自己破産の費用は?内訳や払えない時の対処方法
2026/10/30

借金問題に苦しんで自己破産を検討するとき、手元にお金がない中で手続きの費用を準備できるのか不安に感じる方は少なくありません。
自己破産にかかる費用の内訳や相場、手元資金が不足しているときの対処法を解説します。
自己破産にかかる費用の総額は?手続きの種類別の相場
自己破産にかかる費用の総額は、同時廃止事件か、管財事件になるかどうかによってかかる費用が大きく異なります。
同時廃止事件とは、ほとんど資産を持っていないときに適用される自己破産をいいます。
一方で、管財事件とは、一定の資産を持つ場合に適用される破産方法で、債権者への弁済が生じるため、同時廃止事件に比べ免責許可が下りるまでの期間が長くなります。
自己破産の総額の目安は、以下の図を確認してください。
自己破産の費用は、裁判所に納める費用と弁護士報酬に分かれる
1 裁判所に納める費用
2 旧弁護士報酬基準による弁護士報酬
着手金
報酬金
免責が認められた場合に限り、免除された借金の額に応じて計算します。
計算例 免責で700万円の借金が免除された場合、報酬金の標準額は700万円の10%に18万円を足した88万円です。
裁判所に納める費用は、東京地方裁判所民事第20部の2026年の一覧に基づく、弁護士が申し立てる場合の金額です。ほかの裁判所では金額が異なります。
旧弁護士報酬基準は2004年3月31日に廃止されており、現在は各事務所が自由に報酬を定めています。
自己破産を行う場合1と2を合わせた金額が総額になります。
同時廃止事件は予納金を支払う必要がないので管財事件に比べて総額は低くなります。
自己破産費用の内訳
自己破産の申立てにかかる費用は、弁護士へ支払う報酬と裁判所へ納める実費の2つに分かれます。
それぞれ細かく確認していきましょう。
弁護士に支払う費用
自己破産を弁護士に依頼する場合、おおむね以下のような費用がかかります。
相談料
相談料とは、正式に依頼する前に、借金問題の解決方針などのアドバイスを受けるための費用です。
相場としては30分あたり5000円から1万円程度に設定されている事務所が多いです。
しかし、自己破産の場合には、初回の相談料を無料にしているところも少なくありません。
着手金
着手金とは、事件の処理に着手する段階で支払う初期費用であり、手続きの結果にかかわらず発生します。
同時廃止では約20万円から40万円程度、管財事件では約50万円程度が相場です。
複雑な債権者対応が必要な事案では、難易度に応じて上乗せされることもあります。
報酬金
報酬金とは、免責許可決定が確定し、借金の返済義務が免除された成功の結果に対して支払う謝礼金です。
相場としては約20万円から40万円程度に設定されるケースが多く見られます。
なお、一部では、着手金を取らない成功報酬型を利用している事務所もあります。
裁判所に納める費用(実費)
自己破産の手続きを進めてもらう際、裁判所にも費用を納めなくてはなりません。
主に次の4つの費用が必要になります。
申立手数料(収入印紙)
自己破産を行うには、申立手数料が必要になります。
収入印紙を申立書に貼付して納めます。
個人の申し立てでは、借金を免除してもらう免責手続きの手数料と合わせて通常1500円です。
なお、法律の改正により2028年6月までにPay-easyでの電子納付が行えるようになる予定です。
予納郵券(郵便切手)
予納郵便とは裁判所から各債権者へ書類を郵送するために使う切手代です。
金額の目安は約3000円から1万5000円程度となります。
お金を借りている会社の数によって必要な切手の枚数が変わるため、裁判所から指定された組み合わせで購入して提出します。
現在は原則実際の切手を準備する必要がありますが、2028年6月までに電子納付に対応する予定です。
官報公告費
官報公告費は、国が発行する公的な紙面である官報に、破産した事実を載せるための掲載代金です。
金額の目安は約1万円から1万5000円程度となります。
同時廃止か管財事件かによって掲載回数が異なるため、それぞれ所定の金額を納めます。
納付方法は裁判に直接納めるほか、振り込みや電子納付に対応しています。
引継予納金
予納金とは、管財事件で選ばれる破産管財人に支払う報酬にあたるお金です。
財産の調査や換金作業を行ってもらうために裁判所へ預けます。
裁判所によって予納金の価値は異なりますが、弁護士に依頼した場合と、個人申立てとでは、次のように費用が異なります。
個人の管財事件の予納金は、弁護士に依頼すると最低20万円、本人が申し立てると負債額に応じて50万円から
東京地方裁判所民事第20部の2026年の一覧に基づく金額です。
予納金の個人1件あたりの額は、中目黒庁舎で現金で納める場合は2万1000円です。
自己破産の費用が払えない時の3つの対処法
自己破産を申し立てる段階では、手元の資金が底をついている方も少なくないと思います。
手元資金に余裕がない方が自己破産を行うための対処法はおもに以下が考えられます。
1. 弁護士に分割払いや後払いを相談する
破産や債務管理に対応している法律事務所では、手元にお金がない方の状況に合わせて、費用の分割や後払いに対して柔軟に対応しているところもあります。
弁護士に相談することで、無理のない支払い計画を策定するなどの調整が可能です。
したがって、自己破産の費用を支払えないときには、ご自身の状況などを正直に申告し、弁護士に相談することを検討してください。
2. 法テラスの民事法律扶助制度を利用する
法テラスは、国が設立した法的なトラブルを解決するための公的機関です。
お金に余裕がない方を対象に、弁護士費用を一時的に立て替えてくれる民事法律扶助制度という救済措置が用意されています。
この制度を利用することで、利用者は法テラスに立て替えてもらった費用を、月々5000円から1万円ほどの無理のない分割払いで返済することが可能です。
民事法律扶助利用できる条件
法テラスの民事法律扶助を利用するには、審査があり、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
- 手取り月収や保有資産が一定の基準額を下回っていること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
家族の人数や居住地域によって収入基準の上限額が変動するため、事前に窓口で要件を満たしているか確かめておくことが大切です。
生活保護受給者は費用の免除も
生活保護を受けている方が法テラスを利用する場合、手厚い支援制度が準備されています。
まず、自己破産の手続きを進めている期間は、法テラスに立て替えてもらった費用の支払いの猶予を受けられます。
さらに裁判所へ納める費用の一部を援助してもらえる制度もあるため、自己負担をほとんどゼロにして手続きを進めることが可能です。
3. 司法書士に依頼する
弁護士ではなく司法書士に依頼すると、最初に支払う着手金などを安く抑えられるメリットがあります。
司法書士は自己破産において書類作成を代行する立場であり、弁護士よりも報酬が低めに設定されている傾向があるためです。
ただ、このメリットを活かすには、高価な資産を持たず、手続きがすぐに完了する「同時廃止」になることが前提条件となります。
もし財産を調査する管財事件になる可能性がある場合は、逆に費用面で大きなデメリットが生じてしまいます。
司法書士は裁判所で本人の代理人になれないため、管財事件になった場合は本人が単独で申し立てた扱いとなります。
本人が申し立てる形になると、弁護士代理人の場合に使える費用の安い少額管財は利用できず、通常の管財事件として処理されます。
加えて債務額が大きいと、多額の借り入れができる社会的信用があるため、保有している資産も大きいと裁判所に判断されます。
その結果、債務額が大きいと裁判所へ納める予納金は跳ね上がり、50万円以上もの高額な費用がかかってしまいます。
したがって、初期費用を抑える目的で司法書士を選ぶのは、目ぼしい資産がなく、同時廃止で確実に終わる見込みがあるケースに限られます。
自己破産費用のシミュレーション
自己破産にかかる総額の費用は、具体的な生活状況や財産の有無によって異なります。
3つのケースを想定してシミュレーションしてみましょう。
財産がほとんどない会社員|同時廃止
給与収入で生計を立てており、換価すべき高価な財産がない一般的な会社員の事例です。
【前提条件】
- 月収:手取り22万円
- 単身
- 負債総額:消費者金融や奨学金など4社から約350万円
- 保有財産:預貯金5万円
- 目ぼしい換価資産なし
- 免責不許可事由:浪費やギャンブルなし
生活費の不足から借入れを重ね、毎月の返済額が手取り収入の半分を超えて返済不能に陥ったケースを想定しています。
換価処分する財産がなく、免責に関する特別な調査も不要なため、同時廃止として手続きが進みます。
| 内訳項目 | 金額の目安 |
| 弁護士費用:着手金および報酬金 | 35万円 |
| 裁判所実費:収入印紙・郵便切手・官報掲載料) | 1万5000円 |
| 合計費用 | 36万5000円 |
今回では、破産管財人が選任されない同時廃止事件になる可能性が高いため、引継予納金の負担が発生しません。
弁護士費用を分割払いに指定できる事務所を選べば、手元の資金が乏しい状況であっても手続きを進めやすくなります。
持ち家や車がある個人事業主|管財事件
持ち家などの資産を持つ個人事業主が破産するケースをシミュレーションしていきましょう。
【前提条件】
- 事業形態:個人経営の飲食店で従業員なし
- 負債総額:日本政策金融公庫や仕入れ先など5社から約600万円
- 保有財産:売掛金30万円、処分見込みありの厨房機器や店舗造作・返還見込みありの賃貸借店舗の敷金
- 免責不許可事由:なし
売り上げの減少に伴い仕入代金や借入金の返済が困難となり、事業継続を断念して破産を選択したケースです。
持ち家のような不動産処分に伴う複雑な換価手続きがなく、持参規模が比較的小さい事案であるため、弁護士代理人による少額管財の適用対象となる可能性が高いです。
少額管財になった場合、以下のようになります。
| 内訳項目 | 金額の目安 |
| 弁護士費用:着手金および報酬金 | 50万円 |
| 裁判所引継予納金:少額管財 | 20万円 |
| 裁判所実費:収入印紙・郵便切手・官報掲載料 | 2万円 |
| 合計費用 | 72万円 |
事業用の財産関係を精査する必要があるため、同時廃止に比べて弁護士費用は高めに設定されます。
また、裁判所へ納める引継予納金20万円が別途必要となるため、手続きの開始にあたっては70万円以上のまとまった資金計画を立てておく必要があります。
自己破産の費用を支払うタイミング
自己破産の手続きを進めるにあたり、どのタイミングで費用を支払うのか把握しておくことが大切です。
申立ての準備から免責の確定に至るまでの流れに沿って整理します。
弁護士への相談・依頼
初回の法律相談を行い、手続きの方針が定まった段階で弁護士と委任契約を結びます。
相談料がかかる場合は面談の場で支払い、着手金は契約時に支払います。
分割払いに対応している事務所であれば、契約日以降の決められた期日から毎月の支払いが開始されます。
裁判所への申立て
書類を管轄の地方裁判所へ提出する段階です。
このタイミングで弁護士は、裁判所に納める申立手数料の印紙代や切手代、官報公告費といった裁判所の実費を納めます。
破産手続開始決定・免責審尋
自己破産の申立てが受理されると、裁判所において破産手続開始決定が出されます。
財産があるなどの理由で管財事件になった場合は、この前後に管財人への引継予納金を一括で振り込まなければなりません。
その後、裁判官や管財人と面談を行う免責審尋や債権者集会などの期日が開かれます。
免責許可決定
裁判所から借金を免除する免責許可を受けた場合、弁護士に成功報酬を支払う必要があります。
これによって費用の支払いはすべて完了します。
自己破産の費用に関してよくある質問
自己破産の費用に関してよくある質問をまとめてみましたので確認してみてください。
Q. 弁護士と司法書士、どちらに依頼すべき?費用の違いは?
負債額が大きく資産を保有している場合は弁護士に相談することをおすすめします。
司法書士は弁護士とは異なり、代理人になることができません。
司法書士に依頼して、自己破産を本人申立てで行うと、予納金が高くなるリスクがあります。
一方で、不動産など資産がないときには、司法書士に依頼した方が費用を低く抑えられる可能性が高いです。
Q. 夫婦で自己破産する場合、費用は2倍になりますか?
自己破産は個人の名義ごとに申し立てる法的手続きであるため、夫婦で同時に申し立てる場合でも原則として2人分の費用が発生します。
同じ法律事務所に同時に依頼する場合、書類作成の重複部分を考慮して夫婦割引などの減額措置を設けている事務所も存在します。
裁判所へ納める実費に関しても、同一世帯の事件として同時に進行させることで予納郵券などを一部節約できる可能性があるため、事前に事務所へ確認するとよいでしょう。
Q. 2回目の自己破産は費用が高くなりますか?
過去に免責を受けてから7年が経過していれば法律上は2回目の自己破産が可能ですが、1回目に比べて費用が高くなる傾向があります。
理由として、前回の免責から再び支払い不能に陥った経緯を裁判所が厳格に調べるため、管財事件に指定される可能性が高くなるからです。
破産管財人の引継予納金が上乗せされるほか、手続きの難易度が上がることに伴って弁護士の着手金が高めに設定されることもあります。
Q. 費用を捻出するために借金をするのはあり?
自己破産の費用を用意するために、別の金融機関や知人から新たに借金をすることは絶対に避けてください。
返済不能の状態に陥っていることを知りながら新たに借金をする行為は、詐欺的な借入れとみなされ、破産法上の免責不許可事由に該当するリスクがあります。
悪質と判断された場合は自己破産ができなくなるほか、刑事責任を問われるおそれも生じます。
Q. 生活保護中の場合で費用を抑えるには?
生活保護を受給している最中に自己破産を申し立てる際は、法テラスの民事法律扶助制度を利用することが費用を抑えられる手段です。
生活保護受給者であれば、法テラスが立て替えた費用の返済が免除される制度が適用されます。
自己負担をほぼ発生させずに手続きを終えられるため、生活保護費から無理に弁護士費用を捻出する必要はありません。
まずは法テラスと提携している弁護士や、福祉事務所のケースワーカーに相談して手続きを進めるのが適しています。
まとめ
自己破産の申立てには弁護士報酬や裁判所への予納金などまとまった資金が必要となりますが、手元にお金がない方でも解決できる仕組みが整っています。
分割払いや法テラスの立替制度を利用すれば、現状で蓄えがない状態からでも手続きを進められます。
自己破産を検討している場合には、弁護士や司法書士への相談を検討してください。
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