【有責事由なし】離婚の話し合い進め方と準備・弁護士は必要?

2026/06/11

【有責事由なし】離婚の話し合い進め方と準備・弁護士は必要?

夫婦の間で生じるすれ違いや価値観の不一致は、長く生活を共にする中で次第に修復困難な溝となることがあります。

本記事では、離婚の話し合いの進め方と準備・弁護士は必要なのかについて考えていきたいと思います。

有責事由なしの離婚とは?

夫婦双方に有責事由のない離婚とは、離婚したい理由が以下の法律で定められている事由に当てはまらないときが考えられます。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

性格の不一致や価値観の相違、親族との折り合いが悪いといった理由は、直ちに夫婦関係が破綻したとはみなされません。

したがって、相手方が離婚を拒否する場合、協議または調停によって解決を図らなければなりません。

また、相手に法的な落ち度がないため、精神的苦痛に対する損害賠償である慰謝料を請求することはできません。

ただし、夫婦が婚姻期間中に共同で築き上げた財産を清算する財産分与や、子どもを育てるための養育費の取り決めは行うことができます。

離婚の話し合いを始める前に!準備すべき5つのこと

性格の不一致など有責行為がない理由で離婚したい場合、話し合いを行う前に次の5つを準備すべきといえます。

1. 離婚後の生活設計を立てる

離婚の話し合いを行う前に準備するべきこととして、離婚後の生活設計の計画を立てることです。

別居や関係解消後の生活をどのように成り立たせるか、具体的に必要な金額を計算します。

住居費や食費、保険料、子どもの教育費など、生活に必要になるお金をリストアップしてください。

もし専業主婦やパート勤務であり、現在の収入だけで自立が困難な場合は、就職活動の開始や資格の取得に向けた準備を並行して進める必要があります。

実家への帰省が可能か、公的な支援制度である児童扶養手当などを活用できるかといった情報収集も、この段階で行ってください。

自立した生活の見通しが立っていない状態で話し合いを始めると、相手からの経済的な圧迫に屈してしまい、不当な条件での合意を余儀なくされることも想定できるので計画を立てることが大切です。

2. 決めるべき離婚条件を整理する

離婚の話し合いの前に行うべきこととして、当事者間で必ず決めるべき離婚条件を整理することです。

未成年の子どもがいる場合は、親権をどちらが持つのか、あるいは2026年4月に導入された共同親権を選択するのかを慎重に検討します。

また、養育費の具体的な金額や支払い期間、子どもとの親子交流の頻度や方法についても、自らの意向を明確にしておきます。

離婚条件について、自分が絶対に譲れない絶対条件と、ある程度は妥協してもよい条件を整理し、区分しておくと、交渉がスムーズに進めやすいです。

3. 夫婦の共有財産をリストアップする

離婚協議を行う前に行うべき準備として、財産分与の対象となるすべての資産と負債を洗い出し、リストにしておくことが考えられます。

預貯金については、現在使用している口座だけでなく、過去に開設したネット銀行や地方銀行の口座残高も確認します。

不動産がある場合は、現在の市場価値を知るために複数の業者から査定を取り、住宅ローンの残債がいくらあるかを把握した方がよいろいえるでしょう。

生命保険や学資保険については、加入している保険の種類を把握してくことが大切です。

また、婚姻期間中に双方が取得した株式などの有価証券もどれくらい保有しているかを確認した方が良いといえます。

なお、結婚前から所有していた資産や親から相続した財産は特有財産とみなされ、財産分与の対象外となるので明確に区別しておくことが重要です。

相手方が財産を隠匿する恐れがある場合には、通帳のコピーや保険証券の写真をあらかじめ確保しておくなど、客観的な証拠を保全することも検討してください。

4. 離婚を決意するまでの経緯をまとめる

離婚の話し合いを行う前にするべき準備として結婚してから離婚を決意するまでの経緯をまとめることです。

なぜ離婚を決意するにいたったのか、時系列順にし、自身が離婚したい理由を明確にします。

経緯がまとまっていないと、離婚を決意するに至った理由が相手方に伝わらず、話し合いが感情ベースになってしまうリスクがあります。

そのようなリスクを低くするためにも、日記や過去の出来事を時系列に書き出し、どのような出来事が重なって現在の決断に至ったのかを言語化することが大切であるといえるでしょう。

5. 相手に離婚の意思を伝える方法を考える

離婚の話し合いを行う前に考えるべきこととして、離婚の意思をどのように相手方へ伝えるかが考えられます。

離婚を切り出すにあたって、水掛け論を避けるためには、まず離婚の意思や自身の希望する条件を記載した書面を準備することが大切です。

そのうえで、相手方に口頭で伝えることが理想といえます。

離婚を切り出す場合には、相手方が家にいる時間帯や曜日を考慮し、双方が時間に余裕を持って冷静に話せる環境を設定します。

離婚の意思をどのように伝えるかは、その後の交渉がスムーズに行くかどうかにかかわってくるため、なるべく感情的な対立をあおるような言葉を使うのは避けた方が良いといえるでしょう。

【ステップ別】有責事由なしの離婚|話し合いの進め方

離婚の事前の準備が完了した場合、実際に夫婦間で話し合いを行う必要があります。

話し合いの進め方について確認していきましょう。

ステップ1:離婚の切り出し方

有責事由なしの離婚の場合、基本的に話し合いで解決を目指す必要があります。

とはいえ、状況によっては自身が離婚したいという意思を持っていることが相手にとって想定外であることも少なくありません。

したがって、価値観の不一致などを理由に相手方の言動を責めるような切り出し方は避け、端的に離婚の意思を伝えることから始めてください。

これを受け、相手方が離婚を拒否しても、否定するのではなく一定程度理解を示したうえで、話し合いを続けることが大切です。

話し合いの場所とタイミングの選び方

離婚の話し合いの場としては、他人の目が気にならない自宅が良いと言えます。

相手方が感情の起伏が激しく話し合いが難しそうな場合には適度な人目があるカフェやホテルのラウンジなどを検討してみるといいかもしれません。

離婚を切り出すタイミングとしては、仕事の繁忙期や相手が疲労している深夜は避け、休日など精神的に落ち着いているときに切り出した方がいいでしょう。

なお、子どもがいる家庭の場合、就寝後や学校に行っているあいだ、また預け入れ先などを決め、不安を与えない配慮を忘れないようにしてください。

感情的にならない伝え方のコツ

離婚協議で感情的になってしまうと、感情的な対立が激化して解決までに相当の時間がかかる可能性が高まります。

したがって、離婚の話し合いを行う場合には相手の人格を否定したり、過去の過ちを蒸し返して攻撃したりする言動は避けてください。

「あなたのこういうところが嫌だ」という非難ではなく、「私たちは違う道を歩んだ方が、お互いのためになると思う」というように相手の非を伝えるよりも、認識のズレを主軸に置き、話し合うことを意識してください。

相手がショックを受けて沈黙したり、反論したりした場合は、無理にその場で結論を急がず、一度時間をおいて冷静になる期間を設けることも大切です。

ステップ2:離婚条件の交渉

自身の離婚の意思を伝え、相手がそれに応じた場合、条件の交渉を行います。

どのような条件を話し合うか、具体的に確認していきましょう。

財産分与の話し合い

離婚交渉を行うときに必ず決めるべき条件として財産分与があります。

財産分与とは、婚姻期間中に形成された共有財産を分けることをいいます。

交渉するにあたり、まずは作成した財産リストを相手に提示し、どの資産を夫婦のうちどちらが引き継ぐかを話し合います。

自己所有の不動産がある場合、売却して現金を半分にする換価分割をとるのか、一方が住み続けて相手に現金を支払う代償分割をとるのかを慎重に検討します。

なお、住宅ローンが残っている不動産の場合、離婚協議とは別に名義変更やローンの借り換え手続きが必要となるため、金融機関との事前調整が必要です。

親権に関する話し合い

未成年の子どもがいる場合、離婚するには必ず親権者を決定しなければなりません。

2026年4月に施行された改正民法により、これまでの単独親権だけでなく、共同親権を選択することが可能となりました。

共同親権を選択した場合、離婚後も両親が子どもの進学や医療に関する重要な決定を共同で行うことになります。

双方が共同親権に同意した場合には、日常的な世話をする監護者をどちらにするか、重要事項を決定する方法などについても取り決める必要があります。

養育費に関する話し合い

取り決めるべき条件として養育費があります。

養育費は子どもが自立するまでの生活を支えるための重要な資金です。

養育費の算定にあたっては、裁判所が公表している算定表をベースに、双方の収入と子どもの年齢・人数を照らし合わせて基準額を産出します。

そのうえで、子どもの私立学校への進学や特別な医療費など、算定表ではカバーしきれない特別な事情がある場合には、加算額について話し合います。

2026年4月の法改正では、法定養育費の制度が創設され、取り決めがなくても子どもひとりにつき2万円までは請求できるようになりましたが、十分とはいえません。

したがって、養育費の取り決めは必ず行うべきいえます。

また、支払い期間についても子どもが18歳になるまでか、20歳までか、あるいは大学を卒業する22歳の年度末までか、明確な終期を定めておくことが大切です。

親子交流のルール決め

離婚する場合に取り決めるべき条件として親子交流があります。

親交流とは、離婚後に離れて暮らす親と子どもが定期的にあったり、連絡したりすることをいいます。

相手方とすり合わせを行うものとして、おもに以下が考えられます。

  • 親子交流の頻度
  • 面会の時間
  • 宿泊の可否
  • 連絡手段

夫婦双方に有責事由がなく、感情的な対立がない場合、比較的自由度の高いルールを設定することが可能です。

また、子どもの年齢や生活リズムの変化に合わせて、ルールを柔軟に見直す余地を残しておくと良いでしょう。

ステップ3:合意内容を書面にする

離婚の条件について合意に達した場合、その取り決めを書面にしてください。

なぜ離婚条件の書面化が重要なのか?

離婚条件を書面にする理由として、互いの権利と義務を確定させることがあります。

人間の記憶は時間とともに曖昧になり、新しい生活が始まれば当時の合意内容が反故にされる可能性があります。

特に養育費など、将来にわたって金銭の支払いが発生する項目については、文書という確たる証拠が存在しなければ、支払いが滞った際に法的な請求を行うことが困難になります。

したがって、離婚協議書を作成しておくべきといえます。

離婚協議書は公正証書にすべきか?

離婚条件をまとめた離婚協議書は、公正証書にすることをおすすめします。

理由として、公正証書は強制執行認諾文言という特殊な条項を記載しておくことで、養育費などの支払いが滞った場合に給与差し押さえなどの手段を行えるからです。

養育費の場合、取り決めが子ども1人につき8万円以下であれば、先取特権として強制執行できます。

しかしそれを超える金額や財産分与などの分割払いについては強制執行認諾文言付の公正証書など債務名義がないと取り立てる手段がありません。

したがって、改正民法が施行された後も、財産に関する取り決めがある場合には離婚協議書を公正証書とした方がいいといえるでしょう。

離婚協議書を公正証書にした場合の作成費用は誰が払うのか

離婚協議書を公正証書とするためには、公証人に支払う手数料が発生します。

この手数料は、合意した財産分与や養育費の総額に応じて法律で定められており、数万円から盛り込む条項によっては、十数万円程度になります。

この費用を夫婦のどちらが負担するかについて、法律上の明確な規定は存在しません。

そのため、誰が公正証書の費用を負担するかについて、事前の交渉の中で取り決めるべきといえます。

話し合いで合意できない場合はどうする?

有責事由がない離婚で、双方の合意が得られない場合、以下の対処法が考えられます。

  • 別居を行う
  • 離婚調停を行う

それぞれ確認していきましょう。

別居は有効?メリット・デメリット

離婚の合意が得られなかった場合の対処法として、別居することが考えられます。

別居は相手に自分の強い意思を行動で示す効果があり、また冷静に自分自身を見つめ直す時間を確保できるというメリットがあります。

さらに、別居期間が長期間に及んだ場合、婚姻関係が破綻しているとみなされ、最終的に裁判で離婚を成立できる可能性が高まります。

一方で、別居のデメリットとして、相手が家にある共有財産を隠匿したり勝手に処分したりするリスクが高まることが挙げられます。

また、子どもを置いて家を出てしまうと、その後の親権や監護権の争いにおいて著しく不利な状況になるといえます。

なお、別居中は収入の低い側が高い側に対して生活費を請求できる婚姻費用請求権が発生します。

相手方よりも収入が高い場合には、金銭的に圧迫される可能性があるといえます。

離婚調停の流れと費用

当事者間で離婚協議が成立しない場合の対処法として、家庭裁判所に対して夫婦関係調整調停(以下離婚調停)を申し立てることが考えられます。

離婚調停では、2名の調停委員が当事者双方から別々に話を聞き、合意点を見出すための調整を行います。

直接顔を合わせる必要がないため、感情的な衝突を避け、客観的な視点を取り入れることができることは大きなメリットといえるでしょう。

また、離婚裁判は相手方に有責事由がないと却下されてしまいますが、離婚調停は離婚原因関係なく行うことができます。

そのため、当事者間で交渉が難しい場合には、早い段階で離婚調停を視野に入れた方が良いと言えます。

離婚調停は、大体月に1回程度のペースで期日が開かれ、成立までに半年から1年程度の期間を要することが多いです。

1回の期日で成立することは非常に稀であるため、離婚成立するまでに一定程度時間がかかることには留意が必要です。

有責事由なしの離婚で弁護士は必要?相談を検討すべきケース

相手に明らかな有責事由がないときに離婚したい場合、弁護士に依頼すべきなのでしょうか。

それぞれ依頼するメリットやデメリットについて確認していきたいと思います。

弁護士に依頼するメリット

有責事由がないときの離婚を弁護士に依頼する場合のメリットとして、法的に妥当な条件を客観的に主張し、相手の不当な要求を退けることができることが考えられます。

特に、婚姻期間が長く、共有財産が多かったりする場合には、当事者間でなかなか話し合いがまとまりにくい傾向にあります。

しかし、弁護士に依頼することによって共有財産の整理ができ、自身にとって有利な条件で合意を得られる可能性が高まります。

また、弁護士は相手との直接の連絡や交渉を代理人として行うことができるため、精神的ストレスから解放される点もメリットといえるでしょう。

弁護士に依頼するデメリット

弁護士に離婚問題を依頼するデメリットとして弁護士費用が発生することです。

慰謝料による金銭の獲得がない状況で、財産分与の額が少ない場合には、費用倒れになってしまうリスクがあります。

したがって、夫婦間でそれほど意見の食い違いがなく、また概ね合意が得られている場合には、依頼しなくてもよいといえるかもしれません。

【状況別】弁護士への相談をおすすめするケース

有責事由がない場合、必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。

ただし、以下のようなケースでは、弁護士に相談することをお勧めします。

相手が話し合いに応じない・感情的になる

弁護士へ相談した方が良いケースとして相手が一切話し合いに応じなかったり、感情的になったりといった場合が考えられます。

有責事由がない以上、基本的に当事者間の合意がなければ離婚することができません。

しかし、弁護士がいれば、代理人として通知書を送付しすることで、相手に事態の深刻さを認識させ、交渉できる可能性が高まります。

財産分与で揉めている

有責行為が夫婦双方にない場合に、弁護士へ相談するケースとして住宅ローンの残債がある不動産の処理や、相手が経営者で自社株を持っている場合など財産分与が複雑になるときが考えられます。

弁護士に依頼するかどうかによって、状況によっては数百万円単位で受け取れる金額が変わる可能性があるため、まずは相談を検討した方が良いといえるでしょう。

親権で対立している

離婚問題を弁護士に相談した方がいいケースとして、子どもの親権について対立しているときが考えられます。

共同親権まで合意が得られた場合でも、どちらを主たる監護者とするか、重要事項の決定方法をどうルール化するかにおいて激しい対立が起こり得ることが予想されます。

このような状況で、監護者の立場を得るためには弁護士との連携が欠かせないといっても良いかもしれません。

弁護士費用の目安

弁護士に依頼する場合の費用は、事務所によって異なりますが、一般的な相場としては以下のようになります。

■着手金:30万円から50万円程度

■報酬金:30万円から50万円程度(協議離婚の場合)

さらに、財産分与や養育費として経済的な利益を獲得できた場合には、その獲得額の10パーセントから16パーセント程度が報酬金に加算されることもあります。

離婚の合意後に必要な手続き

夫婦双方で離婚の合意が得られた場合には以下の手続きが必要となります。

離婚届の提出

離婚条件などに合意した場合、速やかに離婚届を役所に提出する必要があります。

協議離婚の場合、作成した離婚届に夫婦双方と成人2名の証人の署名をもらい、役所の戸籍窓口に提出します。

本籍地以外の役所に提出する場合は、戸籍謄本の添付が必要でしたが、現在は法改正により添付が不要となるケースも増えているため、事前に確認しておくことが大切です。

調停や裁判で成立した場合は、成立から10日以内に調停調書や判決書の謄本とともに離婚届を提出する義務があります。

役所での手続き

離婚後、子どもの監護者となった場合、児童扶養手当の受給申請や、ひとり親家庭等医療費助成制度の申し込みを行ってください。

これらの公的支援は申請した月から支給が開始されるため、手続きが遅れると経済的な損失を被ることになります。

また、国民健康保険への加入切り替えや、国民年金の種別変更の手続きも、役所の窓口で行う必要があります。

年金分割の合意がある場合は、年金事務所へ出向き標準報酬改定請求書を提出して分割の手続きを完了させます。

これを怠ると、合意したはずの年金増額が反映されないため注意が必要です。

姓(苗字)の変更手続き

婚姻によって姓を変えていた側は、離婚によって法律上、結婚前の旧姓に戻ることが原則となっています。

これを復氏と呼びます。

しかし、仕事上の都合や子どもの学校の事情などで、婚姻中の姓をそのまま名乗り続けたい場合もあります。

その場合は、離婚成立から3ヶ月以内に婚氏続称の届け出を役所に行うことで、婚姻中の姓を継続して使用することが法的に認められます。

3ヶ月を過ぎてしまうと、家庭裁判所の許可が必要となり手続きが非常に煩雑になるため、どちらの姓を名乗るかは、事前に決めておくべきといえます。

各種名義変更

離婚後、新しい戸籍と住民票が完成した段階で、名義の変更をおこなってください。

具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 銀行口座
  • クレジットカード
  • 生命保険の契約者名や受取人の変更

銀行口座の名義変更が遅れると、給与の振り込みや児童扶養手当の受け取りに支障をきたす恐れがあります。

また、自宅不動産を財産分与で取得した場合は、法務局での所有権移転登記を行わなければなりません。

登記を放置していると、相手方が勝手に第三者に売却してしまうリスクが残るため、司法書士に依頼するなどして速やかに権利関係を確定させることが大切です。

有責事由なしの離婚に関するよくある質問

有責事由なしの離婚に関して、よくある質問を紹介します。

Q. 一方的に離婚を切り出されました。応じなければいけませんか?

応じる法的義務は全くありません。

あなたに不貞や暴力などの有責事由がない限り、相手がどれだけ強く関係の解消を望んでも、あなたが同意しない限り協議離婚は成立しません。

相手の強い言葉に圧倒されて、その場で不本意な同意書にサインをしてしまうことは絶対に避けてください。

Q. 相手に離婚届を勝手に出されないか心配です。

相手が強硬な手段に出て、あなたの署名を偽造して勝手に離婚届を提出してしまうリスクがないとは言えません。

このリスクを未然に防ぐための手続きとして、離婚届不受理申出でがあります。

本籍地または所在地の市区町村役場にこの申出書を提出しておけば、以後、あなたが自ら窓口に出向いて申出を取り下げない限り、どのような離婚届が提出されても役所は絶対に受理しません。

費用はかからず、いつでも手続きが可能なため、少しでも相手の行動に不安を感じたならば、届出を行っておいた方が良いかもしれません。

Q. 円満離婚のコツや平均的な期間は?

有責事由がない場合、お互いを激しく憎み合っているわけではないケースも多く、円満な解決を目指すことは十分に可能です。

円満に話し合いを進めるコツは、相手のプライドを傷つけず、過去の責任追及を避け、未来の生活設計に焦点を当てた建設的な話し合いを行うことです。

平均的な期間としては、財産の整理や条件のすり合わせがスムーズに進めば、話し合いを開始してから3ヶ月から半年程度で公正証書の作成まで完了するケースが多い傾向にあります。

ただし、親権や不動産の処分で意見が対立した場合は、調停を含めて1年以上の期間を要することもあります。

Q. 子どもがいない場合離婚は簡単になりますか?

親権や養育費、親子交流に関する取り決めが不要となるため、議論すべき項目が大幅に減少し、手続はは格段にシンプルになります。

特に、子どもを傷つけるかもしれないという精神的な負担がないことは、当事者にとって大きな違いとなります。

話し合いの焦点は、純粋に共有財産の清算と、別居期間中の婚姻費用に絞られます。

共働きで互いに経済的に自立しており、特段分けるべき不動産などがない場合には、数回の話し合いで合意に至り、離婚届を提出して完了することも少なくありません。

まとめ

今回は有責事由なしの離婚の話し合いの進め方などについて解説しました。

有責事由がない場合、双方が離婚に合意しており、条件にそれほど争いがなければ、弁護士に依頼する必要はありません。

しかし、親権や財産分与などで当事者間に争いがある場合には、弁護士に相談することを検討してください。

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