助成金とは?助成金の種類や社労士に依頼するメリット・デメリットを紹介
2026/04/11

助成金とは?
助成金とは、法人や個人事業主に対して支給される、返済不要の資金のことです。
特定の要件を満たすことで、受給できる可能性があるものになります。
主に、雇用の促進や労働環境の改善を目的とされるもので、管轄は厚生労働省です。
助成金と同様、返済不要の資金として補助金が挙げられます。
補助金は、主に新規事業や新規サービスの導入、新しい政策の推進やサポートに対して支給されるもので、経済産業省が管轄となります。
助成金が特定の要件を満たすことで受給することができるのに対して、補助金については、ある政策を推進するのに最も良い提案に限ってもらうことのできる資金です。
そのため、一般的には助成金の方が、補助金よりも審査に通りやすいとされています。
助成金の種類とは?
雇用関係の助成金には、あらゆる種類の助成金が存在します。
その中でも、代表的な助成金については、以下のようなものになります。
- キャリアアップ助成金
- 両立支援助等成金
- 65歳超雇用推進助成金
- 業務改善助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 雇用調整助成金
- 早期再就職支援助成金
上記に挙げた助成金の中には、さらにいくつかのコースに分かれている場合があります。
たとえば、キャリアアップ助成金は、正社員化コース、賃金規程等改定コース、賃金規程等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、社会保険適用時処遇改善コースなどに分かれています。
さらに、社会保険適用時処遇改善コースには手当等支給メニュー、労働時間延長メニューに分かれているなど、取り組み内容により詳細に細分化されている場合もあります。
また、助成金によって、要件や支給額、書類の提出先などが異なる上に、年度によって助成金の種類や内容や支給額などが変更となります。
そのため、申請を検討している年度における助成金の要件を確認することが大切です。
代表的な助成金について、それぞれ内容を確認していきましょう。
キャリアアップ助成金
雇用関係の助成金において、最も代表的な助成金はキャリアアップ助成金です。
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者など、いわゆる非正規雇用の従業員に対して、企業内でのキャリアアップを促進した際に助成されるものとなります。
非正規雇用の従業員は一般的に雇用が安定していない場合が多いため、そういった従業員を正社員化して雇用の安定を図った場合や、処遇改善の取り組みを行った場合に助成される可能性があります。
キャリアアップ助成金の中のいくつかのコースの内、正社員化コースはあらゆる企業で活用されています。
雇用期間が通算6カ月以上の非正規雇用の従業員を、直接雇用の正社員化して雇用の安定に取り組んだ企業に対して助成されるものです。
支給の要件を満たすためには、就業規則など社内ルールの整備、正社員化した際の賃金アップ、正社員化した際の賞与または退職金制度の整備と昇給制度の整備などが必要となります。
キャリアアップ助成金の申請を行うためには、キャリアアップ計画書を対象労働者が正社員化する前までに提出することが求められますので、提出漏れなどがないように注意して対応していかなければなりません。
両立支援等助成金
仕事と育児や介護などを両立できる職場環境づくりのために、取り組みを行った事業主に対して助成される助成金を、両立支援等助成金といいます。
働きながら育児や介護をすることは困難なことが多く、育児や介護に直面したタイミングで離職してしまう従業員もいます。
そのため、両立支援等助成金の目的は、育児や介護などを理由とする離職を回避できるような環境づくりを行う企業を支援することです。
両立支援等助成金の中にもいくつかのコースに分かれていて、法改正に併せて、年度によって新しいコースが開設されたり、コースの要件などが変わっていきます。
育児介護については、特に法改正が多い分野とされていますので、申請を検討している年度のリーフレットで要件などを確認することが大切です。
たとえば、産後パパ育休・育児休業、介護休業などを取得される従業員がいる場合、就業規則の整備、社内の環境整備、対象従業員への面談と休業に向けたプラン作成などをすることで、助成金の申請をすることができる可能性があります。
また、社内で整えた育児や介護などを両立できる職場環境制度について、従業員に対して周知をしておくことも、助成金の申請のためには必要なことの1つです。
65歳超雇用推進助成金
65歳超雇用推進助成金とは、高年齢者の雇用の推進を図ることを目的とした助成金です。
いくつかのコースに分かれていて、65歳以上への定年引上げ、高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者から無期雇用労働者への転換、などの取り組みを行った企業に対して助成されるものがあります。
65歳超雇用推進助成金の中の65歳超継続雇用促進コースとは、65歳以上への定年引上げ、定年廃止などを行った企業に対して助成されるコースです。
申請に際して、65歳以上への定年引上げ、定年廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入、のいずれかを実施しなければなりません。
また、就業規則の作成や相談・指導、制度締結のために社労士やコンサルタントなどに委託し、経費を支出することも要件の1つです。
取り組んだ内容と、60歳以上の被保険者数に応じて、助成される金額が異なります。
近年、少子高齢化により、多くの企業では労働力不足が問題となっています。
65歳超雇用推進助成金の活用により、熟練の働き手が定着することは、後任の人材育成などにとっても有効といえます。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、事業場内最低賃金を一定額以上引上げ、生産性を上げるための設備投資を行うことで、設備投資にかかった費用の一部を助成してもらえるものです。
業務改善助成金の活用をすることで、生産性の向上と従業員の処遇の改善を同時にすすめることが期待できます。
事業場内最低賃金とは、雇用から3カ月が経過した従業員が受け取る事業場内で一番低い時間給のことです。
そのため、従業員がいない、もしくは雇用してから3カ月が経過していない場合には、申請することができません。
また、設備投資にかかる費用に関して、助成金の交付決定後に実施される設備投資にかかる費用に限定されているため、交付決定前に導入した設備投資は全て対象外になるので注意が必要です。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。
労働力不足がすすむ中で、労働生産性を向上させることが企業の課題の1つでもあります。
人材開発支援助成金を活用することで、従業員のスキルアップを目指すとともに、従業員の人材育成などにかかる経費を軽減することが期待できます。
ただし、研修終了後に助成金の申請をして、審査の上、支給・不支給の決定がなされることになるため、助成金交付時期については研修が終了してさらに審査が終わった後となります。
従業員に対する研修中に助成金が交付されるわけではないことを、覚えておくといいかもしれません。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主に対して助成するものであり、人材の確保と定着を目的とした助成金です。
人材確保等支援助成金のコースの中には、建設業しか申請できないものや、団体規模でしか申請できないものなど、前提条件が限定されているものもあります。
中でも、外国人労働者就労環境整備助成コースとは、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成されるものです。
外国人労働者は、文化や言語などの違いから、労働に関するトラブルが生じやすいとされています。
そのため、外国人特有の事情に配慮した環境整備などにより、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成される可能性があります。
外国人特有の事情に配慮した環境整備とは、必須メニューと選択メニューに分かれています。
必須メニューとは、「雇用労務責任者の選任」と「就業規則などの多言語化」で、選択メニューとは、「苦情・相談体制の整備」、「一時帰国のための休暇制度の整備」、「社内マニュアル・標識類等の多言語化」です。
助成金の要件として、必須メニューに加えて、選択メニューのいずれかを選んで、実施する必要があります。
人材確保等支援助成金の活用により、外国人労働者就労環境整備助成コースのように外国人従業員に対して職場環境が整備されることが期待できたり、企業内の課題を改善できる可能性があります。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、事業活動の縮小せざるを得なくなった事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用に対して助成するものです。
過去には、コロナ禍などの大きな環境要因により、事業の継続が困難となった企業が、従業員の雇用を守るために活用したこともあります。
景気の変動や産業構造の変化などにより事業活動の縮小をせざるを得なくなった事業主が対象となるため、ただ単に事業活動を縮小した場合や、売り上げは減少していないのに従業員を休業させた場合などは、申請をすることができません。
自然災害や景気の悪化など、企業努力ではどうしようもない要因での事業活動の縮小に対しては、従業員を守る上で有効な助成金といえます。
早期再就職支援助成金
早期再就職支援助成金とは、人材採用を円滑にするための助成金制度です。
離職を余儀なくされた労働者の早期再就職支援や、離職日から間もない人を雇い入れた事業主に対して助成金が支給されます。
いくつものコースに分かれていますが、中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用率を上昇させた事業主に対して支給する助成金です。
早期再就職支援助成金を活用することで、多様な人材を採用できる可能性が高まるため、人材不足で悩んでいる企業にとっては有効な選択肢かもしれません。
社労士に助成金を依頼するメリット
助成金にはあらゆる種類があり、年度によって要件や内容、支給額などが異なるため、自身で申請を行おうとすると、多くの時間と労力を割かなければなりません。
助成金申請においては、社労士に依頼をすることで多くのメリットを受けられることが期待できます。
複雑な手続きを代理してもらえる
それぞれの助成金の申請を行うためには、定められた期限までに決められた書類を提出するなどの煩雑な手続きが必要となります。
期限までに書類の提出が間に合わない場合には、不支給となってしまう可能性があります。
作成の必要がある書類はさまざまある上に、社内の労働環境を整えることも求められます可能性があります。
社労士に助成金の申請を依頼することで、複雑な手続きの代理とともに社内の環境整備に対する支援などをしてもらえるため、企業側の労力削減に有効といえるでしょう。
時間の節約になる
助成金にはあらゆる種類のものがありますが、要件や対象労働者や問い合わせ先などが異なるため、自身で助成金の申請を行おうとすると、かなりの時間と労力を割かなければならない可能性があります。
助成金の審査には時間がかかることが多く、半年以上も審査に時間がかかる場合もあります。
申請をしても書類に不備や確認事項があった場合には、追加で用意しなくてはならない書類もでてきますので、時間をとられることになりかねません。
また、年度によって要件や支給額などが変更となる可能性があるため、年度が新しくなるたびに情報収集を行うことが必要となります。
社労士に助成金の申請を依頼することで、最新の情報をもとに、申請書類や社内環境整備についてアドバイスをもらいながらすすめることができます。
そのため、助成金の申請のために割かなければならない時間を削減することができ、円滑に手続きをすすめてもらうことが期待できます。
助成金の受給後のサポートを受けられる
助成金によっては、受給後も事業の実績報告などを求められる場合があります。
社労士に助成金の申請を依頼していると、受給後の事務手続きなどについても代理で行ってもらえる可能性があります。
また、助成金の受給後も、企業で取り組みができそうな新たな助成金の提案や労務管理に関するアドバイスなどをしてもらえることも期待できます。
社労士に助成金を依頼するデメリット
社労士に助成金の申請を依頼した場合、多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。
デメリットについてもしっかりと把握した上で、社労士に助成金の申請を依頼するか検討することが大切です。
報酬を支払う必要がある
一番大きなデメリットについては、費用がかかることです。
一般的な報酬額については、助成金の受給額の15%~30%を成功報酬として料金設定している社労士が多いようです。
成功報酬とは別に、助成金の支給不支給に関わらず、着手金として一定の金額を設定している社労士もいます。
また、労務相談にかかる時間については別途費用がかかる場合や、助成金の申請に必要となる社内ルールである就業規則の整備については別途費用がかかる場合があるなど、社労士によって定めている業務範囲が異なります。
料金の範囲で行ってもらえる業務内容について、事前に確認をしておくことが大切です。
相性の良い社労士を探すことが難しい
社労士事務所は数多く存在するので、自社と相性の良い社労士を探すことは難しい場合があります。
社労士によっては、助成金の申請については顧問契約を締結している顧問先のみに限る場合や、スポットでの助成金の申請を受注しているが、特定の助成金のみしか取り扱いがない場合など、社労士事務所の方針はさまざまです。
助成金の申請を得意としている社労士もいますので、事前に複数の社労士と面談などを行い、自社の希望にあう社労士を選択するための検討を行うのがいいかもしれません。
また、事前の面談を行うことで、コミュニケーションが円滑にすすめられるかなどの確認をすることもできます。
まとめ
助成金の種類や社労士に依頼するメリット・デメリットを紹介していきました。
助成金にはあらゆる種類があり、年度によって要件などが異なるため、自身で情報収集を行うには多くの労力を割く必要があるかもしれません。
専門的な知識をもつ社労士に助成金の申請を依頼することで、円滑に申請をすすめることができる可能性が高まります。
その反面、費用がかかってしまうなどのデメリットも存在しますので、費用対効果について検討する必要があります。
助成金の申請を検討している場合や助成金の申請について不安に思っている場合には、社労士に相談して詳しく話を聞いてみることを検討してみてください。




