【離婚調停の進め方】申立てから解決までの流れ・費用・必要書類リスト
2026/07/21

離婚したい場合、夫婦間の協議で解決することが理想的です。
しかし、離婚条件に争いがあるなどの場合には、当事者間で解決が難しいこともあります。
そのようなときに検討すべき手段が離婚調停です。
本記事では、離婚調停の進め方などについて考えていきたいと思います。
離婚調停とは?
離婚調停とは、夫婦間の話し合いによる協議離婚がまとまらない場合に、家庭裁判所を利用して合意を目指す手続です。
正式名称は、夫婦関係等調整調停(離婚)といいます。
離婚調停は、裁判のように裁判官が強制的に判決を下すのではなく、調停委員と呼ばれる仲裁役が夫婦の間に入り、あくまで当事者双方の合意によって解決をはかる制度です。
日本では、離婚の問題は、なるべく当事者間の話し合いで解決すべきという考え方が導入されています。
そのため、離婚調停は不貞行為などの法律上の明確な離婚原因がなくても利用することができます。
離婚調停は、相手が話し合いに応じない場合や、感情的な対立が激しく直接の対話が困難な場合に、第三者を交えて冷静に議論を進めるための有効な手段となります。
なお、日本の離婚制度は、調停前置主義が採用されています。
調停前置主義とは、裁判する前に調停を経る必要があることをいいます。
したがって、通常の裁判のように、いきなり離婚訴訟を提起することはできず、まずは家庭裁判所に対する調停の申立てを行わなければなりません。
離婚調停の全体像|申立てから解決までの流れ
離婚調停の申立てから解決までの流れは以下の通りです。。
ステップ1:離婚調停の申立て準備
離婚調停を検討した場合、申し立てる前に、自身の主張を整理し、必要な書類を集めるなどの準備を行う必要があります。
具体的には以下のような項目について、自身の考えや希望をまとめておくとよいでしょう。
- 離婚を求める理由
- 親権
- 養育費
- 財産分与
ご自身の主張をまとめずに離婚調停の手続きを進めると、準備不足で調停委員の質問に対し、感情的に答えてしまったり、整合性のとれない主張になってしまったりというリスクがあります。
そのため、離婚調停を検討する際には、あらためて自分の離婚したい理由を明確にし、離婚条件について求めておくとよいでしょう。
ステップ2:家庭裁判所への申立て
ご自身の主張したいことが整理できたら、管轄の家庭裁判所に申立書と添付書類を提出します。
離婚調停における管轄裁判所は、原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
住所地とは各人の生活の本拠を指し、実際に継続的に生活している場所を意味します。
原則として住民票上の住所のことを指しますが、相手方がその場所に住んでいなければ、居所地や最後の住所地が管轄となります。
ただし、当事者間で合意がある場合には、別の地域を管轄する家庭裁判所で行うことも可能です。
離婚調停の申立用紙は家庭裁判所の受付窓口に備え付けられており、裁判所のウェブサイトでもダウンロードすることができます。
なお、弁護士を代理人として離婚調停を申し立てる場合には、指定の用紙を使用せず、申立ての実情欄を詳細に記載した独自の申立書を作成することもあります。
なお、調停の申し立てには、離婚のほかに次のようなことも一緒に話し合うことが一般的です。
- 共同親権を含む未成年の子どもの親権者指定
- 親子交流
- 養育費
- 財産分与
- 慰謝料
ステップ3:第1回調停期日|当日の流れと注意点
離婚調停の申し立てが家庭裁判所に受理されると、第1回調停期日が設定されます。
家庭裁判所から、呼び出しを受けた当事者などの事件の関係人は、原則として調停期日に出頭する義務があります。
正当な理由なく出頭しないときは過料の制裁が定められていますので注意が必要です。
離婚調停当日は、夫婦の申立てた方と相手方が別々の待合室で待機し、交互に調停室に呼ばれて調停委員と話をします。
双方が顔を合わせることは、初回の調停の説明や成立時の読み合わせなど限定的であるため、離婚協議よりも冷静に自身の言い分を伝えやすいといえます。
初回の調停では、離婚を決意するまでの経緯や現在の状況などを聞かれるため、主張をまとめたメモを持参すると良いでしょう。
ステップ4:第2回以降の調停期日
離婚調停が1度で終了することは、ほとんどありません。
そのため、約1ヶ月から1か月半くらいに1回のペースで調停期日が重ねられます。
2回目以降の調停期日では、申立書に記載した話し合いたい内容に基づき、進みます。
養育費の確定や親権者の指定などが争点となっている場合には、調停期日の過程で家庭裁判所調査官による調査が行われることがあります。
ステップ5:離婚調停の成立と調停調書の作成
離婚調停は、夫婦双方の意見が一致し、離婚の可否やその条件について合意に達した場合、成立します。
調停離婚が成立すると、合意した内容を調停調書にします。
調停調書は、確定判決と同様の強い法的な効力を有します。
もし相手が調停調書に記された養育費などの支払いを怠った場合、直ちに給与や預貯金を差し押さえる強制執行の手続に移ることができます。
ステップ6:離婚届の提出と離婚後の手続
離婚調停が終了したら、夫婦のうちどちらかが、成立の日から10日以内に、離婚調停調書の謄本を添えて市区町村長に対し離婚届を提出しなければなりません。
離婚届の提出を怠った場合には、戸籍法に基づく過料の制裁を受ける可能性があるので注意してください。
離婚調停にかかる費用|相場と内訳
離婚調停にかかる費用は、裁判所に納める実費と弁護士に依頼費用の2つがあります。
それぞれ相場などを確認していきましょう。
離婚調停の申立てにかかる実費
離婚調停の申立てにかかる具体的な実費を項目別に表でまとめました。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
| 離婚調停の申立て(基本) | 収入印紙1200円 | 離婚を求める基本的な申し立て費用 |
| 郵便切手代 | 1000~1500円前後 | 管轄の家庭裁判所によって異なる |
| 財産分与の請求 | 収入印紙1200円を加算 | 財産分与を求める場合に必要 |
| 養育費の請求 | 子1人につき収入印紙1200円を加算 | 対象となる子どもの人数分が必要 |
| 親権者の指定・子の引渡し | 手数料不要 | 裁判所の職権発動を促すものにすぎないため |
具体的な内訳などは変更の可能性があるため、申し立て前に管轄裁判所のウェブサイトなどで確認してください。
弁護士費用の相場
離婚調停を弁護士に依頼する場合、まとまった費用が必要になります。
弁護士費用の相場
離婚調停を弁護士に依頼する場合、まとまった費用が必要になります。
法律事務所によって料金体系は異なりますが、一般的な費用の種類と相場を表にまとめましたので確認してみてください。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
| 相談料 | 30分5000円程度 | 初回無料としている事務所もある |
| 着手金 | 20万円から40万円程度 | 依頼した時点で支払う初期費用 |
| 報酬金 | 20万円から40万円程度+経済的利益の1割から2割 | 調停成立時に支払う費用であり獲得額に応じて変動する |
| 日当・実費 | 出頭1回につき数万円および交通費 | 期日に出頭するごとの費用や実費 |
| タイムチャージ | 1時間あたり1万円から数万円 | 着手金等の代わりに時間単位で課金される料金体系 |
なお、財産分与や慰謝料の獲得額が大きい場合は、それに比例して報酬金も高くなります。
またタイムチャージ制を採用している事務所の場合は、稼働した時間に応じて費用が計算されます。
弁護士費用はどちらが負担する?
弁護士費用は、原則として依頼した本人が各自で負担します。
相手方に自分の弁護士費用を請求することは一般的には認められません。
ただし、調停の合意条件の中で解決金として多めに金銭を受け取り、それを費用に充てるという交渉を行うことは可能です。
費用が払えない場合の対処法|法テラスなど
離婚調停の弁護士費用を一括で支払うのが難しい場合は、日本司法支援センターの民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。
収入や資産が一定基準以下であることなどの条件を満たせば、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれます。
利用者は毎月数千円程度の少額を分割で法テラスに返済していくことになります。
分割払いに対応している法律事務所に直接相談することも一つの方法です。
【チェックリスト】離婚調停の申立てに必要な書類一覧
離婚調停を行う場合、申立てに必要な書類はさまざまあります。
それぞれ確認していきましょう。
申立て時に提出する書類
離婚調停の申立てに準備しなければならない書類は以下のとおりです。
| 書類の種類 | 備考 |
| 夫婦関係等調整調停申立書 | 家庭裁判所の窓口やウェブサイトで入手する |
| 戸籍謄本(全部事項証明書) | 夫婦の身分関係を証明するために用意する |
| 年金分割のための情報通知書 | 年金分割の申し立てを行う場合に提出する |
| 非開示申出書・手続代理人目録 | 自身の情報を秘匿したい場合や代理人を立てる場合などに添付する |
| 収入や財産に関する資料 | 養育費や財産分与などの付随事件の内容に応じて提出する |
離婚条件を有利に進めるために準備したい書類|証拠など
離婚調停を有利に進めるために、主張を裏付ける客観的な資料を提出することが重要です。
調停委員に状況を理解してもらうための代表的な資料を表にまとめましたので確認してみてください。
| 書類・証拠の種類 | 備考 |
| 財産に関する資料 | 預貯金通帳のコピーや不動産の登記事項証明書など |
| 収入に関する資料 | 源泉徴収票や給与明細書など |
| 客観的な証拠 | 不貞行為や暴力行為などを証明する資料など |
離婚調停で話し合う内容|決めておくべき重要事項
離婚調停では、離婚そのものの合意だけでなく、離婚条件を話し合うことになります。
それぞれ重要事項を確認していきたいと思います。
子どもに関する事項|親権・養育費・親子交流
離婚調停で取り決めるべき重要事項として、以下があります。
- 親権
- 養育費
- 親子交流
未成年の子どもがいる場合、親権者を必ず定めなければなりません。
共同親権にするか単独親権にするかはもちろん、共同親権にした場合の同居親の指定も話し合うことができます。
親権や、子どもする親をどちらにすべきか争いになる場合、家庭裁判所調査官による調査が行われます。
調査報告書にまとめられた結果に基づいて、適格性が判断されます。
養育費は子どもが自立して生活することができるようになるまで必要になるものであり、長期にわたり多額の費用がかかります。
毎月の支払額や支払日、支払方法などについて明確に定めておく必要があります。
進学や病気などにより臨時に金銭が必要になる場合も想定されるため、そのような場合に備えた条項も設けることが大切です。
親子交流に関する事項についても、子どもの精神的な安定を最優先に話し合われます。
お金に関する事項|財産分与・慰謝料
離婚調停で話し合うべきこととして、お金に関する事項です。
具体的には、以下を話し合うことになります。
- 財産分与
- 慰謝料
財産分与は、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を分け合う制度です。
離婚において夫婦で争いになりやすい問題といえます。
慰謝料は、不貞行為など不法行為があったときに請求できるお金です。
離婚調停を行えば必ず請求できるお金ではなく、相手方が自身の権利を侵害したことを主張しなければならないため、話し合う場合には証拠収集など入念な準備が必要です。
別居中の生活費(婚姻費用)
離婚調停を申立てるときに別居している場合、婚姻費用分担請求調停の申立書を提出すれば、一緒に話し合うことができます。
早期に生活費を確保するための話し合いであるため、別居しているときには申立てを検討してください。
離婚調停に弁護士は必要?
離婚調停は本人だけでも進めることができますが、弁護士に依頼することには大きな意義があります。
メリットやデメリットなどについて確認していきましょう。
弁護士に依頼するメリット
弁護士は法律の専門家として、有利な条件で離婚調停を成立するための法的なアドバイスを提供します。
申立書などの必要書類の作成を代行し、説得力のある主張を組み立ててくれます。
調停期日には弁護士が同席するため、精神的な負担が大幅に軽減されます。
これは大きなメリットといえるでしょう。
相手方が弁護士を立ててきた場合でも、対等な立場で交渉を進めることができます。
弁護士なしで進める場合のデメリット
弁護士なしで進める場合のデメリットとして、法的な知識が不足していると不利な条件で合意してしまう恐れがあります。
また、書類の作成や証拠の収集など、すべての手続を自分で行う必要があり多大な労力がかかります。
弁護士に相談・依頼するタイミング
弁護士への相談は、離婚を考え始めた早い段階で行うのが望ましいです。
証拠の集め方について具体的なアドバイスを受けることができます。
相手から調停の呼び出し状が届いた場合は、期日までに準備すべきことが多いため、すぐに弁護士に相談すべきです。
調停段階から代理人として受任している場合には、調停の結果を踏まえ、将来の訴訟に向けた迅速な準備を行うことができます。
離婚調停が不成立になったらどうなる?
何度話し合っても合意に至らない場合、離婚調停は不成立となって終了します。
不成立になった場合の進め方として、主に以下のようなケースがあります。
審判離婚へ移行するケース
離婚調停が成立しない場合であっても、主要事項については合意をみているケースがあります。
このようなときには、家庭裁判所が職権で行う調停に代わる審判が用意されています。
離婚の合意はできているものの、財産分与や子の監護の方法などに僅かな相違があるため調停に至らないような場合には、従来の調停手続を生かして審判に移行することはあります。
離婚調停に代わる審判を行う要件は、調停成立の見込みがないこと、また家庭裁判所が相当と認めることなどとされています。
なお、調停に代わる審判は、審判日から2週間以内に異議申し立てがあると効力を失ってしまいます。
したがって、異議申し立てが予想される事案では審判を経ずに離婚訴訟に移行させることが多いです。
とはいえ、一旦審判が出されると実際に異議申し立てがなされる例は極めてわずかであり、ほとんどの場合は確定しているという実情があります。
司法統計によれば、調停に代わる審判が行われた件数は増加傾向にあり、審判離婚の活用が期待されています。
離婚裁判へ移行するケース
離婚調停が不成立となり、それでも離婚を求める場合は離婚訴訟を提起することになります。
人事訴訟においては、調停と訴訟とはそれぞれ異なった目的を有していることから、両者は別個の手続として分断されます。
そのため、離婚調停の記録が訴訟に自動的に引き継がれることはありません。
裁判所にとっては調停の結果を無駄にすることは合理的ではないため、口頭弁論期日前に当事者から経緯を聴取して争点整理に役立てようとすることがあります。
基本的には訴状や答弁書、準備書面の提出により主張が行われ、争点については証拠調べが行われます。
離婚訴訟において有責性や破綻の有無などが争点となっている事件では、参与員を審理に関与させる制度があります。
参与員とは一般国民の良識を裁判に反映させるため、職業裁判官以外の者が審理に関与して意見を述べる制度です。
実務上は男女1名ずつの参与員が関与し、証拠調べに立ち会うことになります。
離婚調停に関するよくある質問
離婚調停について、よくある質問をまとめましたので確認してみてください。
Q. 調停の期間はどのくらいかかりますか?回数の目安は?
司法統計によれば、婚姻関係事件の半数以上が6ヶ月以内に終結しています。
全体の約7割が4回以内の期日で終結するというデータがあります。
当事者に代理人が付く事件においては感情的な対立が大きい事件も多く、長期化することもあります。
それでも全体の9割近くの事件は1年以内の審理により終結しています。
Q. 相手が調停に来ない(欠席した)場合はどうなりますか?
相手方が正当な理由なく調停期日に出頭しないときは過料の制裁が科されることがあります。
相手方が不出頭の場合には、家庭裁判所調査官の事実調査を利用して出頭を要請します。
それでも出頭しない場合に、前述した審判離婚に移行するケースもあります。
婚姻関係が破綻しているのに相手方がいたずらに期日に出頭しないような場合には、離婚を成立させても問題ないと考えられるからです。
Q. 相手から離婚調停を申し立てられました。どう対応すればいいですか?
裁判所から呼び出し状が届いたら、指定された日時に出頭する必要があります。
同封されている書類に自分の意見を記入して期限までに返送します。
自分の言い分を整理し、証拠書類を準備した上で期日に臨むことが重要です。
不安な場合は弁護士に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。
Q. 遠方に住んでいる場合どうすればいいですか?
相手が遠方に住んでいる場合、管轄の裁判所は原則として相手方の住所地となります。
しかし、当事者が合意で定める家庭裁判所を管轄とすることも可能です。
遠方であっても、電話会議システムなどを利用して調停に参加できる場合があります。
Q.DVが理由で相手と会いたくない場合はどうすればいいですか?
DVなどを理由に相手方と顔を合わせたくないときは、事前に裁判所に申し出ることで配慮を受けることができます。
まとめ
今回は、離婚調停の進め方について紹介しました。
離婚調停は、夫婦間の話し合いでは解決できない問題を家庭裁判所の仲介によって解決に導くための手続です。
申し立ての準備から期日での交渉まで、多くの労力と法的な判断が求められます。
財産分与や養育費など、離婚後の生活に直結する重要な条件を決定する場となります。
不安な方は、弁護士に相談することを検討してください。




