個人情報が漏れたら何が起きる?取るべき対策と対応
2026/10/21

企業から、個人情報が漏洩した可能性があるという通知を受け取る方が増えています。
漏洩した情報の種類によって、起こりうる被害や取るべき対策は異なります。
今回は、個人情報が漏洩したときに起きることや、被害を抑える対処法などについて解説します。
個人情報漏洩とは?
個人情報漏洩とは、企業などが管理していた個人情報が、本人の意図しないところで外部に流出したり、第三者に見られたりすることです。
具体的な情報として、次のようなものがあります。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 顔写真
- クレジットカード番号
- ログイン用のID・パスワード
上記以外であっても、特定の個人を識別できる情報であれば、個人情報に含まれます。
個人情報の漏洩は、大企業だけの問題ではありません。
2026年に入ってからも、身近なアプリやネットサービスで、数十万件から数百万件規模の漏洩が相次いで公表されています。
自分の情報を漏洩された場合はどうなる?
自分の個人情報が漏洩したとしても、すぐに金銭的な被害が出るとは限りません。
ただし、漏洩した情報は犯罪者の間で売買され、時間がたってから悪用されることがあります。
具体的なトラブルについて確認していきましょう。
詐欺メールがきやすくなる
個人情報が漏洩すると、詐欺メールやSMSが届きやすくなります。
氏名とメールアドレスが流出した場合、本物らしい詐欺メールが届く確率が高くなります。
特に注意が必要なのは、個人情報漏洩を起こした企業の名前をかたるメールです。
漏洩のお詫びや返金の手続きを装ったメールでだまされてしまうと、カード番号やパスワードなどを抜き取られるリスクがあります。
不正利用される可能性がある
クレジットカード番号やログイン情報が漏洩すると、カードやアカウントを不正利用される可能性があります。
身に覚えのない買い物の請求が届いたり、ためていたポイントを勝手に使われたりする被害です。
複数のサービスで同じパスワードを使っている方は、被害がほかのサービスにも広がります。
犯罪者は、漏洩したIDとパスワードの組み合わせを、ほかのネットサービスでも次々に試してログインしようとするためです。
住所悪用などの二次被害のリスク
住所や電話番号が漏洩すると、ネット上だけでなく、実生活でも二次被害を受けるリスクがあります。
具体的には、迷惑電話や勧誘の訪問が増えたり、身に覚えのない請求書が郵送で届いたりする被害です。
漏洩した情報は名簿として売買され、別の詐欺や犯罪の下調べに使われることもあります。
住所と家族構成などが一緒に漏洩したときは、普段以上に、知らない人からの電話や訪問に注意してください。
個人情報が漏洩する主な原因と最新トレンド
個人情報が漏洩する原因は、大きく以下の3つに分けることができます。
- 外部からのサイバー攻撃
- 社員などの人的ミス
- 内部関係者や委託先による持ち出し
近年は、企業本体ではなく、利用しているクラウドサービスや業務の委託先が攻撃を受けて漏洩するケースが目立ちます。
詳しく確認していきましょう。
サイバー攻撃による手口(不正アクセス・ランサムウェア・フィッシング)
サイバー攻撃による個人情報の漏洩は、おもに以下が考えられます。
- 不正アクセス
- ランサムウェア
- フィッシング
不正アクセスとは、システムの弱点や盗んだIDとパスワードを使って、権限のない人がシステムに侵入することです。
2026年10月、ローソンが、会員向けアカウントサービスへの不正アクセスにより、215万件を超える氏名やメールアドレスなどが漏洩したと公表しました。
原因は、アプリ上で利用者本人に情報を表示するための仕組みが不正に利用されたことだと説明されています。
ランサムウェアとは、企業のデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに身代金を要求するコンピューターウイルスです。
近年は、データを暗号化する前に盗み出し、身代金を払わなければ公開すると脅す手口が主流になっています。
2026年10月には、IDCフロンティアのクラウドサービスがランサムウェア攻撃を受け、サービスを利用する495の企業や自治体に影響が及びました。
フィッシングとは、本物そっくりのメールや偽サイトを使って、IDやパスワードを入力させる手口です。
企業の社員がフィッシングにだまされ、そこで盗まれた社内システムのログイン情報から、顧客情報が抜き取られることもあります。
人的ミスによる流出(メール誤送信・設定不備・紛失)
個人情報の漏洩は、サイバー攻撃だけでなく、社員の人的ミスによっても起きています。
代表的なものには、次の3つがあります。
- 宛先を間違えなどによる誤送信
- クラウド上のファイルなどの閲覧制限の設定不備
- 顧客情報が入った書類などの紛失
人的ミスによる漏洩は件数としては小規模なものが多いものの、どの企業でも起こりうる点に特徴があります。
内部関係者・委託先による不正な持ち出し
個人情報は、社員や業務委託先の従業員によって持ち出されることもあります。
2014年には、通信教育大手のベネッセコーポレーションで、委託先の従業員が顧客情報を不正に持ち出して名簿業者に売却し、数千万件規模の情報が流出しました。
さらに、委託先がサイバー攻撃を受けて漏洩するケースもあります。
2026年10月には、カラオケ店を運営する第一興商が、業務委託先の従業員の端末がマルウェアに感染したことで、約872万件の顧客情報が漏洩した恐れがあると公表しました。
マルウェアとは、パソコンなどに感染して情報を盗んだり、動作を妨げたりする悪意のあるプログラムの総称です。
個人情報漏洩による企業の責任
個人情報を漏洩させた企業は、被害者に対する民事上の責任と、個人情報保護法などに基づく法的な責任を負います。
具体的な責任について確認していきましょう。
損害賠償責任
個人情報を漏洩させた企業は、情報の管理に落ち度があれば、ユーザーなどの被害者に損害賠償を支払う責任を負います。
委託先の従業員が情報を持ち出した場合でも、委託先の管理や監督が不十分であれば、委託した企業が責任を問われます。
なお、実際に金銭の被害が出ていない情報漏洩の場合、精神的な苦痛に対する慰謝料が請求の中心になります。
裁判で認められる慰謝料は、1人あたり数千円程度にとどまる例が多いのが実情です。
実際に、ベネッセコーポレーションの漏洩事件でも、東京高等裁判所は1人あたり3300円の支払いを命じました。
法的責任
個人情報保護法は、個人情報を取り扱う企業に対し、漏洩などを防ぐための安全管理措置を講じるよう義務付けています。
一定の漏洩が起きたときは、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知も義務です。
個人情報保護委員会は、対応が不十分な企業に指導や勧告をし、勧告に従わなければ命令を出せます。
命令に違反すると、担当者や経営者などの個人に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、企業にも1億円以下の罰金が科されることがあります。
なお、社員が自分や第三者の利益のために顧客データベースを持ち出した場合も、その社員に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、企業に1億円以下の罰金が科されることがあります。
個人情報が漏洩されたら何をすべき?被害を抑える対処法
個人情報が漏洩したという通知を受け取ったら、まずはどの情報が漏洩したのかを確認してください。
漏洩した情報の種類に応じて、次の対処法を早めに取ることで、被害を抑えられます。
パスワード変更と二要素認証(多要素認証)の再設定
ログイン情報が漏洩した可能性があるときは、すぐにパスワードを変更してください。
漏洩したサービスだけでなく、同じパスワードを使っているほかのサービスもすべて変更する必要があります。
あわせて、二要素認証も設定し直します。
二要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンに届く確認コードなど別の方法でも本人確認をする仕組みです。
設定し直すときは、確認コードの送り先となる電話番号やメールアドレスが、勝手に書き換えられていないかも確認してください。
クレジットカードや銀行口座の明細確認・利用停止手続き
クレジットカード番号や銀行口座の情報が漏洩した可能性があるときは、利用明細を確認してください。
少額の不正利用は気付きにくいため、数百円の身に覚えのない請求にも注意が必要です。
身に覚えのない利用を見つけたら、すぐにカード会社へ連絡し、カードの利用停止と再発行を依頼します。
多くのカード会社では、届け出た日からさかのぼって一定期間の不正利用を補償する制度があります。
補償を受けるには早めの届け出が条件になるため、明細はこまめに確認してください。
不審なメール・SMS・身に覚えのない請求への警戒
個人情報が漏洩した後は、不審なメールやSMS、身に覚えのない請求に、ふだん以上に警戒してください。
漏洩を起こした企業の名前をかたり、お詫びの返金手続きなどを案内するメールが届くことがあります。
メールやSMSに書かれたリンクは開かず、企業の公式サイトや公式アプリから情報を確認するようにします。
身に覚えのない請求が届いても、記載された連絡先に電話したり、お金を支払ったりしないでください。
警察や公的相談窓口への通報・相談方法
不正利用などの被害を受けたときや、対応に迷うときは、警察や公的な相談窓口に相談できます。
相談内容に応じて、次の窓口を使い分けてください。
- カードの不正利用や脅迫などの被害を受けた 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
- 緊急ではないが警察に相談したい 警察相談専用電話の#9110
- 身に覚えのない請求や契約のトラブル 消費者ホットラインの188
- 漏洩を起こした企業の対応に疑問がある 個人情報保護委員会の相談ダイヤル
相談の際は、企業から届いた通知や不審なメール、利用明細を保存しておくと、状況を正確に伝えられます。
個人情報漏洩に関するよくある質問(Q&A)
個人情報漏洩について、よくある質問にお答えします。
Q. 企業には漏えい人数が少なくても個人情報保護委員会への報告義務がある?
漏えいした人数が少なくても、個人情報保護委員会への報告が必要になる場合があります。
企業に報告が義務付けられているのは、次のいずれかに当たる漏えいです。
- 要配慮個人情報が含まれている
- 財産的な被害が生じるおそれがある
- 不正な目的による漏えいの疑いがある
- 漏えいした人数が1000人を超える
前の3つに当たる場合は、1人分の漏えいでも報告しなければなりません。
企業は漏えいを知ってからおおむね3日から5日以内に速報を出し、原則30日以内に報告する必要があります。
また、不正な目的によるものは60日以内に確報を出さなければなりません。
Q. 被害に遭った場合、警察へはどの段階で相談すべき?
個人情報漏洩で被害に遭ったときは、実際に被害が出た時点で、すぐに警察へ相談してください。
ただし、漏洩の通知を受け取っただけの段階では、被害届の受理が難しいこともあります。
そのような場合には、#9110などで相談することを検討してください。
Q. 自分の情報を漏洩された場合、必ず賠償請求できますか?
個人情報が漏洩されたとしても、必ず損害賠償を受けられるとは限りません。
損害賠償を受けるには、企業の情報管理に落ち度があったことと、自分に損害が生じたことを示す必要があります。
金銭的な被害が出ていない場合、認められる慰謝料は1人あたり数千円程度にとどまることが多くあります。
カードの不正利用などで実際に損害が出ている場合は、その金額を企業に請求できる可能性があります。
まとめ
今回は、個人情報が漏洩したときに起きることや、被害を抑える対処法などについて解説しました。
個人情報が漏洩したら、パスワードの変更や明細の確認を早めに行い、不審なメールにも注意が必要です。
とはいえ、企業への損害賠償請求や被害への対応は状況によって異なるので、実害が出ている方は弁護士に相談することを検討してください。




