国旗損壊罪とは?問題点と海外事例
2026/08/13

国旗損壊罪の新設をめぐる国会の動きが話題となり、大きな注目を集めています。
本記事では、国旗損壊罪とは何か、問題点や海外の事例などについて紹介します。
国旗損壊罪とは?
国旗損壊罪とは、日本の国旗である日章旗をわざと破ったり燃やしたりする行為を禁止し、処罰するための法律です。
この罪が制定された目的は、国の象徴である国旗への尊厳を守ることで、2026年7月17日に国会で成立し、同年8月13日から施行されます。
国旗損壊罪の内容
国旗損壊罪は、日本国を侮辱する目的で日章旗を傷つけたり奪い去ったりした者を処罰する内容となっています。
すでに存在する外国国章損壊罪と同じような枠組みを、日本の国旗にも適用することで、国家の信用や尊厳を傷つける不当な行為を防ぐ狙いがあります。
処罰の対象となる行為
国旗損壊罪として処罰の対象となる具体的な行為は以下の通りです。
- 国旗を切り裂いたり燃やしたりして壊す
- 掲げられている国旗勝手に取り外して持ち去る
- 国旗に塗料を塗ったり落書きをしたりして汚す
罪の成立には、犯意を持っていることが必要であり、うっかり汚してしまったり、破損させたりした場合には、対象になりません。
日本国を侮辱する目的があったかどうかが、判断の境目となります。
罰則
国旗損壊罪に問われた場合、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
この罰則は、外国国章損壊罪と同等のものとなっています。
器物損壊罪との違い
器物損壊罪とは、他人が所有する物を壊したり汚したりした場合に成立する犯罪です。
したがって、自身が店で購入するなどして、所有権を持っている国旗を自分で燃やしても、器物損壊罪には問われません。
しかし、国旗損壊罪の場合には、自己所有の国旗であっても態様によっては、罪に問われる可能性があります。
具体的に、二つの法律の違いは以下の表のようになります。
| 項目 | 器物損壊罪 | 国旗損壊罪 |
| 保護する対象 | 個人の財産権 | 国家の象徴や尊厳 |
| 対象となる所有物 | 他人の所有物 | 自分の所有物も含む |
| 成立する条件 | 他人の物を意図的に壊したとき | 日本国を侮辱する目的で壊したとき |
国旗棄損罪の構成要件
構成要件とは、ある行為が犯罪として成立するための法律上の条件のことです。
国旗損壊罪が成立するために必要とされる構成要件は、以下の3つです。
- 対象が日本の国旗であること
- 損壊・除去・汚損という物理的な被害を与えたこと
- 日本国を侮辱する目的が存在すること
上記の中で、特に日本国を侮辱する目的があったかという点が罪が成立しえる大きな要素といえます。
というのも、国旗を損壊する行為が、政府への意見表明やアート作品としての表現行為だった場合、侮辱に該当するかどうか判断が難しいくなるためです。
したがって、国旗損壊罪は、個別の状況によって犯罪が成立するかどうか大きく変わる可能性があるといえるでしょう・
外国国章損壊罪との違い
外国国章損壊罪とは、日本国内で外国の国旗や国章を侮辱する目的で壊した場合に成立する犯罪です。
日本の国旗を守るための国旗損壊罪とは、法律が守ろうとしている目的などが異なります。
保護する対象(保護法益)の違い
保護法益とは、その法律が守ろうとしている価値や利益のことです。
二つの法律における保護法益の違いは以下の通りです。
- 外国国章損壊罪:外国との良好な外交関係や国際的な信用を守る
- 国旗損壊罪:日本国自体の尊厳や価値を守る
他国とのトラブルを防ぐための法律か、自国の価値を守るための法律かという違いがあります。
親告罪か非親告罪かの違い
外国国章損壊罪と国旗損壊罪の違いとして、親告罪と非親告罪かということがあります。
親告罪とは、被害を受けた人や関係者の告訴・請求がなければ裁判を起こせない犯罪のことをいいます。
対して、被害者の申告がなくても捜査機関の判断で検挙や起訴ができる犯罪行為を指します。
つまり、国旗損壊罪は、被害届などが出ていなくても、警察などの捜査機関が認知すれば、操作が行われ、有罪となり得るということです。
成立の背景
国旗損壊罪の議論が始まった背景には、デモ活動などで日章旗が破られたり不当に扱われたりした出来事があります。
その際、外国の国旗を傷つけると処罰されるのに、自分の国の国旗を守る法律がないのはおかしいという意見が上がりました。
また、海外の多くの国で自国の国旗を守る法律が存在している点も、法案作成の理由となっています。
過去の法案提出と廃案の歴史
国旗損壊罪の法案は、過去に何度も国会へ提出されてきた歴史があります。
例えば2012年には自由民主党によって改正法案が提出されました。
しかし、国民の自由な意見表明を妨げるのではないかという懸念や反論が多く出され、慎重な審議の末に廃案となりました。
国旗損壊罪に関するよくある質問
国旗損壊罪に関する質問についてまとめてみましたので確認してみてください。
お子様ランチの旗や寄せ書きも処罰の対象ですか?
結論からいうと、お子様ランチの国旗の破棄や国旗に寄せ書きを行うことは、処罰の対象にはなりません。
国旗損壊罪でいう国旗とは、公式な規格や意味を持つ国家の旗を意味するためです。
また、応援のメッセージを書く寄せ書きには日本国を侮辱する意図がないため、犯罪の要件を満たしません。
ただし、国旗に対してあからさまな不満や悪口を書き込んで汚した場合は、対象となる可能性があります。
Youtubeなど動画配信サイトで国旗を燃やしたら処罰されますか?
動画サイトで国旗を燃やす様子を配信する行為は処罰される可能性があります。
ただし、過度に表現の自由が制限されないため、処罰対象となるのは、原則としてライブ配信に限られるといわれています。
憲法で保障されている表現の自由を侵害していませんか?
この質問は、国旗損壊罪を作るうえで最も議論が分かれた核心部分といえます。
日本国憲法では、自分の意見を自由に示すことができる表現の自由が認められています。
ただし、表現の自由とはすべての行為に対し、認められるわけではなく、公共の福祉に反するとみなされた場合には、制限がかけられることもあります。
国旗損壊罪そのものが表現の自由の侵害にあたるものではなく、行使する過程が重要になるといえます。
日本以外で国家毀損罪がある国はどこですか?
世界には、自国の国旗や国家のシンボルを汚す行為に対して厳しい罰則を設けている国が存在します。
主要な国の例は以下の通りです。
■ドイツ
刑法によって自国の国旗や国章を侮辱する行為を禁じており、公の場や集会で国旗を壊したり汚したりした場合、最高3年以下の拘禁刑または罰金刑が科されます。
■フランス
刑法により国旗や国歌を侮辱する行為が禁止されています。公のイベントなどで国旗を侮辱した場合、最大で7500ユーロ(日本円で約120万円以上)の罰金や拘禁刑が科されます。
とはいえ、上記の国であっても、個人の表現行為が重要視されるため、適用されるケースは限定的であるといわれています。
まとめ
今回は、2026年8月13日に施行される国旗損壊罪について紹介しました。
国旗損壊罪は、自国の象徴である日章旗を守り、国家の尊厳を維持するための法律です。
しかし、捜査機関の操作の方法や裁判所の判断によっては、表現の自由を侵害する可能性があるため、今後も情報を負うべきものと言えるかもしれません。




