逮捕後の流れ|判決までをわかりやすく解説
2026/08/22

日本の刑事手続きには法律で厳格な時間制限が設けられており、逮捕直後の対応がその後の結果を大きく左右します。
本記事では、逮捕から刑事裁判の判決がくだされるまでの流れについて紹介します。
【全体像】逮捕から判決までの流れ
逮捕された場合、判決に至るまでの刑事手続きは、大きく以下の4つの段階に分けることができます。
- 警察など捜査機関による逮捕
- 勾留による捜査
- 検察官による起訴の判断
- 裁判所での審理
具体的にはこのような内容になります。
| 段階 | 期間 | 主な手続きと内容 |
| 1. 警察・検察での手続き | 逮捕から最長72時間 | 取り調べ、検察への送致、勾留請求の判断 |
| 2. 勾留期間での捜査 | 原則10日間(延長で最長20日間) | 留置場での身柄拘束、実況見分、取り調べ |
| 3. 終局処分 | 勾留満了日 | 起訴または不起訴の判断 |
| 4. 刑事裁判から判決 | 起訴から約1か月から2か月後 | 公判手続き、被告人質問、判決言渡し |
また、刑事事件には以下の2種類あります。
| 捜査形式 | 身柄拘束の有無 | 特徴と社会生活への影響 |
| 身柄事件 | あり(逮捕・勾留) | 最長23日間で手続きが急速に進み、長期拘束により仕事や学校に重大な影響が生じる危険性がある |
| 在宅事件 | なし(自宅生活) | 日常生活を維持したまま指定日時に出頭して取り調べを受ける |
身柄事件として逮捕された場合は、最初の動きの早さがその後の結果を大きく左右するため、すぐに動く必要があります。
ステップ1:逮捕から検察への送致まで(最大72時間)
逮捕後は警察と検察による初期捜査が行われ、最大72時間の身柄拘束を受けます。
この72時間は外部との連絡が厳しく制限されるため、手続きの中でも極めて重要な期間です。
逮捕の種類|通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕
日本の法律上、逮捕の形式には以下の3つがあります。
■通常逮捕:裁判官が出した逮捕状に基づいて後日逮捕すること
■現行犯逮捕:事件の最中や直後の犯人をその場で令状なしに逮捕すること
■緊急逮捕:急を要する重大な犯罪において逮捕状を待たずに逮捕し後日令状を請求すること
ただし、どの形式で逮捕された場合であっても、その後に進む法的な手続きやルールに違いはありません。
逮捕された段階から、法律に基づいた厳格な身柄拘束の手続きが開始されます。
警察による取り調べと送致の判断(逮捕から48時間以内)
| 順番 | 手続き内容 | タイムリミットや特徴 |
| 1 | 警察署への連行 | 所持品検査・写真撮影・指紋採取を行う |
| 2 | 警察官による取り調べ | 事件の聞き取りを行い供述調書を作成する |
| 3 | 処分の判断 | 検察官への送致もしくは釈放 |
この間、家族や友人の面会は原則として認められず、外部との連絡が絶たれます。
不利な供述調書にサインしてしまわないよう、慎重な対応が求められます。
検察への送致
警察での48時間以内の手続きが終わると、事件は検察へ送られます。
この手続きを検察官送致、通称として送検と呼びます。
送検からの流れは以下のようになっています。
| 段階 | 手続き | 内容 | 期限 |
| 1 | 送検 | 警察から検察へ事件と身柄を引き継ぐ | 逮捕から48時間以内 |
| 2 | 検察の取り調べ | 検察官が言い分を聞き取り調書を作成する | 引き継ぎ後すぐ |
| 3 | 処分の決定 | 釈放するか、裁判官へ勾留を求めるか決める | 送検から24時間以内 |
この判断までの時間が極めて短いため、初期対応のスピードが重要となります。
ステップ2:勾留の決定と捜査(最大20日間)
検察官が勾留請求をすると、裁判官による審査が行われ、長期にわたる身柄拘束と本格的な捜査が開始されます。
日常生活から完全に隔離されるため、勤務先や学校への影響が大きくなります。
検察官による勾留請求(送致から24時間以内)
勾留請求とは、検察官が裁判官に対して身柄の拘束継続を求める手続きのことです。
検察官は送致を受けてから24時間以内に、裁判所に勾留請求書を提出します。
検察官が勾留を求める理由は、主に法律で定められた要件に基づきます。
- 住居が定まっていないこと
- 証拠を隠滅したり偽造したりする恐れがあること
- 逃亡する恐れがあること
これらの条件に該当すると検察官が判断した場合、裁判所へ勾留請求が行われます。
実務上、検察官が勾留請求を行う割合は非常に高く、逮捕された事件の多くで勾留手続きへと進むのが実情です。
裁判官による勾留決定|原則10日間、最大20日間の身柄拘束
検察官から勾留請求を受けると、被疑者は裁判所へ連れて行かれ、裁判官による勾留質問を受けます。
裁判官は本人から事件に対する言い分を聞き、勾留請求を認めるかどうかを判断します。
初回の勾留では、裁判官によりその日から最長10日間のあいだの身柄拘束が決定します。
初回の勾留期間で捜査が進まず、引き続き取り調べなどを行う必要があると検察が判断した場合、勾留延長を裁判所に対して請求します。
裁判官が延長を認めると、さらに最長10日間、合計で最大20日間の勾留が続くことになります。
裁判官が勾留請求を却下すれば即座に釈放されますが、却下される確率は低い傾向にあります。
勾留中の生活と弁護士による接見の重要性
勾留が決定されると、被疑者の身柄は再び警察署の留置場へと戻されます。
また、警察や検察は、以下のような捜査を行います
- 被疑者に対する取り調べ
- 犯行現場での実況見分
- 被害者や目撃者の証言の収集
勾留中は、原則として平日日中に30分程度であれば、家族や友人との一般面会が可能となりますが、共犯者がいる事件や否認している事件などでは、家族であっても面会や手紙のやり取りが禁止されます。
ただし、このような状況下でも、弁護士だけは制限なく接見を行うことができます。
警察官などの立会人なしで打ち合わせができるため、取り調べに対する具体的なアドバイスを受けることが可能です。
外部の家族への連絡を橋渡しする上でも、弁護士の接見は大きな役割を果たします。
ステップ3:検察官による終局処分|起訴か不起訴かの判断
検察官は、被疑者の勾留期間が満了する日までに事件を起訴にするか、不起訴にするかを決めなければなりません。
具体的に確認していきましょう。
起訴処分|刑事裁判へ進むケース
起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を開くよう請求する手続きです。
正式には公訴の提起といい、検察官のみ許されています。
起訴された場合、原則として公開の法廷で有罪、無罪の可否を問う裁判が開かれることになりますが、被疑者が罪を認めており、罰金刑を課す場合には書面審理のみで罰金刑を言い渡す略式起訴という手続きもあります。
なお、日本の刑事裁判における有罪率は約99%です。
したがって、検察に起訴されると高い確率で有罪判決が下されることになります。
不起訴処分|前科をつけずに事件を終結させる
不起訴処分とは、検察官が事件を裁判にかけずに手続きを終了させる決定のことです。
不起訴処分が下されると、その日のうちに身柄は釈放され、事件は終結します。
裁判が開かれないため有罪判決を受けることはなく、前科がつくこともありません。
以下の場合、不起訴処分となります。
■嫌疑なし:犯人でないことが判明したときの処分
■嫌疑不十分:起訴するにあたり十分な証拠が集まらなかったときの処分
■起訴猶予:被害者との示談成立や本人の反省などを考慮して起訴を見送るときの処分
ステップ4:起訴後の流れ|刑事裁判から判決まで
検察官の起訴された場合、被疑者は被告人という立場に変わります。
起訴後は、裁判所に身柄を拘束される被告人勾留へと移行し、刑事裁判の期日を待つことになります。
法廷での審理に向けて、弁護人とともに十分な準備を進める段階に入ります。
刑事裁判(公判)の具体的な流れ
起訴されてから第1回の刑事裁判が開かれるまでには、通常約1〜2か月程度の期間がかかります。
公判手続きは、一般的に以下の順序で進められます。
①冒頭手続き:本人確認と起訴された内容を聞いたうえで、間違いがないか答える
②証拠調べ手続き:検察官による証拠提出、弁護人による証拠への意見、証人尋問や被告人質問
③弁論手続き:検察官からの求刑、弁護人による最終弁論、被告人による最終意見陳述
④判決言渡し:裁判官による判決の言い渡し
罪を認めて自白していれば、通常は第1回の公判期日ですべての審理を終え、その約1週間から2週間後に開かれる期日で判決が言い渡されます。
無罪を主張して争う場合は、証人尋問や証拠の精査が行われるため、複数回にわたって裁判期日が開かれ、判決までに数か月から1年以上かかることもあります。
法廷での主張や反省の態度が、最終的な量刑判断に影響を与えます。
被告人勾留と保釈による身柄解放
起訴された後も、何もしなければ裁判が終わるまで留置場や拘置所での身柄拘束が続きます。
この起訴後の身柄拘束を被告人勾留と呼び、期間は原則として起訴の日から2か月間です。
1か月ごとに更新が可能であるため、裁判が続く限り身柄拘束が継続される仕組みとなっています。
そこで、起訴後の身柄解放手段として利用されるのが保釈の制度です。
保釈とは、裁判所に保釈保証金を預けることを条件に、判決が出るまでの間、身柄の拘束を一時的に解いてもらう制度です。
保釈を請求できるのは起訴された後です。
- 証拠隠滅の恐れがないこと
- 住居が定まっていること
- 逃亡の恐れがないことなど
保釈が認められるためには、これらを裁判官へ主張する必要があります。
保釈保証金の相場は事件の内容や本人の資力によって異なりますが、一般的には150万円から200万円程度となるケースが多く見られます。
保釈保証金は裁判が終了した後に全額返還されます。
判決の種類|実刑・執行猶予・無罪の違い
刑事裁判の最後に、裁判官から言い渡される判決には主に3つの種類があり、それぞれの判決が持つ法的な意味と効果は大きく異なります。
具体的な違いは以下の通りです。
■実刑判決:言い渡された刑期の間、刑務所に収監されて刑に服する判決
■執行猶予付き判決:有罪判決ではあるものの一定期間刑の執行が猶予され、その間に罪を犯さなければ刑務所に行かずに済む判決
■無罪判決:検察官の主張が立証されず罪に問われないとする判決
執行猶予が付く条件は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を言い渡す場合と法律で定められています。
執行猶予付き判決が確定すれば、その日のうちに日常生活へと戻ることができます。
実刑判決が下された場合、保釈されていた人であってもその場で直ちに身柄を拘束され、刑務所へと収監されることになります。
無罪判決が下されるケースは極めて稀ですが、事実関係を争って勝訴した場合に言い渡されます。
逮捕後の不安は弁護士への早期相談が解決のカギ
刑事事件は時間との勝負であり、逮捕されてからすぐに取る行動が、その後の状況が大きく左右します。
身柄の拘束を解き、前科を回避するためには、弁護士への早期相談が効果的な手段となります。
逮捕直後から接見・面会できる唯一の存在
逮捕から勾留が決定するまでの最初の72時間は、家族や友人であっても原則として面会することができません。
この期間に被疑者と自由に面会できるのは、弁護士だけです。
弁護士は、警察官の立ち会いなしで被疑者と面会し、以下のようなサポートを行うことができます。
- 取り調べでの自身の権利や話し方についてのアドバイス
- 警察による無理な誘導の防止
- 家族との伝言や状況の共有
- 今後の見通しと釈放に向けた方針の説明
逮捕直後の孤立した状態において、味方となる弁護士と直接話せることは、本人にとって大きな精神的支えとなります。
初期の段階で不利な自白調書を作成されてしまうことを防ぐためにも、早期の接見が強く求められます。
身柄解放に向けた専門的な弁護活動
弁護士は、被疑者の身柄を早期に解放するための以下のようなさまざまな法的手続きを行います。
- 勾留を防ぐための意見書の提出
- 裁判所の拘束決定に対するやり直しの申し立て
- 被害者との迅速な示談成立
- 起訴後の速やかな保釈請求
被害者がいる事件では、加害者本人やその家族が直接被害者と連絡を取ることは捜査機関から制限されます。
一方、弁護士に依頼すれば、示談交渉の場を設けることが可能となります。
早期に示談が成立すれば、不起訴処分や執行猶予獲得の可能性が高まります。
逮捕後の流れに関するよくある質問
逮捕後の流れに関してよくある質問をまとめてみましたので確認してみてください。
逮捕されたら家族や会社に連絡できる?
逮捕された本人が、警察署から自分の携帯電話を使って家族や会社に直接連絡することは認められていません。
所持品は警察に預けられ、外部への通話は制限されるためです。
警察から家族に対して逮捕の連絡が入るケースはありますが、事件の状況によっては連絡が遅れることや、連絡がいかないこともあります。
警察が勤務先の会社へ直接逮捕の事実を伝えることは原則としてありません。
本人が無断欠勤を続けることで会社から家族へ連絡が入り、事件が発覚するケースは多く見られます。
逮捕が会社にバレたら解雇される?
逮捕や報道の事実のみを理由とした解雇は、法律上無効とされる傾向にあります。
ただし、長期の身柄拘束によって出勤できない状態が続くと、欠勤を理由に解雇されるリスクがあります。
また、裁判で実刑判決が確定した場合は、就業規則に基づき解雇が正当と判断されやすくなります。
前科と前歴の違いは?
前科と前歴は、法律上明確に区別されています。
前科は、裁判で有罪が確定した経歴のことをさします。
一部の国家資格の取得制限や、再犯時の量刑判断に影響する可能性が高いです。
一方で、前歴は捜査機関から容疑者として捜査を受けた経歴のことをいいます。
逮捕されたときや、不起訴処分になったときに警察や検察の内部に保管される記録のことです。
前歴があることで、ただちに実生活に影響が出るわけではありません。
逮捕されずに捜査が進む在宅事件とは?
在宅事件とは、身柄を拘束されずに自宅で生活を送りながら進められる捜査形式をいいます。
住居が定まっており、逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合に選ばれます。
指定された日時に警察署や検察庁へ出頭し取り調べを受けますが、仕事や学校を継続できるための日常生活への影響を抑えられるメリットがあります。
ただし、身柄拘束のような期限がないため、捜査が数か月から1年以上に及ぶケースもあります。
起訴後に保釈が認められる条件は何ですか?
保釈には、被告人に問題がなければ基本的に認められる権利保釈と裁判官の判断によって認められる裁量保釈があります。
このうち権利保釈について、認められる主な条件は以下の通りです。
- 重大な犯罪に該当しないこと
- 過去に重大な前科がないこと
- 証拠隠滅や関係者への脅迫を行う恐れがないこと
- 逃亡の恐れがなく定まった住居や身元引受人がいること
実務では、弁護士が裁判官の懸念を解消する主張を行うことで保釈の許可を得ていきます。
被疑者の友達や恋人は弁護士に依頼できますか?
法律上、友人や恋人が本人に代わって正式な弁護契約を結ぶことはできません。
ただし、事実婚や内縁関係などにある場合は、弁護士が相談を受けて対応できる可能性が高いといえます。
まとめ
今回は刑事事件の逮捕から裁判までの流れについて解説しました。
逮捕されてからの刑事手続きは、法律によって厳しいな時間制限が設けられています。
起訴されてしまうと、高い確率で有罪判決が下され、前科がついてしまいます。
家族が警察に逮捕されてしまったなどの場合、1人で悩まず、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へご相談ください。




