スポーツ賭博やネット賭博は犯罪?賭博罪の種類や要件

2026/09/11

スポーツ賭博やネット賭博は犯罪?賭博罪の種類や要件

日本では、現在のところ競馬やオートレース、競輪などの公共賭博をのぞき、犯罪です。

しかし、近年海外のWebサービスを利用したスポーツ賭博やオンラインカジノの普及に伴い、賭博をめぐる法的リスクへの関心が高まっています。

今回は、賭博罪の種類について解説します。

賭博罪とは?成立要件

賭博罪とは、公共賭博以外の行為を処罰する罪です。

賭博行為が制限されている理由として、楽して稼ぎたいという考えを助長させ、勤労意欲の低減や健全な生活を脅かすだけでなく、他の二次的犯罪を誘発したり組織犯罪の資金源となったりするおそれがあるためといわれています。

賭博罪の具体的な成立要件は以下のとおりです。

①偶然の勝敗によって財産の得失を争うこと

賭博罪が成立する1つめの要件として、勝敗が偶然の事実によって左右されることがあります。

勝敗を決する手段は、花札やダイスといった伝統的なゲームに限定されません。

囲碁、将棋、麻雀といった当事者の技術や実力が介入するゲームであっても、勝敗にいくらかの偶然性が働く以上は、不当に金銭等を賭けることで成立要件を満たします。

また、スポーツの試合や相撲の勝敗など、自身で結果をコントロールできない第三者の勝負に金を賭ける行為も、同じように賭博罪になります。

②財物や財産上の利益を賭けること

賭博罪が成立する2つめの要件として、勝負の結果に対して財物または財産上の利益を賭けることです。

ここでいう財物とは、経済的価値を持つ一切の利益をいい、金銭だけでなく時計や貴金属などの物品はもちろん、暗号資産や電子マネーなども含まれます。

また、債務の免除も経済的価値に換算できるため、財物の対象となりえます。

勝負の開始時に金銭等を場に出したり、財物の得失を相互に約束して勝負を開始した時点で賭博罪となります。

実際に勝敗が決して金銭の授受が行われたかどうかは、犯罪の成立自体に影響しません。

賭博罪の例外:一時の娯楽に供する物

賭博罪は、時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでないと規定されています。

つまり、茶菓子や軽食、ジュースなど価格がわずかであり、その場で即座に消費するようなものを賭ける行為は、社会通念上一時の娯楽に供する物とみなされ、賭博罪は成立しません。

賭博罪の種類と刑罰

賭博罪は、刑法で頻度や態様などに応じて、4種類の罪に分けることができます。

具体的に確認していきましょう。

①単純賭博罪

単純賭博罪とは、一回、または一時的な衝動によって賭博を行った場合に成立する罪をいいます。

法定刑は50万円以下の罰金または科料と定められています。

科料とは、罰金よりも軽い財産刑のことをいい、1000円から1万円未満の支払いを命じられることになります。

②常習賭博罪

常習賭博罪とは、反復して賭博を行う癖がある人物適用される罪をいいます。

法定刑は3年以下の拘禁刑であり、罰金刑の規定はありません。

賭博の常習性の有無は、以下のような要素をもとに、総合的に判断されます。

  • 賭博を行った頻度
  • 賭けた金額
  • 生活が賭博に依存しているかどうか
  • 営業用遊技機等を設置して利益を得ていたかどうか

検察官が、賭博を何度も繰り返す危険があると判断した場合は、初犯であっても常習賭博罪として起訴される可能性があります。

③賭博場開帳図利罪

賭博場開帳図利罪とは、自ら賭場の主宰者となって、場所や設備を提供し、自己の利益を図った場合に成立する罪をいいます。

法定刑は3月以上5年以下の拘禁刑と定められています。

いわゆる胴元として寺銭や入場料、場代、手数料などの名目で利益を得る目的をもって賭場を開設する行為が対象です。

実際に現金等の利益を得られたかどうかは問われず、利益を図る目的で設備等を提供した段階で成立します。

なお、暴力団などが組織的な態様により賭博場を開帳した場合には、組織的犯罪処罰法により3か月以上7年以下の拘禁刑へと罰則が加重されます。

④博徒結合図利罪

博徒結合図利罪とは、常習として賭博を行う者らを組織・結合させ、利益を図った場合に成立する罪のことです。

法定刑は3か月以上5年以下の拘禁刑です。

特定の縄張りやグループ内で、賭博の常習者たちが随時集まって賭博を行えるような環境を提供し、そこから手数料等の利益を得る行為が処罰の対象となります。

スポーツ賭博やネット賭博は犯罪?

近年スポーツ賭博やネット賭博などのニュースで処罰されたなどのニュースを耳にする機会があると思います。

実際に、犯罪行為にあたるのか考えていきたいと思います。

海外のブックメーカーを利用したスポーツ賭博

海外のブックメーカーを利用したスポーツ賭博を日本国内で行った場合、賭博罪に問われる可能性があります。

たとえ、利用したブックメーカーが、他の国の政府のライセンスを取得して運営されていたとしても、日本国内からインターネットを通じてアクセスし、スポーツの試合結果に金銭を賭ける行為は違法となります。

理由として、日本国内の賭博は、国や地方自治体など公的機関が運営しているもののみ認められるという決まりがあるからです。

海外サーバーのオンラインカジノ

海外でライセンスを取得して運営されているオンラインカジノを日本国内でアクセスし、賭けをした場合、賭博罪の処罰対象になります。

なお、警察や政府はオンラインカジノの利用は犯罪に該当することを強く注意喚起しています。

しかし、実際には国内で利用した場合、日本国内の法律によって処罰されるという認識が薄く、利用者が検挙される事例少なくありません。

友人・知人同士での賭け麻雀や賭けゴルフ

友人や知人、会社の同僚などが、賭け麻雀や賭けゴルフをした場合、賭けたものによっては賭博罪として処罰される可能性があります。

身内同士の遊び感覚であっても、賭け金の総額が大きい場合や、習慣的に繰り返されている場合には、警察の摘発や処罰の対象となることがあるので注意してください。

公営ギャンブルとの違い

日本には、競馬や競輪など一般にギャンブルと呼ばれる公認の賭博があります。

これらが刑法上の賭博罪として処罰されない理由について考えていきたいと思います。

公営競技

公営競技とは、以下のようなものがあります。

  • 競馬
  • 競輪
  • 競艇(ボートレース)
  • オートレース

これらは刑法に規定される法令または正当な業務による行為として、特別法に基づき合法的に運営されています。

国や地方自治体の財政改善や、関連産業の振興といった公的政策上の理由から立法措置によって例外的に許容されているものです。

宝くじ・スポーツ振興くじ

宝くじ(当せん金付証券)や、サッカー等の試合結果を対象とするスポーツ振興くじ(toto・MEGABIG)は、それぞれ当せん金付証券法およびスポーツ振興投票の実施等に関する法律という特別法に基づいて運営されているため合法です。

賭博罪で逮捕されたらどうなる?刑事手続きの流れ

賭博事件の容疑で警察に逮捕された場合、以下のような流れで進みます。

逮捕(現行犯逮捕・後日逮捕)

賭博罪での逮捕には、犯行現場で身柄を拘束される現行犯逮捕と、捜査機関が事前に裁判所の逮捕状を取得して身体拘束を行う後日逮捕(通常逮捕)があります。

現行犯逮捕の場合、違法な賭場へ警察が強制捜査したときに行われることが多いといえます。

一方、通常逮捕は警察がオンラインカジノの利用履歴、銀行口座の送金記録などの客観的証拠に基づいて捜査し行われるといえます。

逮捕されると警察署の留置場に身体拘束され、外部との自由な連絡が遮断された状態で取り調べが開始されます。

送検と勾留(最大20日間)

警察は逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と書類を検察庁へ送付(送検)する手続きを行います。

送致を受けた検察官は、さらに身柄拘束を継続して取り調べを行う必要があるかを24時間以内に判断します。

取り調べが必要であると検察官が判断した場合、裁判所に対し、勾留請求されることになります。

検察官の請求を受けて裁判官が勾留を決定した場合、最長で10日間の身体拘束が継続します。

また、勾留は1度の延長請求が認められており、さらに取り調べが必要であると判断したときには、さらに10日間、身柄を拘束されることになります。

起訴・不起訴の決定

検察官は、勾留期間が終了するまでに、賭博した者を起訴、つまり公開裁判の提起を行うかを決めます。

単純賭博罪などの罰金刑が相当とされる事案では、被疑者が罪を認めていた時には、公開の裁判を開かずに書類審理で罰金命令を出す略式手続で処分されます。

一方、常習賭博罪や賭博場開帳図利罪など、起訴する際に拘禁刑が含まれる場合には公判請求され、正式な裁判で審理が行われます。

不起訴の場合

初犯であり、賭けた金額が極めて少額である場合や、本人が深く反省していて証拠も十分でない場合などは起訴猶予などの不起訴処分となることがあります。

不起訴処分が決定した場合は刑事裁判が開かれることはなく、直ちに釈放されて手続きは終了します。

逮捕後の生活への影響

賭博罪で逮捕・摘発された場合、刑事上の罰則を受けるだけでなく、個人の社会生活や労働環境においても極めて深刻な不利益が生じるおそれがあります。

前科がつく

刑事裁判で有罪判決が確定した場合や、略式起訴によって罰金・科料を納付した場合は、刑事上の前科として警察や検察のデータベースに記録が残ります。

前科がつくことで、一部の国家資格の取得制限や欠格事由に該当するリスクが発生するほか、海外渡航時のビザ申請において不利益を被る可能性があります。

懲戒処分を受ける可能性がある

違法賭博行為によって逮捕されたり前科がついたりした場合、勤務先で懲戒処分を下されるリスクが高まります。

身体拘束が長期間に及ぶことで無断欠勤状態が続き、最終的に懲戒解雇や失職へと至る事例も少なくありません。

まとめ

今回は賭博罪について解説していきました。

賭博罪は、単なる趣味や遊びの延長であっても、法律上の要件を満たせば警察の摘発対象となりえる犯罪です。

特に近年拡大している海外のスポーツ賭博やオンラインカジノは、国内からの利用自体が違法行為であり、単純賭博罪や常習賭博罪として厳しく処罰されるリスクがあります。

賭博に手を出してしまったときや、警察から連絡があったなどお困りの方は弁護士に相談することを検討してください。

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