法人の主な種類|特徴やメリット・デメリット

2026/07/07

法人の主な種類|特徴やメリット・デメリット

監修者

佐藤 一清(行政書士日本法務事務所)

佐藤 一清(行政書士日本法務事務所)

行政書士日本法務事務所の代表。行政書士として警察署に提出する許認可業務を中心に取り扱う。また、IT企業での、WEBマーケティング部長・法務部長の経験を活かし、企業法務・コンサルティングや、法律関連のWEBマーケティングに関するライティング・監修や講演等も積極的に取り組む。

個人事業主から法人成りを検討している場合や、独立のタイミングで法人設立を考える方は少なくないと思います。

法人にはそれぞれ異なる特徴があります。

今回は法人の種類やメリット・デメリットなどについて解説します。

法人とは?事業を法人化する意味と個人事業主との違い

法人とは、法律上において人間と同じように権利や義務の主体となることが認められた組織のことです。

個人事業主と比較すると、その性質や役割には明確な違いがあります。

早速確認していきましょう。

法人とは、法律によって人間と同じように権利や義務の主体となることが認められた組織を指します。

法人の定義と法人格

自然人である人間とは別に、法律が独立した人格を認めているため法人格と呼びます。

法人格があることで、会社は事業を行う主体として契約行為や財産を所有できるようになります。

具体的には法人名義で以下のような行為があります。

  • 法人名義で銀行口座を開設する
  • 不動産を賃借する
  • 融資を受ける

上記は事業を行う上で重要な基盤となるといえます。

法人格を持つということは、社会的な信用を得る上で重要だといえるでしょう。

個人事業主との違いは?

個人事業主と法人を比較した場合、責任の範囲や税務上の扱いに大きな違いがあります。

個人事業主は、事業で生じた損害に対して無限の責任を負います。

もし事業が多額の負債を抱えた場合、個人の私財を投げ打ってでも返済する義務が生じます。

これに対して、法人化して有限責任会社とすれば、出資額の範囲内での責任にとどめることが可能です。

税金面においても違いがあります。

個人事業主は所得税の課税対象であり、利益が増えるほど税率が高くなる累進課税が適用されます。

法人の場合は法人税が適用され、利益にかかわらず一定の税率が適用される傾向にあります。

したがって、利益が一定水準を超えた場合には、法人化することで節税というメリットを期待できます。

また、社会的な信用の面でも違いがあります。

法人は、登記によって人格を得ることになります。

請求すれば法人情報を誰でも閲覧することができるため、個人事業主よりも社会的信用を得やすいです。

実際の取引においても、法人でなければ取引を行わないという方針を持っている企業は少なくありません。

これは、法人と個人事業主の大きな違いといえるでしょう。

さらに社会保険への加入義務についても違いがあります。

法人を設立した場合、代表者1人であっても社会保険への加入が義務付けられています。

個人事業主の場合は、従業員が5人未満であれば社会保険への加入は任意です。

会社と企業の違い

会社と企業という言葉は混同されがちですが、厳密には意味が異なります。

会社は、会社法に基づいて設立された営利法人を指す法律用語です。

株式会社や合同会社などがこれに該当します。

一方で企業は、事業を行う組織や経済活動体の総称です。

営利を目的とするかどうかにかかわらず、事業を行っていれば企業と呼ぶことができます。

したがって、会社は企業の一種であり、企業という大きな枠組みの中に会社があるという関係性になります。

たとえば、NPO法人や公益法人も事業活動を行っていれば企業として分類されることがあります。

しかし、これらは会社法の適用を受ける会社ではありません。

会社という言葉は、特定の法人形態を指す場合に限定して使うのが正確です。

法人の主な種類と特徴

法人には営利法人と非営利法人の大きな分類があります。

営利法人は利益を追求し、その利益を構成員に分配することを目的としています。

非営利法人は社会貢献などを目的とし、利益を構成員に分配することを原則として禁止しています。

主な法人の種類は以下の通りです。

  • 株式会社
  • 合同会社(LLC)
  • 合資会社
  • 合名会社
  • NPO法人(特定非営利活動法人)
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人
  • 社会福祉法人

それぞれ確認していきましょう。

営利法人

営利法人は、事業によって得た利益を株主や社員に分配することを前提とした組織です。

主な営利法人の種類を確認していきましょう。

株式会社

株式会社は、株式を発行して出資者から資金を集め、その資金を元手に事業を行う法人です。

出資者は株主と呼ばれ、出資額に応じた権利を持ちます。

株式会社の最大の特徴は、所有と経営が分離できる点です。

株主は出資者であり、経営は取締役が行うという形態をとることができます。

大規模な資金調達ができるというメリットや、将来的に株式上場を目指せる点も大きな魅力です。

日本の法人の新規設立の約8割が株式会社だといわれています。

合同会社(LLC)

合同会社は、2006年に新しく導入された会社形態です。

所有と経営が一致していることが特徴で、出資者全員が経営に関与します。

株式会社に比べて設立費用が安く、定款の自由度が高いというメリットがあります。

利益分配も定款で自由に決めることができるため、出資比率にとらわれない柔軟な経営が可能です。

外資系企業や小規模なベンチャー企業などで数多く採用されています。

合資会社

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される会社です。

無限責任社員は会社の債務に対して無制限の責任を負い、有限責任社員は出資額の範囲内で責任を負います。

現在では新設されるケースはごくわずかです。

経営者が全責任を負う覚悟があれば選択肢となりますが、リスクが高いため一般的ではありません。

合名会社

合名会社は、社員全員が無限責任を負う会社です。

すべての社員が会社の債務に対して連帯して全責任を負うため、リスクが非常に高い形態です。

小規模で信頼関係の強い身内だけの経営などで稀に見られますが、現在ではあまり選択されません。

合資会社と同様に、リスクの高さから敬遠されがちです。

非営利法人

非営利法人は、利益の分配を目的とせず、社会的な課題解決や公共の利益に貢献することを目的としています。

非営利法人に属するものを具体的に確認していきたいと思います。

NPO法人(特定非営利活動法人)

NPO法人は、ボランティア活動や社会貢献活動を主たる目的とする法人です。

特定の非営利活動分野において、広く社会に貢献することが義務付けられています。

利益を分配することはできませんが、事業で得た収益を次の活動の原資に回すことができます。

社会的な信頼を得やすく、助成金や補助金を受けやすいという側面がありますが、設立手続きの複雑さがデメリットといえます。

一般社団法人

一般社団法人は、2名以上の社員がいれば設立可能な法人です。

営利を目的としないため、利益を分配しないことを前提としていますが、営利事業を行うこと自体は禁止されていません。

公益性の高い活動だけでなく、業界団体や同窓会、あるいは小規模な事業運営にも活用されます。

登記のみで設立できるため、NPO法人に比べて手続きが簡便であるというメリットがあります。

一般財団法人

一般財団法人は、財産に対して法人格を与える組織です。

設立には300万円以上の財産が必要であり、その財産を運用して公益目的の事業を行います。

設立のハードルが比較的高く、特定の財産を管理・運用して社会貢献を行う場合に適しています。

社会福祉法人

社会福祉法人は、老人福祉や児童福祉などの社会福祉事業を行う法人です。

社会福祉法に基づき設立され、公益性が極めて高い組織です。

税制上の優遇措置が大きく、安定的な運営が求められます。

設立には所轄官庁の認可が必要であり、手続きが厳格であるという問題点があります。

主要な法人形態の比較

主要な法人形態の特性を以下の表にまとめました。

法人形態メリットデメリット
株式会社社会的信用度が高い、資金調達が容易設立・維持コストがかかる、手続きが煩雑
合同会社(LLC)設立費用が安い、経営の自由度が高い知名度が低い、出資の制限がある
NPO法人税制優遇措置、社会的信用の獲得設立手続きの複雑さ、利益分配の禁止

株式会社のメリット・デメリット

株式会社のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット:社会的信用度・資金調達

株式会社には、社会的信用度が高いというメリットがあります。

多くの取引先が株式会社との取引を前提としている場合が多く、事業を拡大する上で大きなプラスになります。

また、資金調達の手段が豊富である点もメリットです。

株式の発行を通じて広く投資家から資金を集めることができ、事業拡大に必要な資本を確保しやすい環境が整っています。

デメリット:設立・維持コスト・手続き

株式会社には、設立や維持に関わるデメリットがあります。

設立に際して定款の認証や登録免許税などの費用が発生し、コストがかかります。

また、維持管理のために会計処理や決算公告などの手続きが煩雑であり、管理の手間がかかるという側面もあります。

合同会社(LLC)

合同会社のメリット・デメリットとして、主に以下が考えられます。

メリット:設立費用・経営の自由度

合同会社には、設立費用が安く抑えられるというメリットがあります。

株式会社に比べて定款の認証が不要であるなど、コストを低く抑えることができます。

また、経営の自由度が高い点もメリットです。

利益配分や意思決定のルールを定款で自由に設定できるため、少人数の運営において柔軟な経営判断が可能です。

デメリット:知名度・信用度

合同会社には、知名度が株式会社に比べて低いというデメリットがあります。

取引先によっては、会社の実態を判断する材料として名前を重視する場合があり、信用度において株式会社に一歩譲る面がデメリットとなります。

また、株式を発行できないため、外部からの資本増強が難しいというデメリットも併せ持っています。

NPO法人

メリット:税制上の優遇措置・社会的信用の獲得

NPO法人には、税制上の優遇措置を受けられる可能性があるというメリットがあります。

特定の公益事業を行う場合に税制面での配慮があり、運営資金を確保しやすくなります。

また、社会的信用の獲得ができる点もメリットです。

非営利目的を掲げることで、地域社会や支援者からの信頼を得やすく、活動の幅を広げることができます。

デメリット:設立・利益の分配

NPO法人には、設立の手続きが複雑で時間がかかるというデメリットがあります。

所轄庁の認証が必要であり、設立までに数ヶ月を要する場合があるのがデメリットです。

また、利益の分配ができないため、個人の資産形成を目的とする場合には向いていないというデメリットがあります。

【ケース別】法人の選び方

ご自身の事業目的や規模に応じて、適切な法人形態を選択することが重要です。

選び方をケース別に確認していきましょう。

ケース1:スモールビジネスから始めたい

小規模な事業から開始する場合、設立費用と管理コストを抑えることが重要です。

この場合には、合同会社が適しています。

合同会社は設立費用が安く、管理の手間も株式会社に比べて少ないため、事業に専念できるというメリットがあります。

将来的に事業規模が大きくなった段階で、株式会社へ組織変更することも可能です。

最初は合同会社で効率的に運営し、状況に応じて株式会社に変更するなどの検討をするのが合理的といえます。

ケース2:将来的に資金調達や上場を目指したい

将来的に大規模な事業展開を視野に入れている場合や、外部投資家から資金を募る予定がある場合は、株式会社という選択がメリットになります。

株式を発行できるのは株式会社のみであり、資本政策を柔軟に行うことができます。

投資家にとっても株式という財産的価値を持つ証券を受け取れる株式会社の方が、投資判断を行いやすいというメリットがあります。

社会的信用度も高いため、大手企業との契約や銀行融資においても有利に働く可能性があります。

ケース3:社会貢献や地域活動を事業にしたい

利益の追求よりも社会課題の解決や公共性の高い活動を主軸にするのであれば、NPO法人や一般社団法人が適しています。

特に地域に根ざした活動や特定の福祉活動を行う場合、これらの形態を選ぶことで、寄付金や助成金を活用しやすくなります。

法人の目的と社会的な存在意義を明確にすることで、共感を得やすく、持続的な活動が可能になりますが、利益の分配ができないというデメリットを理解しておく必要があります。

法人の種類や設立に関するよくある質問

設立時には多くの疑問が生じますので、一般的な回答を確認しておきましょう。

Q. 法人の種類は後から変更できますか?

はい、組織変更という手続きを行うことで、法人の種類を変更することは可能です。

たとえば、合同会社から株式会社へ変更することは広く行われています。

ただし、組織変更には所定の手続きが必要であり、登記も行う必要があります。

専門家である司法書士などに依頼して進めるのが良い選択といえます。

Q. 一人でも法人を設立できますか?

はい、1人でも法人を設立することは可能です。

株式会社や合同会社は、1人株主・1人役員でも設立できます。

かつては複数人の役員が必要でしたが、現在の法律では1人での設立が認められています。

起業のハードルは以前よりも下がっています。

Q. 設立費用は総額でどれくらいかかりますか?

設立費用は、法人形態や資本金の額、依頼する専門家によって異なります。

合同会社の場合、およそ6万円から10万円程度の登録免許税と定款作成費用が必要です。

株式会社の場合は、登録免許税と定款認証費用を含めて20万円から25万円程度が目安となります。

ただし、専門家へ依頼する場合は報酬が別途必要です。

Q. 専門家(司法書士・税理士)にいつ相談すべきですか?

設立を検討し始めた時点での相談をおすすめします。

法人の選択によって、税務や法務の取り扱いが大きく変わるため、リスクを避けるための注意点といえます。

最初から専門家に相談することで、誤りのない選択ができ、後のトラブルを防ぐことができます。

どのような事業を行いたいか、どのような将来設計を描いているかを伝えれば、最適なアドバイスが得られます。

まとめ

今回は法人の種類について解説しました。

起業を検討した際、どの法人形態を選択するかは事業の方向性を左右する重要な要素です。

法人には株式会社や合同会社といった営利法人と、NPO法人などの非営利法人があります。

それぞれの形態には異なる特徴があり、目的や規模に合わせて選択することが大切です。

とはいえ、法人登記や定款の作成、融資など自力では難しい課題もあるため、起業を検討されている方は、専門家に相談することを検討してください。

まずは無料でWEB相談する

まずは、お気軽にお電話ください

【受付無料】24時間365日受付

050-5578-9800

自動音声サービスでご案内します

簡単ステップで気軽に相談