許認可申請業務について|行政書士ができること
2026/07/01

行政書士は官公庁に提出する書類の作成や提出の代理を行う専門家です。
事業を新しく始めるためには国や自治体から特定の許可や認可を受ける必要があるケースが数多くあります。
行政書士はこれらの複雑な申請手続きを代行し事業主の負担を軽減する役割を担っています。
今回は、行政書士が行う許認可申請業務について解説します。
許可・認可・届出の違いとは
許認可の区分は大きく許可・認可・届出の3つにわけることができ、それぞれ法律上の性質が異なります。
違いを以下の表にまとめましたので確認してみてください。
| 区分 | 定義 | 難易度や審査の特徴 | 代表的な具体例 |
| 許可 | 原則として禁止されている行為について、特定の要件を満たした場合にその禁止を解除する行政処分 | 厳しい審査基準をクリアする必要があり、専門的な知識が求められる | 建設業許可、飲食店営業許可、風俗営業許可など |
| 認可 | 当事者間の契約や行為について行政機関が同意を与えることで、法的な効力を発生させる手続き | 行政機関の同意が必要であり、法律に適合しているかどうかが厳しく確認される | 保育所の設置認可、社会福祉法人の設立認可など |
| 届出 | 一定の事実を行政機関に知らせるだけで手続きが完了するもの | 比較的簡素な手続きで済むことが多いものの、添付書類の準備に手間がかかる場合がある | 深夜酒類提供飲食店営業開始届出、民泊の届出 など |
許認可申請を行政書士に依頼するメリット
許認可申請を行政書士に依頼するメリットとして、本業の準備に専念できるというものがあります。
許認可に関連する法律や条例は頻繁に改正が行われており、自社で最新の情報を常に把握することは容易ではありません。
一方で、行政書士は日頃から最新の法令に基づいて適正な書類作成を行っているため、最新の法令をもとに手続きを行うことができます。
また、窓口となる行政機関との事前相談や折衝の代行が可能なため、自社で対応するよりも審査の通過率を上げることが期待できます。
行政書士に依頼できる許認可の種類一覧【業種別】
事業の目的によって求められる許認可には数多くの種類があります。
ここでは主要な業種ごとに整理してどのような手続きが必要になるのかを紹介します。
建設・不動産業に関する許認可
建設業を営むためには一定の規模を超える工事を請け負う場合に建設業許可が求められます。
この許可には都道府県知事許可と国土交通大臣許可の2種類があります。
都道府県知事許可の場合、営業所のある都道府県のみに適用されます。
一方、国土交通省大臣許可は2つ以上の都道府県をまたがって、建設事業を行うことが可能です。
また、一般建設業許可と特定建設業許可という区分もあり下請けに出す金額によって要件が異なります。
許可を取得するためには経営業務の管理責任者や専任技術者といった厳格な要件を満たす必要があります。
これらの要件を証明するための書類収集は非常に煩雑であり多くの時間を費やすことになります。
不動産業を営む場合には宅地建物取引業免許が必要となります。
免許を取得するためには事務所の形態や専任の宅地建物取引士の設置などの条件をクリアしなければなりません。
免許の有効期間は5年であり、期間満了前に更新手続きを忘れずに行う必要があります。
飲食・風俗営業に関する許認可
飲食店を開業するためには管轄の保健所に対して飲食店営業許可の申請を行う必要があります。
この許可を得るためには施設が食品衛生法に基づく基準を満たしているかどうかの検査を受けなければなりません。
厨房の設備や手洗い場の設置など細かな要件が定められており、事前の確認が重要です。
また食品衛生責任者を店舗に配置することも必須の要件とされています。
深夜にお酒を提供するバーや居酒屋を運営する場合は深夜酒類提供飲食店営業の届出が別途必要になることがあります。
さらにキャバクラやホストクラブなどの風俗営業を行う場合には、公安委員会の許可を受けなければなりません。
風俗営業許可の申請には、店舗の所在地によっては用途地域の制限により営業が認められないケースもあります。
したがって、所在している地域の条例の確認や店舗の図面作成。周辺環境の調査などを行う必要があります。
物品販売・リサイクル業に関する許認可
中古品を買い取って販売する事業を行うためには古物商許可を取得する必要があります。
古物商許可が必要な事業として、リサイクルショップや中古車販売業、また古着屋などがあります。
この許可は、盗品が市場に流通することを防ぐためのものであり、管轄の警察署に対して申請を行います。
古物商許可の申請には管理者の選任や営業所の確保といった要件を満たす必要があります。
申請書類には住民票や身分証明書および誓約書などが含まれており漏れなく準備することが求められます。
申請から許可が下りるまでには一定の審査期間を要するため、早めに手続きを開始することが望ましいといえます。
また取り扱う古物の種類によって申請時に選択する区分が異なる点にも注意が必要です。
運輸・運送業に関する許認可
他人から運賃を受け取って貨物を運ぶ事業を行うには一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。
トラック運送業などを行う場合に必要な許可で、取得するための要件が厳しいことで知られています。
運送業の許可を得るには、営業所や休憩施設の確保、車両の台数や運行管理者の選任など多岐にわたる条件をすべてクリアしなければなりません。
さらに資金要件もあり、事業を開始するために十分な資金があることを証明する書類の提出が求められます。
タクシーやバスなどの旅客を運送する事業においては、一般乗用旅客自動車運送事業などの許可が必要です。
これらの許可を得るには、事業計画書の作成や役員に対する法令試験の合格などさまざまな要件を満たす必要があります。
許可申請から取得までには、早くて数か月から、不備などがあるとさらに時間を要することもあります。
したがって、行政書士に申請のサポートを受けた方がよいといえます。
会社設立に関する書類作成
事業を法人としてスタートさせる場合、定款作成や登記申請、その事業内容によっては許認可申請を行う必要があります。
会社を設立するためには、まず基本的なルールを定めた定款を作成しなければなりません。
株式会社の場合は作成した定款について公証役場で公証人の認証を受ける手続きが求められます。
行政書士は定款の作成や認証手続きの代理を行うことができます。
定款の事業目的は、将来的に許認可が必要な事業を展開したい場合にはあらかじめ考慮する必要があります。
行政書士に依頼することで将来の事業展開を見据えた適切な定款を作成することが可能となります。
産廃・旅行業などの許認可
産業廃棄物の収集や運搬を行う事業を始めるためには産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
この許可は廃棄物を積み込む場所と降ろす場所のそれぞれの都道府県知事から得る必要があります。
申請には講習会の受講が必須であり車両や運搬容器の基準を満たしていることを証明する写真などの提出が求められます。
旅行業を営む場合には旅行業法に基づく登録を受ける必要があります。
取り扱う旅行商品の範囲によって細かく区分されておりそれぞれ満たすべき要件が異なります。
個人事業主と法人での申請の違いと注意点
許認可申請において申請者が個人事業主であるか法人であるかによって手続きの内容や必要な書類が異なります。
法人の場合は会社の登記簿謄本や定款の写しなどの提出が求められるのが一般的です。
また法人の役員全員が欠格事由に該当していないことを証明するための書類が準備しなければならないケースもあります。
一方、個人事業主の場合は事業主本人の住民票や身分証明書などが主な必要書類となります。
個人事業主から法人化するときの注意点として、取得した許認可が引き継げないケースが多いことが考えられます。
事業の拡大に伴い個人事業主から法人へ組織変更をする場合は新たに法人として許認可を取り直す必要がある事業がほとんどです。
この場合、再申請のための費用や時間が新たにかかるだけでなく空白期間が生じて事業に支障をきたすリスクがあります。
したがって、近い将来に法人化を視野に入れている場合は最初から法人を設立して許認可を取得する方が効率的である可能性があります。
事前に行政書士に事業計画を相談することで無駄のない最適なタイミングでの申請方法を検討することができます。
行政書士に許認可申請を依頼した場合の費用相場
行政書士に許認可申請を依頼する際の報酬相場は事業によって異なります。
許認可ごとの報酬目安は以下の通りです。
| 業務項目 | 行政書士報酬の目安 |
| 建設業許可申請(新規) | 13万円から15万円 |
| 宅地建物取引業免許(新規) | 12万円から17万円 |
| 飲食店営業許可 | 5万円から6万円 |
| 風俗営業許可(新規) | 16万円から26万円 |
| 古物商許可 | 5万円 |
| 産業廃棄物収集運搬業許可(新規) | 11万円から13万円 |
| 一般貨物自動車運送事業許可 | 45万円 |
| 人材派遣業許可 | 数十万円 |
| 旅行業登録 | 21万円から22万円 |
| 会社設立(定款作成など) | 10万円前後 |
※金額はあくまで平均的な目安です。実際の費用は個別の状況や事務所の料金体系により異なります。
上記の金額のほか、申請時に必要な実費がかかります。
どこまで依頼するかで費用は変わる
行政書士に支払う費用は業務のどの部分までを依頼するかによって変動します。
すべての書類収集から作成および役所への提出まですべてを任せるプランは費用が高くなります。
しかし、事業主の時間を節約でき、手続きの遅れを防ぐことができるという大きなメリットがあります。
一方で事業主自身で住民票や登記簿謄本などの添付書類を集めるプランを選択すればその分だけ費用を抑えることができます。
予算に限りがある場合は自分で行える作業と専門家に任せるべき作業を切り分けることが有効な選択肢となります。
ただし、手続きに不慣れな場合は書類の不備で何度も役所に足を運ぶことになるリスクがあるので注意が必要です。
失敗しない!行政書士の選び方とタイミング
行政書士の選び方は事業の立ち上げをスムーズに行うための重要な要素となります。
選び方のポイントと、タイミングについて確認していきたいと思います。
許認可の専門性・実績を確認する
行政書士を選ぶときのポイントとして、その事務所が申請したい許認可に対応しているかどうかが挙げられます。
行政書士が取り扱うことができる業務の範囲は非常に広く、すべての分野に精通している事務所は稀です。
そのため、自身が取得したい許認可について豊富な実績と専門性を持っているかを確認することが大切です。
特定の業種に特化している事務所であれば、行政機関の審査のポイントを熟知しているため手続きがスムーズに進む可能性が高まります。
見積もりの内容が明確か
依頼する前には必ず書面で見積もりを提示してもらうことが重要です。
見積もりの内容が詳細であり何に対する費用なのかが明確に記載されているかを確認する必要があります。
報酬の金額だけでなく役所に支払う証紙代や印紙代などの実費が含まれているのか別なのかを把握しておくことが大切です。
また追加の手続きが発生した場合の料金体系についても事前に説明を受けておくことがトラブルを防ぐためのポイントとなります。
相談しやすく信頼できる人柄か
許認可申請は数か月から場合によっては長期間を要する長丁場となることがあります。
したがって、行政書士を選ぶときのポイントとして、相談しやすくコミュニケーションが円滑に取れる人柄であるか確認することが大切です。
初回の面談を通じて相性が良いと感じられる事務所を選ぶことがストレスのない事業開始に繋がる可能性があります。
相談のタイミング
行政書士への相談は事業の構想が固まった段階でできるだけ早く行うことが推奨されます。
許認可を取得するためには事業所の設備要件や人員の要件など事前に満たしておかなければならない条件が多数存在します。
物件を賃貸契約してから要件を満たしていないことが判明した場合、契約金などが無駄になってしまう恐れがあります。
事業計画を立てる初期の段階で専門家の意見を聞くことで法令に適合した事業所選びや資金計画を行うことが可能となります。
許認可申請に関するよくある質問
許認可申請について事業主からよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。
Q. 自分で申請するのと行政書士に依頼するのはどちらが良いですか?
費用をなるべく抑えたい場合は自分で申請を行うという選択肢もあります。
しかし、許認可申請には専門的な知識が求められることが多く、書類の不備で何度も役所に足を運ぶリスクが伴います。
書類の不備により事業の開始予定日が大幅に遅れてしまうと、結果的に大きな機会損失を生むことになりかねません。
行政書士に依頼することで確実かつ迅速に手続きを進めることができ、事業主は本来の業務である経営や営業に専念できるというメリットがあります。
Q. 賃貸物件やバーチャルオフィスでも営業所として認められますか?
許認可申請時、業務を行っている場所が、賃貸物件であっても営業所として認められることが多いです。
ただし、賃貸借契約書の利用目的が居住用となっている場合は、所有者の承諾書が必要になることがあります。
バーチャルオフィスについては、実態のある独立した空間が存在しないため多くの許認可において営業所として認められない傾向にあります。
物件を契約する前にその場所で目的の許認可が取得できるかを必ず確認しておく必要があります。
Q. 許可取得後に住所や役員が変わった場合、手続きは必要ですか?
許可を取得した後であっても会社の所在地や役員の構成などに変更が生じた場合は変更の手続きが必要となります。
変更があった日から決められた期間内に管轄の行政機関に対して変更届を提出しなければなりません。
この期間は法律によって異なりますが、30日以内と定められていることが多いです。
変更の手続きを怠ると許可の取り消しや罰則の対象となる恐れがあるため注意が必要です。
まとめ|複雑な許認可申請は専門家である行政書士に相談しよう
新しい事業を始めるための許認可申請は想像以上に時間と労力を要する手続きです。
要件の確認や複雑な書類の作成および行政機関とのやり取りをすべて自力で行うことは大きな負担となりえます。
行政書士は事業主の頼れるパートナーとして適法かつスムーズな事業の立ち上げを支援することが可能です。
許認可事業を検討している場合には行政書士への相談を検討してください。





