顧問弁護士の選び方とは?顧問弁護士をつけるべき6つの理由も解説
2026/05/15

「会社を起業したが、顧問弁護士は必要なのだろうか?どうやって選べばいいんだろう?」
会社を経営していくにあたっては、顧問弁護士という存在について耳にすることがあるでしょう。顧問弁護士をまだ契約していなければ、「どのように選べばいいのか?」「そもそも顧問弁護士は必要なのか?」といったことが気になるかもしれません。
顧問弁護士は、トラブルが生じてから契約する弁護士とは異なり、日常的かつ継続的に会社とコミュニケーションをとってサポートしてくれる存在です。顧問弁護士をつけることには、様々なメリットがあります。
この記事では、顧問弁護士の選び方や顧問弁護士をつけるべき理由について解説します。
顧問弁護士とは
「顧問弁護士」とは、会社を経営していく上で生じる法律問題や相談事などについて日常的かつ継続的に相談を受け、会社経営のサポートをしてくれる弁護士です。
顧問弁護士との間では、何か特定の問題が起こったときではなくあらかじめ顧問契約を結んでおき、顧問弁護士として様々な活動を行ってもらいます。これに対し、顧問弁護士ではない弁護士(スポット契約の弁護士などとも言います)とは、通常、何か問題が生じた後にその問題の解決に限って解決を依頼し契約を締結します。
顧問弁護士はスポット契約の弁護士とは異なり、日常的かつ継続的に会社とやり取りをして会社経営をサポートしてくれるので、より会社にとって身近な存在だということができます。
顧問弁護士を選ぶときの7個のポイント
顧問弁護士を選ぶときに留意しておきたいポイントとして、次のようなものがあります。
- 企業法務に関する基礎的な法的対応力を有しているか
- 企業の規模に見合った実力を有しているか
- 自社の業界・業種に対する十分な理解があるか
- 十分なコミュニケーション能力があるか
- できるだけ早期にトラブルを解決できる力を有しているか
- サポート体制がしっかりしているか
- 顧問料とサービス内容の費用対効果が見合っているか
これらのポイントについてご説明します。
企業法務に関する基礎的な法的対応力を有しているか
顧問弁護士を選ぶにあたっては、その弁護士が企業法務に関する基礎的な法的対応力を有しているかを確認しましょう。
弁護士の中には、離婚や相続などといった一般民事法分野、あるいは刑事分野をメインに取り扱っており、企業法務分野はあまり取り扱っていないという弁護士もいます。
企業法務分野はあまり取り扱っていない弁護士であれば、企業法務に関する基礎的な法的対応力が十分でない可能性もあります。
たとえ離婚や相続などといった一般民事法分野の実績が抜群でも、企業法務に関する法的対応力が優れているということにはなりません。企業法務は企業法務で特有の知識やセンスが必要です。
ある弁護士を顧問弁護士に選ぼうかどうか迷ったら、その弁護士が企業法務について十分な知見を有しており、企業法務に関する基礎的な法的対応力を有しているかを確認するようにしましょう。
弁護士が企業法務に関する基礎的な法的対応力を有しているかを確認するためには、弁護士との法律相談の場でそもそもその弁護士が企業法務をメインで取り扱っているか確認したり、企業法務に関する基本的な質問をしてどのように回答してくれるかを確認してみたりするとよいでしょう。
企業の規模に見合った実力を有しているか
企業には、規模の違いがあります。大企業と中小企業・個人事業主とでは、必要とされる法的な知見は異なってきます。
大企業であれば、国際的な取引やM&Aなどに対応しなければならないこともありますが、中小企業・個人事業主であればそれらの必要がないということも多いです。
顧問弁護士に選ぼうとしている弁護士がどれだけ企業法務の経験を有しているかにかかわらず、あなたの企業の規模に見合った実力を有していることが重要です。例えば、選ぼうとしている弁護士が大企業を相手にした企業法務の経験しかなく、あなたの企業が小規模企業であったとすると、ミスマッチの可能性が否定できません。
中小企業・個人事業主が抱える問題は大企業が抱える問題とは異なるものであるとともに、大企業での企業法務ができれば必ず対応できるというものではありません。
もしあなたが中小企業・個人事業主なのであれば、「企業法務を扱っている弁護士」というだけで選ぶのではなく、「(大企業ではなく)中小企業・個人事業主向けの企業法務を扱っている弁護士」を選ぶようにしましょう。
自社の業界・業種に対する十分な理解があるか
世の中には様々な業界・業種の企業があり、業界・業種ごとにそれぞれのビジネス上の慣習やルールなどが存在しています。企業が抱える問題をより適切に解決し、トラブルを予防し、対応するためには、顧問弁護士自身にもその業界・業種に対する十分な理解が求められます。
自社の業界・業種に対する十分な理解がある弁護士に顧問弁護士を依頼すれば、ビジネス上の様々なことをいちいち最初から説明しなくても話が早く進むということも期待できます。逆に、自社の業界・業種に対する理解があまり十分ではない弁護士であれば、ビジネスモデルやトラブルの要因、業界構造などを一から説明しなければならず、トラブル対応に余分な時間がかかってしまうことも考えられます。
顧問弁護士を選ぶにあたっては、自社の業界・業種に対する十分な理解を有している弁護士を選ぶことが重要なポイントとなります。
十分なコミュニケーション能力があるか
十分なコミュニケーション能力は、スポット契約の弁護士でも顧問弁護士でも等しく必要とされる能力です。
ただ、顧問弁護士ではスポット契約の弁護士以上にコミュニケーション能力が重要です。顧問弁護士とは日常的・継続的に付き合いを続けていき、自社の事業をサポートしてもらうものであるため、コミュニケーションの点で少しでも難があればそのことが大きなストレスになってしまうことでしょう。
最初の違和感が小さかったとしても、長期間にわたって付き合いを続けていくものであるため、小さな違和感が積もり積もって大きな違和感へと発展していくことも考えられます。小さな違和感でも見逃さないようにすることが大切です。
顧問弁護士を検討している弁護士のコミュニケーション能力が十分であるかを見極めるには、次のポイントなどを確認してみるとよいでしょう。
- 相談していて違和感を感じないこと
- 質問に対して的確かつ十分な量の回答をしてくれること
- 質問や相談に対する回答のスピードが十分に速いこと
- 弁護士の側からも積極的に自社のことを知ろうとしてくれること
- 人柄や相性の点で好ましいと感じられること
このうち、質問や相談に対する回答のスピードが十分に速いことは重要な点です。
弁護士の側としては多くの顧問先や仕事を抱えているとどうしても回答のスピードが遅くなりがちですが、そんな中でも迅速に回答をしてくれる弁護士は優秀で自社のことをよく考えてくれているということができます。
これらのポイントを確認しながら、顧問弁護士のコミュニケーション能力を確認してみましょう。
できるだけ早期にトラブルを解決できる力を有しているか
企業にとって、トラブルに巻き込まれてしまいその対応に時間を割かれることはビジネスを進める上で大きな障害になることです。トラブルは、できるだけ早期に解決してしまうに越したことはありません。
優秀な顧問弁護士であれば、トラブルが企業に与えるダメージについても十分に理解しているため、できるだけ早期にトラブルを解決できるように尽力してくれます。
トラブルの解決が長引いてしまい訴訟などに発展してしまうと、訴訟は公開されるものであるため自社がトラブルに巻き込まれていることが分かってしまいます。訴訟に発展するよりも前に裁判の手前でトラブルを解決してくれることも、顧問弁護士にとっては重要な能力の一つです。
できるだけ早期に、かつ、裁判になる前の段階でトラブルを解決できる力を有している弁護士を顧問弁護士に選ぶようにしましょう。
サポート体制がしっかりしているか
顧問弁護士としてどれだけの時間相談対応してくれるかなどといったサポート体制は重要です。なるべく幅広い時間帯にわたりたくさんの時間相談対応してくれる弁護士は、サポート体制がしっかりしていると言えます。
また、顧問弁護士の側から業界に関連する法改正・制度改正について情報提供してくれるかどうかもサポート体制を確認する一つの観点です。情報提供を積極的にしてくれる弁護士は、日頃から業界に関する情報を収集しているといえその点でも信頼できますし、自社だけでは知らなかった法改正等の情報をいち早く教えてくれるので安心できます。
顧問弁護士としてどれだけのサポートをしてくれるのかということも踏まえて、顧問弁護士を選ぶようにしましょう。
顧問料とサービス内容の費用対効果が見合っているか
顧問弁護士との間では、毎月サービスを提供してもらう代わりに毎月の顧問料を支払う契約を締結することが一般的です。この際に、顧問料とサービス内容の費用対効果が見合っているかをしっかりと確認するようにしましょう。
顧問料が高いのにサービス内容があまり十分ではないという弁護士はあまり選ぶべきではありません。また、顧問料とサービス内容が見合っているものの顧問料も高くサービス内容も豪華すぎて自社の必要とするレベルを超えているような弁護士を選んでも、不必要にお金を払うだけになってしまいます。
顧問料が適正であり、サービス内容も自社が必要としているものに見合っているような弁護士を顧問弁護士として選ぶのが最も良いと言えるでしょう。
顧問弁護士の探し方
顧問弁護士の探し方としては、次のようなものがあります。
- 知人から紹介してもらう
- 弁護士会から紹介してもらう
- インターネットで検索する
- ポータルサイトを活用する
これらについてご説明します。
知人から紹介してもらう
知人から弁護士を紹介してもらうという方法があります。
企業の経営者は、多くの場合、様々な人脈やネットワークを有しています。それらをうまく使って顧問弁護士になってくれる弁護士を探すこともできるでしょう。例えば、自社と同じ業界・業種の他社から、「この弁護士は顧問弁護士としていい」などの評判を聞くこともあるかもしれません。
場合によっては、業界の知り合いが顧問弁護士を紹介してくれるということもあります。知人からの紹介であれば、ある程度信頼できることがはっきりしているため、安心して顧問弁護士を依頼することができます。
弁護士会から紹介してもらう
自社の地域の弁護士会に依頼することで、顧問弁護士となってくれる弁護士の紹介を無料で受けられることがあります。
弁護士会ごとに弁護士の紹介制度をどのように運用しているのかは異なるので、自社の地域の弁護士会に顧問弁護士の紹介を受けられるかどうかを問い合わせてみるとよいでしょう。
弁護士会からの紹介であれば、ある程度信頼できる弁護士が紹介されると期待できます。一方で、自社の属する業界や業種に詳しい弁護士を選んで紹介してもらえるとは限りません。
インターネットで検索する
インターネットで検索すれば、顧問弁護士サービスを提供している弁護士を探すことができます。顧問弁護士サービスを提供している弁護士は、事務所のウェブサイト上で企業法務を取扱業務として掲げていたり、より詳しくどのようなサービスを提供しているか、どのような業界・業種に特化しているかなどを具体的に掲載していたりすることもあります。
インターネット検索だと、多くの弁護士がヒットするので、どの弁護士を選んだらいいのかわからなくなってしまうというデメリットもあります。一方で、できるだけ多くの事務所から自分の判断で選ぶことができるというメリットもあります。
弁護士が顧問弁護士サービスについて詳しく説明しているページをよく読み込んで、どの弁護士に顧問弁護士を依頼するかを判断するようにしましょう。
ポータルサイトを活用する
企業法務を扱う弁護士に特化したポータルサイトを活用するという方法もあります。
ポータルサイトには複数の弁護士がまとめて掲載されており、自分で条件を設定するなどして絞り込んでいくことができるため、比較的簡単に弁護士を探すことができるというメリットがあります。
ポータルサイトで自分の希望する条件を入力して顧問弁護士としてふさわしい弁護士がいないかどうか探してみるのもおすすめです。
顧問弁護士をつけておくべき6つの理由
顧問弁護士をつけておくべき理由には、次のようなものがあります。
- いつでも気軽に相談できる
- トラブルを予防するためのアドバイスを受けることができる
- 想定外のトラブルが生じてもなるべく早く自社に有利に解決してもらいやすくなる
- 自社だけでは気付けない問題点についても指摘やアドバイスを受けることができる
- 法や制度の改正情報などを教えてもらえる
- 弁護士が必要になったときにも受けてくれる弁護士が見つからないといった事態を避けられる
これらについてご説明します。
いつでも気軽に相談できる
自社に顧問弁護士がついていなければ、弁護士に相談したいことがある場合にはその都度弁護士を探して予約をし、事務所に訪問して相談をしなければなりません。弁護士を探すのは手間ですし、予約をして相談をすることについても心理的な壁が高いことでしょう。
顧問弁護士がついていれば、日常的にコミュニケーションを取っているので、電話やメールなどで気軽に相談することができます。契約内容次第ですが、予約不要で相談ができることもあります。いつもと同じ顧問弁護士なので、不必要に緊張する必要もありません。
特に、トラブルに関することであれば誰にでも簡単に相談できるものではありません。顧問弁護士であれば守秘義務を負っており、何を相談したかについても秘密にしてくれるので、安心して相談をすることができます。
顧問弁護士という強い味方に「いつでも気軽に相談できる」ことは、大きなメリットということができるでしょう。
トラブルを予防するためのアドバイスを受けることができる
顧問弁護士は、日常的・継続的に相談することができる存在です。その中で、トラブルの予防やリスク対応を相談しておけば、トラブルが起こる前からあらかじめ対策ができます。
トラブルが起こってから対応するのでは、なかなか迅速に問題を解決できなかったり手間や時間が取られてしまったりするなど、不都合なことも多いです。トラブルの予防はビジネスをよりスムーズに進めるためにも大切なことです。
顧問弁護士がいなければ、基本的にはこのようにトラブルを予防するための取り組みを十分に行うことが難しいです。自社だけでトラブル防止の取り組みを行うことが難しいのはもちろん、誰かに相談するにしても、トラブルを効果的に予防するには業界のことを知っていなければならないため、この点でも顧問弁護士のほうがそれ以外の者よりも有利です。
このように、顧問弁護士からトラブルを予防するためのアドバイスを受けられることは、顧問弁護士をつける大きなメリットの一つだと言えます。
想定外のトラブルが生じてもなるべく早く自社に有利に解決してもらいやすくなる
顧問弁護士はあなたの会社のことをよく把握しているので、想定外のトラブルが生じてもなるべく早く、かつ、自社にとって有利なように解決してもらいやすくなります。
トラブルを迅速かつ有利に解決するためには、対応する弁護士があなたの会社のことや業界のことをよく知っていることが欠かせません。顧問弁護士であれば、あなたの会社のことや業界のことをよく知っているので、トラブルを迅速かつ有利に解決しやすくなります。
これに対し、顧問契約ではなくスポット契約の弁護士であれば状況を一から把握してもらう必要があったり業界について理解してもらったりする必要があるため、問題の解決に遅れが生じたり、最大限有利には解決できなかったりすることがあります。
事案によってはスポット契約の弁護士に依頼することもあるでしょうが、やはり顧問弁護士がいるのといないのとでは大きく違います。
自社だけでは気付けない問題点についても指摘やアドバイスを受けることができる
顧問弁護士は日常的にコミュニケーションを取ることができる存在です。遠慮せずに普段から密にコミュニケーションを取っておくことで、自社だけでは気づけない問題点についても指摘やアドバイスを受けることができます。
客観的な第三者の視点が入ることで、トラブルにつながる見落としや思い込みなども発見しやすくなります。これにより、未然にトラブルを防げることも期待できます。
特に、日常的なコミュニケーションの中で指摘やアドバイスを受けられることは、トラブルの予防に大きく役立ち、顧問弁護士をつけるメリットとしても大きいものです。
法や制度の改正情報などを教えてもらえる
顧問弁護士は、あなたの会社の業界・業種に詳しいことが多く、あなたの会社に関連する法や制度の改正情報などを教えてもらえることがあります。
そのようなことをサービスとして最初から顧問契約の内容に盛り込んでいる顧問弁護士もいますし、そうでなくてもあらかじめ契約内容に盛り込んでおくなどすれば顧問弁護士の側から積極的に情報提供をしてくれるため、法や制度の改正を知らずに間違ったことをしてしまうということを防ぐことができます。
また、法や制度の改正があったことを知ったとしてもその意味や内容がいまいちよくわからないという場合には、顧問弁護士に相談することで解説してもらえることも期待できます。
これにより、事業を遂行していく上で、常に最新の法や制度の情報にキャッチアップしていくことが可能となります。
弁護士が必要になったときにも受けてくれる弁護士が見つからないといった事態を避けられる
何らかのきっかけでトラブルが生じて弁護士に交渉や訴訟の代理人となってもらう必要が生じてしまうことは、ビジネスを遂行する上では避けられないものです。
この時、顧問弁護士がいれば、契約内容にもよりますが、基本的にはそのまま交渉や訴訟の代理人となって会社のために働いてくれます。
これに対して、顧問弁護士をつけていなければ、まず交渉や訴訟の代理人となってくれる弁護士を探すところから始めなければなりません。トラブルの内容など場合によっては代理人を引き受けてくれる弁護士がなかなか見つからないということもあり得ます。
顧問弁護士をつけておくことは、弁護士が必要になったときにも引き受けてくれる弁護士が見つからないのではないかという心配をすることなく、安心して事業に専念できるという意味で、メリットのあることです。
まとめ:ポイントを押さえてより良い顧問弁護士を選ぼう
会社を経営してビジネスを遂行していく上では、顧問弁護士をつけることは非常に重要なことです。
顧問弁護士には様々なメリットがあり、顧問弁護士をつけておくことで安心して事業活動に専念することが可能となります。
顧問弁護士を探すためには、ポイントを押さえて探すことが大切です。顧問弁護士と一口に言っても様々な弁護士があり、より良い顧問弁護士を見つけることは事業活動をよりよく遂行していくために欠かせません。
この記事で紹介したポイントを押さえて、より良い顧問弁護士を選ぶようにしましょう。




