強盗罪の刑罰は最低でも拘禁刑5年?刑罰の種類と流れ
2026/08/08

最近、トクリュウというSNSの募集を受けて、強盗などが起きるといったニュースを耳にすることも多いと思います。
今回は強盗罪について解説します。
強盗罪とは?
強盗罪は、数ある財産犯罪の中でも人の身体や生命に大きな危険を及ぼす犯罪であり、日本の刑事罰の中でも非常に重いペナルティが設定されている重大犯罪です。
強盗罪の成立要件
強盗罪は、暴行や脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪であり、5年以上の有期拘禁刑が科されます。
成立要件として、以下の条件を満たす必要があります。
- 反抗を抑圧するに足る暴行・脅迫が行われたこと
- 他人の財物を強取(または不法の利益を得る)したこと
- 不法領得の意思と強盗の犯意があること
上記の中で、罪の成立で重要となるのが暴行・脅迫の強度です。
被害者の反抗を抑圧する程度かどうかは、加害者の次のような要素が総合的に判断されます。
- 年齢
- 性別
- 体格
- 時間帯
- 場所
- 凶器の有無
上記の要素をもとに被害者の身体の自由を極度に奪うものであれば、強盗罪が成立します。
また、強盗罪は財物の所有者本人だけではなく、金庫を管理している者など、実質的な占有者に暴行が加えられた場合も成立しえます。
窃盗罪との違い
強盗罪と窃盗罪(刑法第235条)は、どちらも「他人の物を奪う罪」ですが、手段とペナルティの重さが大きく異なります。
2つの違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 窃盗罪 | 強盗罪 |
| 手段 | 万引き、空き巣など※暴行や脅迫は使わない | 暴行・脅迫 |
| ペナルティ | 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 5年以上の有期拘禁刑※罰金刑はなし |
窃盗罪と強盗罪の大きな違いは、他人の財産を得るために、相手の抵抗を奪うような暴力や脅迫を用いたかどうかです。
暴力行為などをせず、他人の財産を奪い取った場合には、窃盗罪になるケースになることが多いといえます。
また、窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。
強盗罪と比べると、有罪となったとしても刑罰が軽くすみ、また執行猶予も認められやすい傾向にあります。
恐喝罪との違い
強盗罪と恐喝罪の違いとして、暴力や脅しの強さがあります。
恐喝罪は、相手を怖がらせる程度の脅しや暴力にとどまるものを指します。
一方で強盗罪の成立には相手を抵抗できない状態にする強烈な暴力や脅しが必要です。
たとえば、「金を払わないとひどい目にあわせるぞ」と脅して相手に自ら金を差し出させた場合を考えてみましょう。
この行為は、被害者の抵抗を抑圧させる脅迫とまではいえないため、恐喝罪が成立する可能性が高くなります。
次に、刃物を突きつけて「動くな」と脅し、被害者を抵抗できない状態にして財布を奪うケースについて考えていきたいと思います。
刃物を突きつける行為は、たとえ結果として怪我を負わなくても、生命の危機を覚えさせ、被害者の抵抗を抑圧する行為といえます。
したがって、この場合は強盗罪になる可能性が高いです。
反抗を抑圧するに足るかどうかは、被害者が実際にどう感じたかという主観ではなく、社会通念上に照らし合わせて裁判官が判断します。
強盗罪法定刑や執行猶予の可能性
強盗罪の法定刑や、執行猶予の可能性について確認していきたいと思います。
5年以上の有期拘禁刑
強盗罪の法定刑は5年以上の拘禁刑と定められています。
拘禁刑の上限は原則として20年であり、加重されるケースでは最高30年まで伸びます。
5年以上という刑期は、財産犯の中でも極めて重い部類です。
詐欺罪や恐喝罪、横領罪の法定刑は10年以下の拘禁刑であり、下限が設定されていません。
そのため事情によっては短期の拘禁刑の判決が出ることもあります。
執行猶予はつくのか?
執行猶予とは、刑事裁判において有罪となっても、裁判官の判断で、一定期間社会内で経過観察を行う制度のことを言います。
定められた期間、再び犯罪を行うなど、問題行動がなければ、刑の一部、または全部が免除されるため、執行猶予が付与されるか否かは、刑事事件において非常に重要といえます。
しかし、強盗罪において何の減軽も行われない場合、法律の規定上、判決に執行猶予をつけることは不可能です。
刑法の規定により、執行猶予が付与されるのは3年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金が言い渡される場合に限られています。
強盗罪の法定刑の下限は拘禁刑5年であるため、そのままでは条件である3年以下に届きません。
強盗罪で判決に執行猶予がつくためには、裁判員裁判や公判審理において、被告人の情状や酌むべき事情が考慮されて酌量減軽が適用される必要があります。
酌量減軽が認められると法定刑の下限が2分の1に引き下げられ、2年6ヶ月となります。
拘禁刑2年6ヶ月となることで初めて3年以下という法的な条件を満たし、執行猶予の言い渡しを受ける可能性が発生します。
ただし酌量減軽の適用や執行猶予が与えられるには、被害者への真摯な謝罪と示談の成立しており、事件の悪質性が低いなど、厳しい要件を満たすことが求められます。
強盗罪の類型犯罪
強盗罪には、犯行の手口や発生した結果、犯行の目的などに応じて複数の類型があります。
それぞれの罪種と科される刑罰の重さについて解説します。
事後強盗罪
事後強盗罪(準強盗罪)は、最初から強盗の意図を持って暴行・脅迫を行ったのではなく、窃盗に着手した者が以下の目的で暴行や脅迫に及んだ場合に成立します。
- 盗んだ物の取り戻しを防ぐため
- 逮捕を免れるため
- 犯罪の証拠を隠滅するため
たとえば、店舗で万引きをした人物が、追いついた警備員から逃れようとして逮捕を免れるために暴行を加えた場合が考えられます。。
事後強盗罪が成立すると強盗罪と同等に扱われるため、法定刑は5年以上の有期拘禁刑となります。
昏睡強盗罪
昏睡強盗罪は、睡眠薬や麻酔薬、酒類などを用いて相手を昏睡状態に陥らせ、その隙に財物を奪うことで成立します。
法定刑は5年以上の有期拘禁刑です。
なお、犯人自身が相手を昏睡させた場合に成立するものであり、自ら酔い潰れた人物から物品を抜き取った場合は窃盗罪などの対象になります。
強盗致傷罪・強盗致死罪
強盗致傷罪および強盗致死罪は、強盗の過程で人に怪我をさせたり、死亡させたりした場合に適用されます。
被害者に傷害を負わせた場合は、無期または6年以上の拘禁刑が科されます。
死亡させた場合は、死刑または無期拘禁刑という極めて重い刑罰が定められています。
強盗致傷罪は刑期の下限が拘禁刑6年であるため、自動的に裁判員裁判の審理対象となります。
傷害を負わせる直接の意図(故意)がなかった場合であっても、強盗の機会において被害者や第三者が負傷した場合は本罪が成立します。
逃走中に取り押さえようとした警察官や通行人に怪我をさせた場合も同様です。
また殺意の有無にかかわらず、結果として死亡に至った場合は死刑または無期拘禁刑という厳罰しか選択肢がなくなります。
強盗・不同意性交等罪
強盗・不同意性交等罪は、強盗の機会に不同意性交等を行った場合、あるいは不同意性交等の機会に強盗を行ったときに成立します。
法定刑は無期または7年以上の拘禁刑と定められており、強盗致傷罪よりも高い下限が設定されています。
さらにこの行為によって相手を死亡させた場合は、死刑または無期拘禁刑が科されます。
強盗予備罪
強盗は実行に至った際のリスクが極めて大きいため、実際の暴行や脅迫を開始する前の準備段階であっても処罰対象となります。
それが強盗予備罪です。
次のような行為を行った場合、強盗予備罪に問われる可能性があります。
- 強盗を行う目的で凶器を準備する行為
- 侵入対象の住宅や店舗を下見して機会をうかがう行為
- 凶器を持参して現場付近を徘徊する行為
強盗予備罪の法定刑は2年以下の拘禁刑です。
なお、実際に強盗の実行に着手した場合は予備行為が強盗未遂罪や既遂罪に吸収されるため、予備罪と重ねて処罰されることはありません。
強盗罪で逮捕された後の流れ
強盗容疑で警察に逮捕された場合、容疑者は法に基づいた厳格な刑事手続きに従って身体拘束と捜査を受けます。
逮捕から判決に至るまでの手続きの流れは以下の通りです。
警察での取り調べ
逮捕されると警察署の留置施設に身体拘束され、警察官による取り調べが行われます。
取り調べでは警察から次のような内容を聞き取りされます。
- 事件の認否
- 犯行の動機
- 計画性
- 不法領得の意思
警察は逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と書類を検察庁へ送致するか、あるいは釈放するかを判断します。
重大犯罪である強盗事件において、警察の段階で釈放されるケースは極めて稀であり、速やかに検察への送致手続きが取られます。
検察官による勾留請求と勾留
送致を受けた検察官は、24時間以内に、引き続き身柄を拘束して捜査を行う必要があるかを判断します。
検察官が身柄拘束が必要であると判断した場合、裁判所に対して勾留請求の手続きが行います。
裁判官が勾留を認めると、最大10日間の身体拘束が決定します。
また、捜査上の勾留の延長が必要であると認められたときにはさらに10日間延長されます。
逮捕からの時間を含めると、最長で約23日間にわたり身体拘束が継続することになります。
検察官による起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了までに、検察官は収集された証拠や取り調べの結果を踏まえ、被告人として起訴し裁判にかけるか、あるいは不起訴処分とするかの判断を下します。
強盗罪には罰金刑が存在しないため、書類審理で終わる略式請求の手続きをとることはできません。起訴される場合は、公判請求となり、公開の裁判で審理が行われます。
刑事裁判
起訴されると立場は被告人となり、正式な刑事裁判を待ちます。
強盗致傷罪や強盗・不同意性交等罪などの重い罪種では、市民から選ばれた裁判員が審理に参加する裁判員裁判が開かれます。
裁判では証拠調べや被告人質問、証人尋問が行われ、犯罪の成立の有無や量刑が審理されます。
審理を経て有罪判決が出た場合は、原則として刑事施設へ収監されることになります。
強盗罪を弁護士に相談するメリット
弁護士に強盗罪について相談するメリットは以下のとおりです。
逮捕後すぐに接見できる
弁護士に強盗罪について相談するメリットとして逮捕後すぐに接見できる点です。
身柄が拘束された際、早期に弁護士(弁護人)へ相談し、留置施設での接見を依頼することは重要な手続きです。
通常、逮捕直後の72時間は家族であっても面会が制限されます。
しかし、弁護士であれば制限なく接見が可能です。
取り調べに対する正しい知識や権利について助言を受け、不利な調書作成を防ぐための支援を受けることができます。
被害者との示談交渉ができる
弁護士に強盗罪について相談するメリットとして、被害者と示談交渉できることがあります。
財産犯や身体犯の刑事裁判において、被害者との間で示談が成立しているか否かは量刑判断における重要な考慮要素となります。
弁護士は、被害を受けた金品の弁償や慰謝料の支払いを行い、真摯な謝罪を通じて示談を成立させるよう行動することが可能です。
強盗罪に関するよくある質問
強盗罪に関してよく寄せられる質問についてまとめましたので確認してみてください。
Q1.強盗罪は初犯でも実刑判決(刑務所行き)になりますか?
強盗罪は初犯であっても実刑判決となる可能性が非常に高い犯罪です。
理由として、法定刑の下限が拘禁刑5年と規定されており、何も減軽されない状態では執行猶予が付与される拘禁刑3年以下の要件を満たせないからです。
初犯で執行猶予判決を得るためには、自首や被害者との示談成立、犯行態様の軽微さなどを総合的に立証し、裁判所から酌量減軽を引き出す必要があります。
Q2.万引きが事後強盗罪になった場合、執行猶予はつきますか?
万引きから発展した事後強盗罪であっても、適用される刑罰は通常の強盗罪と同じく5年以上の有期拘禁刑です。
そのため減軽が行われない限りは実刑判決となります。
ただし、事後強盗の中でも、逮捕を免れようとして相手の手を振り払った程度など暴行の態様が比較的軽微なケースでは、示談の成立や全額弁償、深い反省などの事情が揃うことで酌量減軽が認められ、執行猶予が言い渡される余地が残されています。
Q3.闇バイトとは知らずに加担してしまいました。罪は軽くなりますか?
指示役に誘導されて闇バイト等を通じて強盗事件の実行犯や下調べ役に加担した場合であっても、「知らなかった」「認識が甘かった」という理由だけで罪を免れることはできません。
実際の侵入行為や暴行・強盗行為に関与している以上、共同正犯として強盗罪や強盗致傷罪などの重い責任を問われます。
ただし組織内での従属的な立場や、脅迫を受けて拒絶できなかった事情、得た報酬の状況などが客観的に立証されれば、量刑上の酌量要素として考慮されることがあります。
Q4.家族が強盗罪で逮捕されたら、まず何をすべきですか?
家族が強盗容疑で逮捕された場合は、直ちに刑事事件を扱う弁護士に連絡し、接見(面会)を依頼することをおすすめします。
逮捕直後の段階では家族の面会が制限されるため、弁護士を通じて本人の状態を確認し、取り調べに関する助言や今後の弁護方針を立てる手続きを開始することが不可欠です。
Q5.どのように拘禁刑が決まりますか?
強盗罪の判決における具体的な刑期は、裁判官や裁判員が以下の要素を総合的に考慮して判定します。
- 犯行の態様(計画性、凶器の使用、暴行・脅迫の強さ)
- 被害の規模(金銭的被害額、負傷の程度)
- 犯行の動機や経緯
- 被害回復や示談の有無
- 反省の度合い、前科の有無、今後の監督環境
これらの要素を踏まえ、法律が定める刑罰の範囲内で個々の事件に応じた判決が言い渡されます。
まとめ
今回は強盗罪について考えていきました。
強盗罪は、法定刑の下限が5年以上の有期拘禁刑なので、何も対策をせずにいると刑務所に収監されます。
現在お困りの方は、なるべく早い段階で弁護士に相談することを検討してください。




