式に合わせた財務諸表の作成です。

行政書士は、どの書類で何を証明するかを整理したうえで、事業者が用意すべき資料だけを伝えます。

事業者は本業の工事を止めずに、申請の準備を進められます。

申請不備を防げる

建設業許可の申請を行政書士に依頼すると、要件の判断や書類の記載の誤りによる不備を防げます。

建設業許可の要件には、経営経験として認められる期間や、技術者の資格と業種の対応関係など、判断に専門知識が必要なものが多くあります。

経験の数え方を誤ると、要件を満たしていないと判断され、許可が下りないこともあります。

工事経歴書や財務諸表に誤りがあると、審査で指摘を受けるだけでは済まない場合もあります。

工事実績を水増しした工事経歴書を提出し、公共工事の格付を不正に上げた建設会社の代表者が、有罪判決を受けた例もあります。

行政書士は、事業者の資料と申請書の内容が一致しているかを確認したうえで申請します。

無駄な差し戻しをなくし最短スケジュールで許可取得できる

建設業許可の申請を行政書士に依頼すると、書類の差し戻しが減り、許可を取得するまでの期間を短くできます。

申請書類に不備があると、窓口で受理されなかったり、審査の途中で補正を求められたりします。

補正のたびに審査が止まり、そのつど資料を集め直す必要があります。

元請会社から許可の取得期限を示されている場合、この遅れが取引の機会を失うことにつながります。

行政書士は、行政庁ごとの審査の傾向や、事前に確認すべき点を把握しています。

申請の前に要件と書類を確認しておくことで、受理から許可までの期間を目安どおりに進めやすくなります。

取得後の決算変更届・更新・公共工事入札(経審)まで見据えたサポートを受けられる

行政書士に建設業許可の申請を依頼すると、許可を取得した後の手続きまで継続して任せられます。

建設業許可は、取得した後も次のような手続きが必要です。

  • 毎事業年度の終了後4か月以内に提出する決算変更届
  • 5年ごとの許可の更新
  • 役員や技術者、営業所が変わったときの変更届
  • 公共工事の入札に参加するための経営事項審査

経営事項審査とは、公共工事を元請として受注しようとする建設業者が受ける、経営状況や技術力の審査です。

経営事項審査では財務諸表の内容が評点に反映されるため、許可申請の段階から一貫した方針で書類を作成しておくことが望ましいといえます。

決算変更届を出し忘れていると、更新の申請を受け付けてもらえません。

許可の取得時から同じ行政書士に依頼しておけば、期限の管理も任せられます。

建築業許認可の申請を行政書士へ依頼した際の費用相場

建設業許可の申請を行政書士に依頼すると、行政書士に支払う報酬と、行政庁に納める法定手数料がかかります。

このほかに、証明書の取得費用として数千円程度の実費が必要です。

行政書士報酬の相場|新規・更新・業種追加

建設業許可の申請を依頼したときの行政書士報酬は、日本行政書士会連合会の2025年度の報酬額統計調査によると次のとおりです。

報酬額は消費税を含んだ金額です。

手続き平均最も多い金額
新規申請 個人・知事許可13万2040円11万円
新規申請 法人・知事許可15万1341円16万5000円
新規申請 法人・大臣許可19万9972円22万円
更新申請 個人・知事許可7万716円5万5000円
更新申請 法人・知事許可8万2408円5万5000円
業種追加8万899円8万8000円
決算変更届4万2997円3万3000円

報酬額は、事務所の所在地や、経験を証明する資料の集めやすさによって変わります。

実務経験で技術者の要件を証明する場合など、確認する資料が多いと報酬が高くなる傾向があります。

法定手数料(知事許可9万円・大臣許可15万円)との合計目安

建設業許可の新規申請では、行政書士報酬とは別に、知事許可で9万円、大臣許可で15万円の法定手数料を納めます。

更新と業種追加の手数料は、知事許可、大臣許可とも1件5万円です。

報酬額統計の最も多い金額をもとにすると、新規申請の費用の合計は次のようになります。

手続き行政書士報酬法定手数料合計の目安
新規申請 個人・知事許可11万円9万円20万円
新規申請 法人・知事許可16万5000円9万円25万5000円
新規申請 法人・大臣許可22万円15万円37万円

法定手数料は行政書士の報酬ではなく、行政庁に納める費用です。

見積もりを比べるときは、法定手数料が含まれた金額か、報酬だけの金額かを確認してください。

建築業許認可の流れについてよくある質問

建設業許可の申請について、事業者の方からよく受ける質問にお答えします。

個人事業主から法人化(法人成り)した場合、個人の建設業許可は引き継げますか?

個人事業主の建設業許可は、事前に行政庁の認可を受ければ、新しく設立した法人に引き継げます。

2020年10月から、事業を譲り渡す前に認可を受けることで、許可を途切れさせずに法人へ移せるようになりました。

認可を受けずに法人化すると、個人の許可は廃業届によって失われ、法人として新規に許可を取り直すことになります。

新規申請の審査中は500万円以上の工事を請け負えないため、仕事が止まる期間が生じます。

認可の申請は、事業を譲り渡す日より前に行う必要があります。

法人化を決めた段階で、早めに準備を始めてください。

一人親方として活動していますが、建設業許可をとることはできますか?

一人親方でも、建設業許可の要件を満たせば許可を取得できます。

従業員がいなくても、本人が経営の責任者と営業所の技術者を兼ねることができるためです。

一人親方の場合は、主に次の3点を確認します。

  • 本人が個人事業主として5年以上、建設業を営んできたこと
  • 本人が許可を受ける業種の資格か、10年以上の実務経験を持っていること
  • 自己資本か預金残高が500万円以上あること

従業員を雇っていない個人事業主は、社会保険については国民健康保険と国民年金への加入で足ります。

確定申告書の控えが、営業の期間を示す重要な資料になります。

過去の工事契約書や注文書を一部紛失してしまいましたが、実務経験の証明は諦めるべきでしょうか?

工事契約書や注文書の一部を紛失していても、実務経験の証明を諦める必要はありません。

契約書や注文書がない期間は、別の資料で工事を請け負っていたことを示せる場合があります。

代わりに使える資料には、次のようなものがあります。

  • 請求書の控えと、代金が振り込まれたことが分かる通帳の写し
  • 取引先が発行した支払明細書
  • 工事の内容が分かる確定申告書の控え

どの資料をどの程度の期間分求めるかは、都道府県によって基準が異なります。

資料の組み合わせ方によって証明できるかどうかが変わるため、手元にある資料を整理したうえで、行政書士に相談してください。

行政書士を選ぶときの確認ポイントは?

建設業許可の申請を依頼する行政書士を選ぶときは、次の点を確認してください。

  • 建設業許可の申請を数多く扱っているか
  • 依頼の前に、要件を満たしているかを確認してくれるか
  • 見積もりに、報酬と法定手数料が分けて書かれているか
  • 決算変更届や更新、経営事項審査にも対応しているか
  • 質問への返答が早く、説明が分かりやすいか

行政書士でない者が、報酬を得て建設業許可の申請書類を作成することは、行政書士法で禁止されています。

依頼する前に、相手が行政書士として登録しているかも確認してください。

まとめ

今回は、建設業許可の申請の流れや、行政書士に依頼すべき理由と費用などについて解説しました。

建設業許可の申請では、要件の確認から書類の作成まで多くの手順があり、不備があると許可の取得が遅れます。

とはいえ、必要な書類や手続きの進め方は事業者ごとに異なるので、お困りの方は行政書士に相談することを検討してください。

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